昨日はもこの脇の下に出来た腫瘍の除去手術であった。
当日、私は病院へは行かず、もこを連れて行ったのは家内だけである。
私はこう見えて、実はこういうシチュエーションには、からっきし意気地がない。
もこが私たちを後追いする姿を見たら、とてもじゃないが平常心で帰る事なんてできない。
車中で号泣必至である。
その代わりと言っちゃなんだが、一晩のお泊りを終えたもこを迎えに行く事なら、些かも躊躇はしない。
開院ジャストに病院のドアを押したのは言うまでもない。
「脂肪腫でした。一番安心していいヤツです。」(ドクター)
とは言っても、今のうちに取っておかないと、場所が場所だけに、神経を圧迫して、歩行にも影響が出る恐れがある。
さらに、大きくなり過ぎると、筋肉と癒着して除去が困難になるかもしれない。
良性であるとは言え、やはり取っておくべきなんだそうだ。
ドクターに抱かれて、私たちの目の前に連れてこられたもこは、少々ぐったりしているように見えた。
いつもの気狂いしたような『淋しかったよー!!!』の鳴き声が無かったからだ。
私の腕に抱かれて、漸く、
「キャイン、キャイン!!」
と、いつもよりか細い声をあげた。
もこは自分に突然訪れたこの災難を、理解する事は出来ない。
ただひたすら、私らと共に家に帰りたいだけである。
よしよし、すぐ連れて帰ってやるからな。
いつもの事だが、動物たちのこんな場合の気遣いを思うと、胸が熱くなる。
いつもはドタバタと遊んだりケンカをしていても、こういう時はそっと見守るだけである。
もこが痛々しい姿で帰宅すると、すぐにフクが心配そうに出てきて、しばらく傍に寄り添っていた。
あ、フク。
傷口は舐めてやらんでもいいからな。