近頃世間を騒がせた、善光寺のびんずる尊者窃盗事件。
実は、犯人の出身地熊本県にもそれがある。
ただしこちらは、いかなる手段を以てしても盗めない、巨大びんずる尊者である。
地元では『おびんずる様』として、親しまれている。
朽網わかれの山桜を楽しんだ後は、大観望経由で山鹿へ。
山鹿市街から3号線を北上すると、程なくそれは見えてくる。
小山の中腹に頭をだした、おびんずる様だ。
正面の山全体が、日輪寺という古刹。
境内には、大石内蔵助を初めとする17名の赤穂浪士遺髪塔、
西南の役薩軍戦死者の墓、豊前街道山鹿口から移設された石橋、
竜王山古墳他多くの史跡がある。
見ての通り現在、山を覆うツツジが見頃となっている。
境内に車を止め、さっそく山の方へ行ってみた。
ツツジ咲く斜面に、灰色の頭が浮かぶ。
それを撮るオバサンを撮る私。
遊歩道はつづらに折れながら、頂上まで続く。
おびんずる様の背後まで登って来た。
頭の天辺に、タケコプターならぬ避雷針を乗せたおびんずる様。
何とも、チャーミングである。
頂上だ。
到着。
山頂全体が、竪穴式石室を持つ円墳だったらしい。
山頂から眺める菊池平野。
遙かな昔、魏書東夷伝に記された狗古智卑狗も、ここで同じ景色を見ていたかもしれぬ。
境内まで降りてきた。
本堂脇に石段がある。
石段を登っていくと、正面に巨大なびんずる尊者が姿を現す。
びんずる尊者は釈迦の弟子。
れっきとしたインドアーリア人である。
首を思いっきり反りかえり、額に手をかざして呟いた。
「こんなコテコテの日本人面じゃなかったと思われ・・・」
大仏の下にあるお堂には、寝仏になったおびんずる様が安置されている。
像を撫でると、悪いところが治るとされている。
そんじゃ、一つ二つ、いや三つほど頼みますぜ。
右の股関節と左膝と、そんでもって、これ以上物忘れが酷くならないよう、おつむを
ナデ、ナデ、ナデ