とあるスーパーのバックヤード。従業員(じゅうぎょういん)やパートのおばさんたちが集められていた。彼らを前に、店長(てんちょう)が沈痛(ちんつう)な面持(おもも)ちで話しはじめた。
「近くに新しいスーパーが開店(かいてん)した影響(えいきょう)で、ここ数ヵ月間、売上(うりあげ)は日を増(ま)すごとに下降(かこう)しています。このままでは、最悪(さいあく)の場合、閉店(へいてん)に追(お)いこまれるかもしれません。そこで、みなさんに、お客(きゃく)を集める良いアイデアを考えてもらいたいんです」
従業員たちも客が減(へ)っていることは気づいていた。しかし、この状況(じょうきょう)を打開(だかい)できるようなアイデアは出そうになかった。そんな時、パートのおばさんが呟(つぶや)いた。
「ここがなくなると困(こま)るわ。だって、新しいとこ、ここより遠(とお)いんだもの」
この呟きで他のパートのおばさんたちも、重(おも)い口を開きはじめた。
「よそのスーパーでやらないようなことをすれば良いんじゃない。たとえば、ゆるキャラみたいなの作って、バンバン宣伝(せんでん)して、イベントとかやっちゃうのよ」
「イベントやるんだったら、私たちでAKB48みたいなアイドルグループを作ろうよ」
「そんなの無理(むり)でしょ。それより、託児所(たくじしょ)とかあれば良いんじゃない。ついでに買い物もできて、若(わか)い奥(おく)さんには大助(おおだす)かりよ」
この後(あと)も会議(かいぎ)は白熱(はくねつ)した。いつの間にか、みんなの顔に笑顔がこぼれていた。
<つぶやき>パートのおばさん目線(めせん)は、参考(さんこう)になるかもしれません。主婦(しゅふ)のプロですから。
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