みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1103「嫁ぐ」

2021-07-28 17:34:08 | ブログ短編

父「ほんとに式(しき)を挙(あ)げなくてもいいのか? 何なら、父(とう)さんが金を出してもいいんだぞ」
娘「いいよ。お金がもったいないわ。新婚旅行(しんこんりょこう)だけで充分(じゅうぶん)よ。まぁ、旅行といっても、向こうのご両親(りょうしん)に会いに行くんだけどね」
父「向こうへ行ったら、失礼(しつれい)のないようにな。お前は、そそっかしいから心配(しんぱい)だ」
娘「もう、子供(こども)じゃないんだから。心配しなくても大丈夫(だいじょうぶ)よ。それより、父さんは? 明日から一人になっちゃうけど…。ちゃんとやれるの?」
父「何の問題(もんだい)もないさ。父さんは一人でもやっていける。好(す)きにさせてもらうさ」
娘「そう…。結婚しても、ちょくちょく顔を見に来るね。近いし…」
父「バカを言え。ちょくちょく帰って来られたら迷惑(めいわく)だ。明日は早いんだ。もう寝(ね)なさい」
娘「分かってるわよ。明日、遅刻(ちこく)したら大変(たいへん)…」
父「忘(わす)れ物のないように、ちゃんと確認(かくにん)したか? 手土産(てみやげ)を持って行くんだぞ」
娘「それは大丈夫よ。彼が、ちゃんと用意(ようい)してるはずだから」
父「しかしなぁ…。何か、あの男は頼(たよ)りないんだよなぁ。どうも…心配だ」
娘「もう、蒸(む)し返(かえ)さないでよ。彼はとっても良(い)い人よ。父さんだって認(みと)めてくれたでしょ」
父「それは…、死(し)んだ母さんと、約束(やくそく)したんだ。お前が好きになった人と――」
<つぶやき>きっと、ここまでくるのに紆余曲折(うよきょくせつ)があったんでしょうねぇ。おめでとう。
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