家内はニンニクが嫌いである。
どうしても使わざるを得ない場合、チューブか乾燥チップで代用する。
そんな家内が、どうした訳か生のニンニクを買ってきた。
それもかなり大ぶりのヤツだ。
先日、
私が晩酌をしていると、
「ほれ。」
ニンニクをレンチンしただけの物を2個、皿に載せて目の前に置いた。
(ははあ。買ってはみたものの、使い途に困ってるな。)
言っておくが、私はニンニク自体は好きな方である。
とは言えそれは、肉や野菜の料理の味付けとしてである。
こんな、そのものズバリは断じて好みでは無い。
ではあるが、
とっても人間が出来ている私。
こんな事で苦情を言ったりはしない。
黙ってそれを口に運んだ。
一つを食べ、残りの1個は、
「お前、ひとつ食べんか。」
「いや、おっちゃんが全部食べてよか。」
まるで、譲ってやるが如きの言い草で辞退した。
私は不本意にも、大ぶりのニンニクを2個食べる羽目となる。
翌日、
冷蔵庫から何やら取り出そうとしている家内の背中越しに、お茶を取ろうとすると、
「くさっ!!ニンニク臭いぞ!」
何たる言い草であろう。
私は一言も、ニンニクが欲しいなどと言ってはいない。
ニンニクの処理に困った挙げ句、無理矢理食わせたヤツは誰だ!
と、
言いたいところだが、前述したように、生きる仏様と呼ばれる私である。
ぐっと堪え、その場を立ち去った。
ソファーに座り、テレビでも見ることにした。
食事の下準備が済んだのか、家内もやってきて、隣に座った。
何となく、テレビの音楽に合わせて、
「ピューピュピュ、ピュ~~♫」
上機嫌で口笛を吹いていると、
「口笛吹くなーー!息もしちゃいかん。」
「・・・・・・(殺意)」
こんな不条理など、滅多にないだろう。
翌日、
アマゾンで、中国業者を排除して買った、イタリア製ロックグラスの初卸しである。
これに注ぐのは、スモーキーな飲み口が堪らないボウモアだ。
では。
この日のメインディッシュは、
前日、
臭い臭いと私を罵倒した事を反省してか、珍しく牛ステーキである。
流石にステーキには、ニンニクチップが乗っているかと思いきや、影も形も無い。
「ワサビ醤油で食べて。」
ステーキこそニンニクやろ。
また、丸ごと食わせて処理するつもりか。
とは、無論言わない。