根子岳の紅葉が良いらしい。
「明日天気良さそうだし、登ってみるか?」(私)
「う、、うん。」(家内)
そんな訳で、昨日である。
大戸尾根登山口から根子岳東峰を目指した。
ギザギザの岩稜を左に見ながら、暫くは牧場の中を通って行く。
何てったって、牧場の中なのだ。
当然ながら、牛のウンチだらけである。
間違っても、生々しいのだけは踏んではいけない。
何しろこの後、急登が待っているのだ。
靴底は大事にすべきである。
失礼しまーす。
快調に先を進む家内。
この時までは元気だったのだが・・・
牧草地のどん詰まりまで進むと、もう一つゲートが設けてある。
そこを抜けると、
本格的な登山道に変わる。
山頂まで、連続して続く急登の始まりだ。
きつい傾斜に加え、地面も滑りやすい。
ズルズル滑った跡が、そこかしこに残っている。
何ヵ所か、補助のロープがかけてある。
滑らないよう肝に銘じ、有難くロープを掴もう。
改めて言う。
牛のウンチが付いた靴では、登らない方が身のためである。
後ろを振り返ると、ヤツが遅れ気味である。
ペースがいつもに比べて遅いのだ。
度々立ち止まっては、ヤツを待ってやらねばならぬ。
巨岩を見ると、どうにも登りたくなる人間は多いようだ。
この岩場の左脇の細い隙間を回り込むと、
梯子場となっていた。
天狗岩が木々の隙間から見えてきた。
「きゅ、休憩じでぐれ。ブヘー、ブヘー。」(家内)
「ん?」(私)
いつもなら、この程度の急登など物ともしない家内であるが、
「昨日、お腹の調子が少し・・・」
ケケ、弱ってやがるぜ。
いい気味である。
このまま置いてけぼりにしてやってもいいのだが、ひっきりなしに登山者がすり抜けて行く登山道なのだ。
流石に「あばよ」では体裁が悪かろう。
休憩してやる事にした。
パッチワークの様な山肌。
何回かの休憩を挟みながら、登山道を進むと、
漸く東峰頂上が見えてきた。
「まだ、あんなに登ると?」
その通りだ。
なんなら、ここで待ってろ。
「行ぐー。グヒー、ゲヒー」
ビューポイントにて。
ガスに覆われる天狗岩。
間違いなく、天狗の一人や二人は居る筈だ。
紅葉が良いとの情報は本当だった。
季節を勘違いしたミヤマキリシマ。
急登に次ぐ急登を上り詰めると、
山頂である。
振り返ると、何とかヤツも付いて来ているようだ。
随分と質素な山頂標識である。
阿蘇高岳&中岳方向。
九重連山もバッチリ。
丁度良き時間である。
昼飯にしよう。
このところ少し楽しみにしている、
蓋裏のメッセージは?
『おはし?フォーク?どっちで食べる?』
とな。
えーっと、
さいとうあすかチャン。
そこ?
因みにオジサンは箸だけどね。
狭い山頂だ。
どんどん登ってくるし、そうそう長居は出来ない。
飯を食ったら、とっとと下山である。
再びビューポイントでパシャリ。
陽が差すとまた違った印象である。
急登だったという事は、帰りは激下りになる訳で、
「つべこべ言うな。とっとと降りらんか。」(私)
とは言いながら、私自身、何度も滑ったが、その度に、芸術的なイナバウアーで凌ぎ切った。
何とか無事に、牧場まで降りてきた。
丁度、牛さんの散歩の時間のようである。
お邪魔しました。
天狗岩の景観と紅葉と急登を十分楽しめた山登りだった。