朝。私が教室(きょうしつ)に入ると、クラスのみんなが掲示板(けいじばん)のところに集まっていた。何だろうと私も覗(のぞ)いて見ると、掲示板に学級新聞(がっきゅうしんぶん)が貼(は)られていた。私はその記事(きじ)を見て驚(おどろ)いた。私と同じクラスのミツル君が、クラス公認(こうにん)のカップルになったって――。
何よそれ。まったくふざけてるわ。私はみんなを押(お)しのけて、学級新聞をはがしてクシャクシャに丸(まる)めてやった。誰(だれ)よ、こんなことしたの。みんなは私を見てパチパチと拍手(はくしゅ)してくる。その時、先生(せんせい)がやって来た。みんなが席(せき)につくと、先生は私に向かって言った。
「ハルカさん、ミツル君の隣(となり)の席へ移(うつ)ってください。なんたって、公認カップルですから」
翌日(よくじつ)、また掲示板に学級新聞が貼られていた。それを読んでいたみんなは、私に気づくと冷(つめ)たい視線(しせん)を私に向ける。今度は何よ。私は学級新聞をはがして…。今度は、私が他のクラスの男の子と浮気(うわき)してるって――。私は、誰とも付き合ってません!
次の日、私は誰よりも早く登校(とうこう)した。まだ掲示板には学級新聞は貼られていなかった。先生の机のとこに隠(かく)れていると、教室の扉(とびら)が開(あ)いた。私がそっと覗くと、そこにいたのはミツル君。私は思わず飛(と)び出した。私を見たミツル君は驚いて立ち止まった。私がミツル君のそばまで駆(か)けて来たとき、なぜか足がもつれて、私はミツル君に抱(だ)きついてしまった。
ちょうど私の目線(めせん)の先に掲示板があり、いつの間にか学級新聞が貼られていた。そこに書かれていたのは、私とミツル君が仲直(なかなお)りして、クラス公認カップルが復活(ふっかつ)したと――。
<つぶやき>書かれていたことが現実(げんじつ)になってしまう。もしそんな事になったら大変(たいへん)です。
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