みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0428「魔法の使い方」

2019-01-07 19:08:05 | ブログ短編

 ある日のこと、あずさの前に魔法使(まほうつか)いが現れた。魔法使いは彼女に言った。
「お前に魔法を授(さず)けよう。その力をどう使うかはお前の自由(じゆう)だ。ただし使い方を誤(あやま)ると、周(まわ)りの人を不幸(ふこう)にすることになる。幸せをつかめるかどうかは、お前次第(しだい)だ」
 魔法使いが杖(つえ)を振(ふ)り上げると、あずさの身体(からだ)は光に包(つつ)まれた。
 翌日(よくじつ)、学校でテストがあった。彼女の嫌(きら)いな教科(きょうか)だったので、彼女は思わず呟(つぶや)いた。
「ああっ、誰(だれ)か私のかわりにやってくれないかなぁ。そしたら、良い点(てん)取れるのに」
 テストが返されたとき、あずさは答案用紙(とうあんようし)を見て驚(おどろ)いた。満点(まんてん)に近い点数だったのだ。その時、クラスで一番の秀才(しゅうさい)の好恵(よしえ)が泣(な)きだした。先生が好恵を励(はげ)ますように、
「今回は残念(ざんねん)だったな。でも、次(つ)ぎ頑張(がんば)ればいいからな」
 あずさは、好恵の答案用紙を覗(のぞ)き見て、思わず息(いき)を呑(の)んだ。それは間違(まちが)いなくあずさの書いたものだった。何で、何でこんなことに…。あずさは魔法使いが言った言葉(ことば)を思い出した。あれは、このことだったんだ。でも、私はそんなつもりで言ったんじゃ…。
 その日以来(いらい)、あずさは愚痴(ぐち)を言ったり、誰かを羨(うらや)むことをやめた。もしそんなことをしたら、また誰かを不幸にしてしまう。それだけは嫌(いや)だった。でも、あずさは気づいた。人を助(たす)けるために魔法を使えば、悪いことは何も起(お)きないことを――。
<つぶやき>不思議(ふしぎ)な力があると、ついつい怠(なま)けたり人を見下(みくだ)したり。良いことなんか…。
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