みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1096「記憶がない」

2021-07-14 17:41:19 | ブログ短編

 朝、学校(がっこう)に行くと…。僕(ぼく)が思いを寄(よ)せている彼女が話しかけてきた。僕が来るのを待(ま)っていたようだ。僕は、突然(とつぜん)のことにどぎまぎしてしまった。彼女は小声で言った。
「おはよう…。昨日(きのう)の…返事(へんじ)をするね。あたしで良(よ)かったら、付き合ってもいいよ」
 昨日の返事って…。どういうことだ。僕は、何を言ったんだろう? 僕は思わず、
「あの…、ごめん。ちょ、ちょっと、考(かんが)えさせてもらってもいいかな?」
「えっ、どうして? あなたから…付き合いたいって言ったんじゃ…」
 僕はその場(ば)から逃(に)げ出した。ここは、この流(なが)れに乗(の)って付き合っちゃえばよかったのかもしれない。でも、僕には彼女に告白(こくはく)した記憶(きおく)がない!
 昨日…、僕は何をしてたんだろう。いくら思い出そうとしても、思い出せない。僕は片(かた)っ端(ぱし)から友だちに訊(き)いて回(まわ)った。友だちの一人が僕に言った。
「なに言ってんだよ。彼女に告白するから、隠(かく)し撮(ど)りしてくれってお前から――」
 僕は自分のスマホを見てみた。確(たし)かにそこには僕が彼女に告白する画像(がぞう)が――。そこから僕の意識(いしき)は途切(とぎ)れた。次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)、どういうわけか僕の目の前には彼女の顔があった。
 こ、これは……。近(ちか)い、近すぎる…。彼女はほんのり赤い顔をしてうつむいていた。まさか、ぼ、僕は…彼女にキスをしてしまったのか???? 彼女は僕の服(ふく)をつかんで、
「あなたって…、こんなことする人とは思わなかったわ…」
<つぶやき>まさかの展開(てんかい)…。これは、彼の潜在意識(せんざいいしき)が暴走(ぼうそう)してしまったのかもしれない。
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