Tシャツとサンダルの候

猛暑の盆休み。こんな日は家族で鰻を食べるのだ。

久しぶりに一家そろって食事だ。

 

こういう時は、お袋の好物の鰻と決まっている。

正確には好物だったと言った方がいいかもしれぬ。

認知症の母親は、決して食欲がない訳ではないが、食事そのものへの興味を失くしているからだ。

ただ、

やはり、目の前に鰻とくれば、記憶が呼び覚まされたのか、そそくさと箸を取り、

 

「おいしか。」

 

少しは脳に刺激を与えられたかな。

いつも頼むのは、鰻のせいろ蒸し。

お袋が生まれ育った柳川の名物だが、久留米でもほとんどの店で食することが出来る。

 

いただきまーす。

 

はむ

 

はむはむ、モシャモシャ

 

はむはむ、モシャモシャ

 

パリパリ(註 漬物)

 

はむはむ、モシャモシャ

 

ズズズーーーー(註 肝吸い)

 

はむはむ、モシャモシャモシャモシャ

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

しゃべれよ!

 

まあ、鰻の時は無言になるわな。

 

 

ごちそうさま。

 

それぞれが、箸を置いても、お袋の食べ残しをまだ食べてるやつが。

おい!

 

 

せめて

 

 

2段に重ねるのは止めんか。

 

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