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古代ローマ人は建物の中に透明マントを仕込んでいた?メタマテリアルの原理を利用し免震していた可能性

2019年05月13日 | 世界びっくりニュース

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 光を含む電磁波に対して、自然界の物質には無い振る舞いをする不思議な人工物質「メタマテリアル」の研究が進む中、最先端の科学者たちは本物の透明マントの開発に夢中になっている。この物質は光を屈折させることが可能なのだ。

 だが、どうやら古代ローマ時代にも、それに似たようなものが利用されていたようだ。

 意図的に利用されていたのかどうかはわからないが、ローマ帝政期に建てられたコロッセオ(円形競技場)にも似た構造が見られ、それが地震波から建物を隠し、結果的に免震していた可能性があるというのだ。

光を曲げる不思議なメタマテリアル


 メタマテリアルとは、そのミクロ構造によって、光を含む電磁波に自然とは異なる曲がり方をさせる物質のことだ。

 普通の物質であれば屈曲率は正になるのだが、メタマテリアルは負の屈曲率を可能にする。それはつまり、これに当たった光は、非常に鋭い角度で曲がるようになるということだ。

 すぐ後ろの景色はちゃんと見えているのに、対象となる物体だけは煙のように消えてしまっている――そんな「透明マント」の開発が期待されるのも、光を異常なまでに曲げてしまえるこの性質ゆえだ。

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周囲の光を曲げて物体を隠してまう、メタマテリアルの透明マントの効果を示したグラフ
David R. Smith/Duke University

 残念ながら現時点では、透明マントが有効に使えるのは、マイクロ波や赤外線、あるいは特定の周波数の音波などに限られている。

 目に見える光にも使える透明マントの開発はずっと難しく、2017年に柱状に曲げた窒素ガリウム層(青色発光ダイオードに使われるもの)で可視光の流れを遅れさせるという原理の証明が行われただけにすぎない。


メタマテリアルを応用した免震構造


 じつはこうした仕組みを応用して、地震の被害を軽減する方法が提唱されている。

 地震が発生した際、建物に最悪のダメージを与えるのは、「レイリー波(表面波)」という水面のさざ波のような浅い地震波である。

 そこで、これをメタマテリアルの原理で緩和させようというのだ。いわば建物を地震波から隠してしまう、免震透明マントだ。

 具体的には、建物周囲の地中に格子状の孔や硬い物質を配置する。すると、この格子内で地震波同士が干渉しあって、揺れが大幅に低減するというわけだ。

 また最近開催されたアメリカ地震学会では、これに関連してまた別の2つのアイデアが発表された。

 1つは、地震に弱い地域の周囲に孔を開けた丘をバリアのように配置するという方法。シミュレーションでは、こちらのほうが、地中にこうした構造を作るよりも効果的に揺れを抑えられることが判明している。

もう1つは、さまざまな高さや幅を持つ建物を共鳴装置となるように配置することで、街全体で免震透明マント効果を発揮し、浅い地震波のエネルギーを弱めようというものだ。

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建物が共鳴装置となるように配置し、地震波から建物を隠してしまう免震透明マント
StephaneBruleet
 

ローマ闘技場に見られる免震透明マント構造


 こうした構造がフランス、オータンにあるガロ=ローマ時代の劇場で発見された。

 その劇場は航空写真で見ると半円状に柱が配置されているのだが、フランス人技師のステファン・ブルール氏がそれを免震透明マントの写真と重ね合わせてみたところ、ぴったり一致していることが判明したのである。

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免震透明マントと古代のガロ - ローマ劇場の間のアナロジー
image credit:

 さらに調査を進めると、こうした構造はほかにもローマのコロセウムや同時代の円形競技場にもあることがわかった。その時代にすでに免震構造が存在していたのだ。

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ローマ帝政時代に作られたコロッセオ Bengt Nyman/DSC_0771

 ただし古代ローマの建築家たちが、こうした構造を意図的に利用していたのかどうかは今のところわからない。

 彼らが経験的に地震に強い構造を知っていたのかもしれないが、たまたまそうだっただけという可能性もある。

 むしろ、ある種の「自然選択」のような作用が働いたと考えたほうが自然かもしれない。つまり、意図的であれ偶然であれ、地震に強い構造を持つ建築物のみが現代まで生き残ったということだ。

 この研究は『arXiv』で公開された。


☆ローマ人すげぇ!