「花を摘みに行く」
という言葉の用例はご存知だろうか。
もしご存知でない方は、事前にググっておいてもらいたい。
数日前に登ったばかりの宝満山。
飽きもせずにまた出かけた。
今回は、植物探しのオバサンはいない。
自分のペースで登れそうである。
今回も女道を選択。
何故ならば、
宝満山から三郡山まで縦走しようと思っているからだ。
この女道ルートだと、宝満山山頂をショートカットできるのだ。
といって、山頂はすぐ目の前ではあるが。
宝満山山頂は帰りにでも寄るつもりであった。
が、、、、
事情により、登れなくなるのは後述する。
仏頂山
縦走路のすぐ脇に山頂がある。
八葉の峰。
展望台らしい。これも縦走路のすぐ脇だ。
尾根道は落葉樹の小路である。
心地よい日差しが降り注ぐ、耳納山地にはあまりない明るい山道だ。
頭巾山
山頂は縦走路から少し入り込んだところにある。
頭巾山と書いて『ときんざん』と呼ぶ。
この後出会う親切なオバサンに教えて貰った。
アップダウンを繰り返し、粘土道では派手にスっ転びながらも、ずんずんと進む。
三郡山が見えてきた。
山頂付近には国交省のレーダーを始め、何本かの通信施設が林立している。
てっきり、山頂へは登れないかと思ったら、
「登れますよ。そこの先のフェンスを曲がって・・・」
ベンチに座っておにぎりを食べているオバサン、いや、オバーチャンが、親切に教えてくれた。
目的地到着。
晴れてはいるが、下界は少々霞んでいた。
あんまり視界も良くないので、そそくさと、さっきのバーチャンが座っていたベンチのところまで降りる事にする。
ザックには娘の江の島土産、健脚お守りをしっかりとつけているのだ。
さて、昼飯だ。
先ほどの親切なバーチャンがしきりに話しかけてくる。
「三郡山は初めて?じゃあウサギ道は?知らない?教えてあげましょうか?」
頼みもしないことを教えてくれると言う。
あの~、そのルートって宝満山山頂へはいけませんよね。
「あ、行きませんよ。でも、こちらが楽です。」
ははあ。
「いや、いいです。」と言えない気弱な私、いつのまにか一緒に降りることになった。
この小柄なバーチャンがその人である。
道すがらいろいろ話していくと、
何と、日本百名山を現在96座まで制し、あと
「4座ですたい。ハハ」
たいしたバーチャンなのだ。
「ここからがウサギ道ですと。目印を写真撮っておいたほうがよかよ。次の時に忘れんごとね。」
バーチャンのお節介は止まらない。
少々面倒臭くなってきた私、バーチャンごと撮ってやった。
下から登ってくる人にも一々声をかける。
「どこから登ってきたと?昭和の森からね。山頂はこの先を右ですバイ、右。」
どこまでもお節介なのである。
唐突に、
「この先で休憩しましょ。私はちょっと花ば摘みに行きます。」
出た!!
初めて聞いたよ。
リアル用例としての、生の『花を摘みに行く』を。
もちろん周辺にトイレなどない。
どこか林の奥の方まで入って用を足すつもりなのであるのか。
さすが96座を制した山ガールである。
この辺が潮時というものである。
「あ、私はここらで失礼します。色々教えて貰ってありがとうございました。」
「そうですか。もし、こん先で道がわからん時は、私が追いつくまでそこにおらんですか。」
「はい、ありがとうございます。そんじゃ。」
ピューーー
バーチャンが絶対追いつけないように、全速力で下山したのは言うまでもない。