伊万里に大川内山という焼物集落がある。
かつて鍋島藩の御用窯が置かれ、朝廷や将軍家に献上する焼物が焼かれた。
今に伝わる鍋島焼きである。
そんな事が書かれたページを、たまたまネットで見かけた。
「ふーん、今から行くか。」
大川内山は3方を山で囲われ、唯一の入口には関所が置かれた。
鍋島藩の秘中の秘である焼物の技術が、外に漏れないようする為である。
唐臼小屋
陶石を砕くための小屋を再現した物。
陶工無縁塔
集落を縫うように走る曲がりくねった道。
木戸跡。
これより先は、藩窯関係者以外は、何人たりとも足を踏み入れる事は出来なかった、と書かれている。
集落から外れ、左側の山手の方に行ってみた。
高麗橋
橋から向こうは、高麗人のエリアだった事を示している。
坂を登った先には、
半島から連れてこられ、鍋島焼きの礎を築いた高麗人の墓がある。
傍らに咲く彼岸花。
再び集落へ。
石畳の路を散策する。
何とも風情がある佇まいだ。
散策をするのは、何も人間ばかりではないようだ。
あ、お前!
まさかそれ、さっきの蝶じゃないやろな。
沢に沿って少し登ってみた。
トンバイ橋
登り窯で使われていた耐火レンガで作られた橋との事。
コンクリートブロックに埋め込まれた鍋島焼。
贅沢な護岸である。
散策猫2号
少し登ってみよう。
御経石窯跡。
かつて使われていた、20m程の登窯跡。
展望台から。
密集する瓦屋根。
もしかしたらこの風景は、秘窯の里であった江戸期と、さほど変わっていないのかも知れない。
伊万里は風鈴が名産だと言う。
涼やかな音色を立てる風鈴を指さし、
「一つ買おっと。」
「だめ!この前、マンションの掲示板に・・・」
昨今、風鈴の音色さえもクレーム対象となっているらしい。
世知辛い世の中になったものである。
草葉の陰でかつての陶工達も、嘆いているに違いない。