抜歯した翌日までは、山登りなどの過度の運動は、控える様にと言われている。
「暇やなあ。どっか行くか。そうだ、柳川に行って、例のあれを食べるか。」(私)
「行く。」(家内)
例のあれとは、
柳川と言っても、鰻のせいろ蒸しではない。
実はカレーの事なのだ。
やれやれ、
暇人とは恐ろしい。
たかがカレーに、20km以上も車を飛ばして、食べに行こうと言うのだから。
お堀には、どんこ舟が静かに水面を滑っている。
水郷柳川を象徴する風景である。
その掘割のすぐそばに、目指す店はある。
その名から分かるように、本業はお肉屋さんだ。
従業員に出していた賄い飯を、賄い飯グランプリに出品したところ、なんと優勝。
以後、テレビ等で紹介され、すっかり有名になった。
今や店内は立派なレストランである。
そもそもがだ。
例えば、魚屋さんの経営する寿司屋、
とか、
例えば、肉屋さんの経営するステーキハウス、
とか、
そんなスペシャルな修飾がついた店に、そそられない人間がこの世にいるだろうか。
肉屋さんの賄いカレー。
それだけで既に、怪しげな魔力を発している。
私等の注文は、
『柳川黄金博多和牛カレー ステーキ乗せ』である。
舌を3回は噛みそうな、やたらと長い名の、
尚且つ、
柳川と博多、二つの地名を併せ持つ、何が何やら方向感覚がおかしくなりそうなカレーだ。
もう一度言おう。
「やながわおうごんはかたわぎゅう・・・」
止める。
先ずは前菜の、生ハムのサラダ。
ドレッシングはかかってはいるが、
「お好みで、ノリネーズを掛けてお召し上がりください。」
ふーん。
もぐもぐ。
あ、要するに海苔の佃煮のドレッシングね。
「お待たせしました。柳川黄金博多和牛カレーステーキ乗せでございます。」
凄い!
噛まずに言えるんだ。
それにしても、豪勢じゃねえか。
先ずはステーキを頂こう。
カレーは付けずに、塩をちょいとふりかけて、
ハム
うん。
そりゃ旨いわな。
では、カレーを頂こう。
モグ
ふーん。
私好みのスパイシーな風味はイマイチかな。
しかしこの点は、備え付けのカレー粉を、お好みで振りかけるシステムになっているようだ。
このカレーの核心部と言えば、惜しげもなく投入された牛スジや牛脂を、じっくりと煮込んで生まれたコクと旨味にあるのだ。
それでは皆様。
そろそろ、カレーとステーキを合体させますぞ。
ウヒヒ
笑うしかないよ。
生ハムサラダも付いて税込み950円。
コスパ最強のカレー、ここにあり。