少し遠出をして、ジムニーの試運転をしてみたい。
「ジムニーの装備に慣れとかんといかん。熊本城ば見に行って、日奈久で太刀魚でも食うぞ。」(私)
何しろ担当営業マンの説明を、ろくすっぽ聞いていない私である。
クルーズコントロール、レーンはみ出し警告機能、その他の新機能を実際に体感してみて、
どういう使い方をしたらいいのか、またどんな癖があるのか知って置くべきであろう。
走ってみた印象を言うと、
高速域での64馬力ターボエンジンは流石のレスポンスと言っていい。
エンジン音、風切り音等も気になる程でもなく合格点である。
ブレーキ補助装置に関しては、試してみたい気も山々だが、隣に家内が乗っているのだ。
そんな真似をした瞬間に、ヤツのグーパンチが飛んでくるに違いない。
鼻血を出しながら運転する羽目にならないよう、試してみるのは止めておいた。
分かっていた事とは言え、収納スペースの極端な少なさ、
その僅かな収納スペースであるリヤラッゲージスペースに置いた荷物が、タイヤハウストリムを経由してリヤシートへ転がってくる点、
進路変更時のバックミラーの死角など、いくつか対策が必要なところも見えてきた。
「これとこれは、対策しておいた方がよさそうやな。」(私)
「ふーん。」(家内)
頑なに所有権を主張した割には、まるっきり他人事である。
熊本城に到着。
立ち入り禁止の工事フェンスが、あの震災がまだ終わっていない事を物語っている。
偶然だが11時から、二の丸広場ではイベントが行われるようである。
一回りした後、ちょっとだけ見物していくことにする。
右から大天守、中央が工事用足場が組まれた小天守、左が重要文化財の宇土櫓。
同じく重要文化財の長塀は倒れたままで、手つかずの様に見える。
崩壊した石垣が痛々しい。
戌亥櫓の一本柱。
この心細すぎる石組のみが、櫓の命運を今日まで保っている。
加藤神社から。
大天守の外壁の工事は終了しているかのように見える。
現在、小天守の外壁がむき出しにされ、修復作業が進められていた。
漆喰がはがれた宇土櫓。
復旧は遥か遠い。
二の丸広場に戻ってきた。
午後からはイベントの一つとして、武田流流鏑馬も行われるようだ。
これは本番前の練習風景。
100m弱のコースに3個の的が設けられている。
弓を引き絞り、
放つ!
無論、練習で的を射抜くわけにはいかない。
射手は的の横に設けられた黒い幕に矢を放っていく。
カッケー!
広場の別の場所では、薩摩日置鉄砲隊の演武が始まった。
薩摩藩鉄砲隊の戦法を受け継ぐものらしい。
あの関ヶ原合戦敵中突破の主力兵団であり、当時日本最強を誇る鉄砲隊だ。
「弾を込め!」
隊長の号令が下る。
「構え!」
「放て!」
ズドーン
腹に響くような轟音である。
撃ち手が反動で、のけ反り返る程の威力だ。
その後も、薩摩軍法に則った鉄砲の演武が執り行われていく。
大迫力である。
画像が荒くて恐縮だが、動画を貼り付けておく。
二の丸広場では、一日中、九州各地のお祭りイベントが開催されるようだが、空模様が怪しくなってきた。
流鏑馬本番も見てみたいが、熊本城を後にすることにした。
その後は、日奈久まで足を延ばし、太刀魚料理を食して帰途に就く。
いと美味し。
「あー、食った食った。帰りはお前が運転せんか。使い方に慣れた方がよかろうが。」
「イヤだ。」
「え?」
この車の所有権をあれだけ主張した割には、運転するのは私の役目らしい。
全く持って、理不尽と言うしかないが、