麻黄湯(マオウトウ)、オートファジー機能増強で抗ウイルス効果を発揮
私の大和ごころを志しての旅は「ミロク文明」ミロクの世を地の上に現す方向性。
*麻黄湯、オートファジー機能増強で抗ウイルス効果を発揮 2012/05/11
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201205/524880.html
麻黄湯は、細胞の生存に関わるオートファジー(自己消化機構)機能を増強させることで、抗インフルエンザウイルス効果を発揮している可能性が示された。In vitroにおいて、麻黄湯のインフルエンザウイルス増殖抑制作用を検討した結果、明らかになった。成果は、福岡大学病院総合診療部の鍋島茂樹氏らが、このほど長崎で開催された日本感染症学会で発表した。
鍋島氏らは実臨床においてインフルエンザ治療に麻黄湯を使用しており、これまでも感染症学会などで、麻黄湯の有効性について報告してきた。今回は、抗ウイルス作用の機序を解明するため、種々のウイルス排除に大きな役割を果たしているとして注目されているオートファジー機能に焦点を当てた検討を行った。
オートファジーとは、真核生物に普遍的に存在する基本的な機能で、細胞の恒常性を維持するための重要な機能の一つとなっている。オートファジーを主として担っているのは、細胞内小器官であるオートファゴゾーム。これがライソゾームと融合しオートライソゾームとなることで、消化機能を発揮する。
たとえば、インフルエンザウイルスが細胞内に侵入した場合、オートファゴゾームがウイルスを取り込み、ライソゾームと結合しオートライソゾームとなることでウイルスを排除する。
演者らはまず、ヒト肺癌細胞株のA549にインフルエンザウイルス(PR/8)を感染させ、24時間後に培養液中の感染性ウイルス量およびウイルスRNAを測定した。この系で、ウイルスを感染させる際に麻黄湯を加え、コントロールとしてラニナミビルあるいはアマンタジンを加えた場合と比較した。その結果、麻黄湯は、コントロールと同様に、用量依存性にウイルス量を低下させることが分かった。
こうした麻黄湯(マオウトウ)の効果は、A/H3N2型、B型のそれぞれのウイルスにおいても、また細胞株を他に変えた場合でも認められた。
次に、オートファジー機能との関連性を検討。蛍光タンパク質(GFP-LC3)導入A549細胞にPR/8を感染させたところ、蛍光顕微鏡による観察では、細胞質のオートファゴゾームは増加していたが、ライソゾームと融合しているものは少ないことが分かった。つまり、インフルエンザウイルスは、オートファゴゾームとライソゾームとの融合を阻害して、感染を継続いていることが考えられた。
この系で麻黄湯を添加したところ、オートファゴゾームがさらに増加し、ライソゾームとの融合も確認されたという。
これらの結果から演者らは、「インフルエンザ感染では、オートファジーの成熟が阻害されている。麻黄湯は、これを解除することで、抗ウイルス効果を発揮していることが示唆された」と結論した。
*【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)
(2020年04月18日発行)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426
1. はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,中国・武漢でオーバーシュートした時点では,グローバルに感染拡大するとは誰も予想していなかった。わが国においては,武漢からの帰国者,ダイアモンド・プリンセス号における初期の感染フェーズから一気に広がることはなかったが,最近になって,オーバーシュートの危険性に警鐘が鳴らされている。
~
9. COVID-19に対する漢方治療活用の実際
日本の医療事情を考えると,重症化した患者の治療を漢方で行うのは現実的ではない。漢方が貢献できるとしたら,以下の2つの状況下においてであると考える。①ハイリスク患者の感染予防,②軽症患者の重症化予防。
①のハイリスク患者の感染予防は,漢方治療で最も重視する「未病の治療」である。『黄帝内経』の説く「気を増す」,すなわち生体防御能を増すことが漢方の役割と考える。
台湾のガイドラインにあるように,伝統医療治療の原則は個別化であり,それぞれの年齢,体力,疾患背景により異なる。そのため,漢方に詳しい医師の診断が必要であるが,逼迫した状況下においては,ある程度割り切って記載することをお許しいただきたい。
まずは生体防御能を増すためには,日々の「養生」が何より大切である。当たり前のことであるが,正しい食事・適度な運動,十分な休養が基本である。それに加えて,漢方では徹底的に冷えを嫌う。冷たい飲食物を避け,適切な衣服で体を温める。生姜汁などもよい。暴飲暴食は最もよくない。胃腸が弱ると防御機能が弱ると考える。
その上で高齢者は,玉屏風散に加えて補中益気湯,十全大補湯,人参養栄湯といったいわゆる補剤を考慮する。胃腸機能が弱っていれば四君子湯,六君子湯,茯苓飲などを用いる。現場の第一線で感染リスクに暴露されている医師には補中益気湯をお勧めする。
食薬区分の「専ら医薬品」には分類されない薬用人参,霊芝,冬虫夏草,板藍根などは免疫を高める生薬を入手して服用することもできる。漢方薬は飲みたいが医療機関に行きたくない,という知人にはこうした物を勧めているが,既に品薄のようである。インターネットなどでは品質の悪いものが高値で売られることもあるので信頼のおけるものを購入してほしい。
②の軽症患者の重症化予防は,感染徴候が少しでもあったら,ごく初期の症状を見逃さずに早めに葛根湯,麻黄湯(マオウトウ)を服薬する。高齢者は熱産生が弱いので麻黄附子細辛湯が良い。
COVID-19は上咽頭のみならず,気道の奥深く肺胞に達するところで増殖し,症状が出てから一気に悪化すると言われている。そうすると発熱を認めた時点で,葛根湯・麻黄湯では対応は不可能と考える。柴葛解肌湯か柴陥湯を処方する。柴葛解肌湯は葛根湯と小柴胡湯を合方すると近いものができる。生薬治療が可能であれば中国で既に効果が実証されている清肺排毒湯を処方するのがよい。
我々が動物実験で示してきたように,感染はウイルスの増殖スピードと生体防御能の競争である。重症化する前に本疾患の山場があると考えた方がよい。早め早めに適切な漢方治療が必要である。その上で改善徴候が見られなければ入院のタイミングを逃さないようにすることが肝要である。本稿執筆時に国から,感染が拡大している地域では,軽症者は自宅またはホテルで療養する,という指針が出された。ここで重症化を防いで回復させることが,医療崩壊を防ぐ最も効率的な方法であり,漢方薬の重要な役割と考える。
~
*「麻黄湯」に関する薬一覧 [市販薬](16件)
https://www.qlife.jp/meds/search/?&t=otc&page=1&k=%E9%BA%BB%E9%BB%84%E6%B9%AF
*【第2類医薬品】【メール便対応!送料無料!・3セット】 価格 2,180円 (税込)
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*麻黄湯がインフルエンザ治療の新たな選択肢に 2012/02/23
順天堂大学医学部総合診療科准教授・内藤俊夫氏に聞く
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201202/523756.html?ref=RL2
インフルエンザに保険適用のある麻黄湯。タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬とは異なり、抗ウイルス作用に加えて宿主側の免疫応答を調整することでも効果を発揮するという。順天堂大学医学部総合診療科准教授の内藤俊夫氏らは、ランダム化比較試験で麻黄湯はタミフルなどと同等の効果があるとの成績を得ている。内藤氏に、インフルエンザ治療における麻黄湯の可能性について聞いた。
―― 先生方はなぜ、麻黄湯によるインフルエンザ治療に取り組むようになったのですか。
内藤 従来、インフルエンザに対しては、ワクチンによる予防、解熱剤による対処療法、さらに抗ウイルス薬による治療が一般的です。しかし、抗ウイルス薬、たとえばタミフルについては、乱用や副作用が指摘されるようになりました。特に、耐性ウイルスの問題は大きな課題となっています。こうした反省にたって、抗ウイルス薬以外の治療法を検討していたのです。
―― 検討の結果、たどり着いたのが麻黄湯だったわけですか。
内藤 漢方薬もかぜ症候群やインフルエンザ治療の候補の1つなのです(図1)。現在、インフルエンザ(流感)の保険適応があるのは、麻黄湯、柴胡桂枝湯、竹茹湯胆湯の3つがあります。それぞれ患者さんの病態や進行状況に応じて、使い分けることができるようになっています。
図1 漢方薬のかぜ症候群に対する作用(松田邦夫監修「かぜ症候群の漢方治療ABC」をもとに改変引用)
―― 麻黄湯の抗ウイルス作用については、どこまで明らかになっているのでしょうか。
内藤 麻黄湯の成分である桂皮には、ウイルス感染に対して濃度依存性に抑制効果を示すことが報告されています。また麻黄湯の成分のうち、桂皮と麻黄にはサイトカインの産生抑制の効果が確認されていますし、杏仁と甘草には免疫賦活作用があることが報告されています。
―― 図1をみると、麻黄湯は急性期の治療薬として位置づけられています。タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬とは、効果に違いがあるのでしょうか。
内藤 小児においては、主として副作用が少ないことや安価であることなどから、インフルエンザ治療に麻黄湯がよく使われています。ご存知のように、インフルエンザの患者さんが苦痛に感じるのは全身症状なわけですが、小児の領域では、こうした症状改善に漢方薬が有効である可能性が示唆されています。そこで私たちは、成人において、麻黄湯の効果を検討しました。
―― 詳しく教えてください。
内藤 対象は、2008年の11月から2009年の3月までに当科を受診して、鼻咽頭ぬぐい液のインフルエンザ迅速診断キットでインフルエンザA抗原が陽性と分かった人(20歳以上)です。試験に対する同意が得られた45人を対象に、無作為化し、麻黄湯(ツムラ麻黄湯エキス顆粒[TJ-27])投与群(22人)と非投与群(23人)に分けて比較検討しました。
―― 麻黄湯非投与群は、抗ウイルス薬の治療を受けていたのでしょうか。
内藤 全例が受けていました。ですから、麻黄湯(単独、あるいは抗ウイルス薬と併用)の麻黄湯投与群と抗ウイルス薬だけの麻黄湯非投与群の2群間で比較検討したことになります。
評価項目は、体温(有熱時間)、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳、倦怠感としました。患者さんにそれぞれの評価項目ごとに、なし(0点)、少し(1点)、中程度(2点)、かなり(3点)、極めて(4点)の5段階で評価してもらいスコア化しました。受診後5日間のデータを記録したハガキを郵送してもらい、解析しました。ハガキによる回答が得られなかった8人(各群4人)を除き、最終的に麻黄湯投与群18人、非投与群19人を対象に解析しました。
―― 2群間で患者背景に差はなかったのですね。
内藤 割り付け時点で、年齢、受診時発熱、有熱時間などに有意差は認めませんでした。
解熱に必要だった日数に有意差は見られず
―― 治療の結果はいかがだったのでしょうか。
内藤 発熱についてですが、体温(有熱時間)の変化を比較したところ、麻黄湯投与群と非投与群で、解熱に要した日数に有意差は見られませんでした(図2)。治療なしについては、今回の検討では設定しませんでしたので、文献からデータを引用し比較しています。
図2 解熱までの日数(参考文献1より作成。
治療なしはDolin,R.:Influenza.current concepts.AM Farm Physician 72-77,1976から)
―― 2群とも、治療開始から2日目と3日目にかけて大きく熱が下がっています。一方、治療なし群では、5日目になってようやく治療群と同水準まで下がっています。
内藤 それから、これは意外だったのですが、関節痛については、麻黄湯投与群の方で、有意に早い改善効果が認められたのです(図3)。
図3 関節炎の改善効果(参考文献1より)
―― 意外だったのですか。
内藤 症状改善については同等であろうとの仮説を立てていましたので、関節痛で麻黄湯投与群が有意だったのは「意外」だったわけです。
―― ほかの症状についてはいかがだったのですか。
内藤 筋肉痛について、投与群の方で早い改善傾向にありましたが、有意ではありませんでした。症例がもっと多ければ、有意差にいたったかもしれません。そのほかの頭痛や咳、倦怠感では、自覚症状が消失するまでの日数に、両群で有意差はありませんでした。
―― 試験では、麻黄湯投与群を麻黄湯単独群、麻黄湯+タミフル併用群に分け、また、非投与群をタミフル単独群とリレンザ単独群に分け、これらの4群でも比較していました。
内藤 麻黄湯単独群が9人、麻黄湯+タミフル併用群が9人、タミフル単独群が13人、リレンザ単独群が6人でした。この4群で結果を比較したところ、以下の結果となりました。
(1)麻黄湯のインフルエンザ感染後の解熱作用は、抗ウイルス薬と同等だった。
(2)麻黄湯は、インフルエンザ感染後の頭痛、筋肉痛、咳、倦怠感の自覚症状において、抗ウイルス薬と同等の効果が認められた。
(3)関節痛に関しては、タミフル単独群よりも有意な改善効果が認められた。
―― 今回は20歳以上の患者さんを対象とした試験だったわけですが、小児だけでなく成人においても、麻黄湯によるインフルエンザ治療の効果が示されたと言っていいのでしょうか。
内藤 抗ウイルス薬と同等の効果が認められたわけですから、今後のインフルエンザ治療の選択肢の1つに、麻黄湯を加えてもいいと考えています。
―― 最後に、麻黄湯を利用するに当たって留意すべきことがあればご指摘ください。
内藤 1点あります。麻黄の成分にエフェドリンが含まれていますので、高齢者に使う場合、特に心臓が弱っている方には注意が必要です。
ーーーーーー
生【イ】かして頂いて ありがとう御座位ます【ス】
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*麻黄湯、オートファジー機能増強で抗ウイルス効果を発揮 2012/05/11
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201205/524880.html
麻黄湯は、細胞の生存に関わるオートファジー(自己消化機構)機能を増強させることで、抗インフルエンザウイルス効果を発揮している可能性が示された。In vitroにおいて、麻黄湯のインフルエンザウイルス増殖抑制作用を検討した結果、明らかになった。成果は、福岡大学病院総合診療部の鍋島茂樹氏らが、このほど長崎で開催された日本感染症学会で発表した。
鍋島氏らは実臨床においてインフルエンザ治療に麻黄湯を使用しており、これまでも感染症学会などで、麻黄湯の有効性について報告してきた。今回は、抗ウイルス作用の機序を解明するため、種々のウイルス排除に大きな役割を果たしているとして注目されているオートファジー機能に焦点を当てた検討を行った。
オートファジーとは、真核生物に普遍的に存在する基本的な機能で、細胞の恒常性を維持するための重要な機能の一つとなっている。オートファジーを主として担っているのは、細胞内小器官であるオートファゴゾーム。これがライソゾームと融合しオートライソゾームとなることで、消化機能を発揮する。
たとえば、インフルエンザウイルスが細胞内に侵入した場合、オートファゴゾームがウイルスを取り込み、ライソゾームと結合しオートライソゾームとなることでウイルスを排除する。
演者らはまず、ヒト肺癌細胞株のA549にインフルエンザウイルス(PR/8)を感染させ、24時間後に培養液中の感染性ウイルス量およびウイルスRNAを測定した。この系で、ウイルスを感染させる際に麻黄湯を加え、コントロールとしてラニナミビルあるいはアマンタジンを加えた場合と比較した。その結果、麻黄湯は、コントロールと同様に、用量依存性にウイルス量を低下させることが分かった。
こうした麻黄湯(マオウトウ)の効果は、A/H3N2型、B型のそれぞれのウイルスにおいても、また細胞株を他に変えた場合でも認められた。
次に、オートファジー機能との関連性を検討。蛍光タンパク質(GFP-LC3)導入A549細胞にPR/8を感染させたところ、蛍光顕微鏡による観察では、細胞質のオートファゴゾームは増加していたが、ライソゾームと融合しているものは少ないことが分かった。つまり、インフルエンザウイルスは、オートファゴゾームとライソゾームとの融合を阻害して、感染を継続いていることが考えられた。
この系で麻黄湯を添加したところ、オートファゴゾームがさらに増加し、ライソゾームとの融合も確認されたという。
これらの結果から演者らは、「インフルエンザ感染では、オートファジーの成熟が阻害されている。麻黄湯は、これを解除することで、抗ウイルス効果を発揮していることが示唆された」と結論した。
*【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)
(2020年04月18日発行)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426
1. はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,中国・武漢でオーバーシュートした時点では,グローバルに感染拡大するとは誰も予想していなかった。わが国においては,武漢からの帰国者,ダイアモンド・プリンセス号における初期の感染フェーズから一気に広がることはなかったが,最近になって,オーバーシュートの危険性に警鐘が鳴らされている。
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9. COVID-19に対する漢方治療活用の実際
日本の医療事情を考えると,重症化した患者の治療を漢方で行うのは現実的ではない。漢方が貢献できるとしたら,以下の2つの状況下においてであると考える。①ハイリスク患者の感染予防,②軽症患者の重症化予防。
①のハイリスク患者の感染予防は,漢方治療で最も重視する「未病の治療」である。『黄帝内経』の説く「気を増す」,すなわち生体防御能を増すことが漢方の役割と考える。
台湾のガイドラインにあるように,伝統医療治療の原則は個別化であり,それぞれの年齢,体力,疾患背景により異なる。そのため,漢方に詳しい医師の診断が必要であるが,逼迫した状況下においては,ある程度割り切って記載することをお許しいただきたい。
まずは生体防御能を増すためには,日々の「養生」が何より大切である。当たり前のことであるが,正しい食事・適度な運動,十分な休養が基本である。それに加えて,漢方では徹底的に冷えを嫌う。冷たい飲食物を避け,適切な衣服で体を温める。生姜汁などもよい。暴飲暴食は最もよくない。胃腸が弱ると防御機能が弱ると考える。
その上で高齢者は,玉屏風散に加えて補中益気湯,十全大補湯,人参養栄湯といったいわゆる補剤を考慮する。胃腸機能が弱っていれば四君子湯,六君子湯,茯苓飲などを用いる。現場の第一線で感染リスクに暴露されている医師には補中益気湯をお勧めする。
食薬区分の「専ら医薬品」には分類されない薬用人参,霊芝,冬虫夏草,板藍根などは免疫を高める生薬を入手して服用することもできる。漢方薬は飲みたいが医療機関に行きたくない,という知人にはこうした物を勧めているが,既に品薄のようである。インターネットなどでは品質の悪いものが高値で売られることもあるので信頼のおけるものを購入してほしい。
②の軽症患者の重症化予防は,感染徴候が少しでもあったら,ごく初期の症状を見逃さずに早めに葛根湯,麻黄湯(マオウトウ)を服薬する。高齢者は熱産生が弱いので麻黄附子細辛湯が良い。
COVID-19は上咽頭のみならず,気道の奥深く肺胞に達するところで増殖し,症状が出てから一気に悪化すると言われている。そうすると発熱を認めた時点で,葛根湯・麻黄湯では対応は不可能と考える。柴葛解肌湯か柴陥湯を処方する。柴葛解肌湯は葛根湯と小柴胡湯を合方すると近いものができる。生薬治療が可能であれば中国で既に効果が実証されている清肺排毒湯を処方するのがよい。
我々が動物実験で示してきたように,感染はウイルスの増殖スピードと生体防御能の競争である。重症化する前に本疾患の山場があると考えた方がよい。早め早めに適切な漢方治療が必要である。その上で改善徴候が見られなければ入院のタイミングを逃さないようにすることが肝要である。本稿執筆時に国から,感染が拡大している地域では,軽症者は自宅またはホテルで療養する,という指針が出された。ここで重症化を防いで回復させることが,医療崩壊を防ぐ最も効率的な方法であり,漢方薬の重要な役割と考える。
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*「麻黄湯」に関する薬一覧 [市販薬](16件)
https://www.qlife.jp/meds/search/?&t=otc&page=1&k=%E9%BA%BB%E9%BB%84%E6%B9%AF
*【第2類医薬品】【メール便対応!送料無料!・3セット】 価格 2,180円 (税込)
ツムラ漢方 麻黄湯エキス顆粒 8包×3個セット【まおうとう・マオウトウ】【P25Apr15】
https://item.rakuten.co.jp/energyplus/al-4987138481269-3set-mail/?s-id=stp5_log6_browsehist
*コルゲンコーワ顆粒かぜ薬6包 〔2類医〕/ゆうメール発送可 コルゲンコーワ顆粒かぜ薬1.8g×6包は、漢方処方である「麻黄湯」を配合した顆粒かぜ薬です。 メーカー希望小売価格 オープン価格 価格 946円 (税込)
https://item.rakuten.co.jp/asuka-ph/10018661/?s-id=top_normal_browsehist&xuseflg_ichiba01=10018661
*麻黄湯がインフルエンザ治療の新たな選択肢に 2012/02/23
順天堂大学医学部総合診療科准教授・内藤俊夫氏に聞く
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201202/523756.html?ref=RL2
インフルエンザに保険適用のある麻黄湯。タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬とは異なり、抗ウイルス作用に加えて宿主側の免疫応答を調整することでも効果を発揮するという。順天堂大学医学部総合診療科准教授の内藤俊夫氏らは、ランダム化比較試験で麻黄湯はタミフルなどと同等の効果があるとの成績を得ている。内藤氏に、インフルエンザ治療における麻黄湯の可能性について聞いた。
―― 先生方はなぜ、麻黄湯によるインフルエンザ治療に取り組むようになったのですか。
内藤 従来、インフルエンザに対しては、ワクチンによる予防、解熱剤による対処療法、さらに抗ウイルス薬による治療が一般的です。しかし、抗ウイルス薬、たとえばタミフルについては、乱用や副作用が指摘されるようになりました。特に、耐性ウイルスの問題は大きな課題となっています。こうした反省にたって、抗ウイルス薬以外の治療法を検討していたのです。
―― 検討の結果、たどり着いたのが麻黄湯だったわけですか。
内藤 漢方薬もかぜ症候群やインフルエンザ治療の候補の1つなのです(図1)。現在、インフルエンザ(流感)の保険適応があるのは、麻黄湯、柴胡桂枝湯、竹茹湯胆湯の3つがあります。それぞれ患者さんの病態や進行状況に応じて、使い分けることができるようになっています。
図1 漢方薬のかぜ症候群に対する作用(松田邦夫監修「かぜ症候群の漢方治療ABC」をもとに改変引用)
―― 麻黄湯の抗ウイルス作用については、どこまで明らかになっているのでしょうか。
内藤 麻黄湯の成分である桂皮には、ウイルス感染に対して濃度依存性に抑制効果を示すことが報告されています。また麻黄湯の成分のうち、桂皮と麻黄にはサイトカインの産生抑制の効果が確認されていますし、杏仁と甘草には免疫賦活作用があることが報告されています。
―― 図1をみると、麻黄湯は急性期の治療薬として位置づけられています。タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬とは、効果に違いがあるのでしょうか。
内藤 小児においては、主として副作用が少ないことや安価であることなどから、インフルエンザ治療に麻黄湯がよく使われています。ご存知のように、インフルエンザの患者さんが苦痛に感じるのは全身症状なわけですが、小児の領域では、こうした症状改善に漢方薬が有効である可能性が示唆されています。そこで私たちは、成人において、麻黄湯の効果を検討しました。
―― 詳しく教えてください。
内藤 対象は、2008年の11月から2009年の3月までに当科を受診して、鼻咽頭ぬぐい液のインフルエンザ迅速診断キットでインフルエンザA抗原が陽性と分かった人(20歳以上)です。試験に対する同意が得られた45人を対象に、無作為化し、麻黄湯(ツムラ麻黄湯エキス顆粒[TJ-27])投与群(22人)と非投与群(23人)に分けて比較検討しました。
―― 麻黄湯非投与群は、抗ウイルス薬の治療を受けていたのでしょうか。
内藤 全例が受けていました。ですから、麻黄湯(単独、あるいは抗ウイルス薬と併用)の麻黄湯投与群と抗ウイルス薬だけの麻黄湯非投与群の2群間で比較検討したことになります。
評価項目は、体温(有熱時間)、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳、倦怠感としました。患者さんにそれぞれの評価項目ごとに、なし(0点)、少し(1点)、中程度(2点)、かなり(3点)、極めて(4点)の5段階で評価してもらいスコア化しました。受診後5日間のデータを記録したハガキを郵送してもらい、解析しました。ハガキによる回答が得られなかった8人(各群4人)を除き、最終的に麻黄湯投与群18人、非投与群19人を対象に解析しました。
―― 2群間で患者背景に差はなかったのですね。
内藤 割り付け時点で、年齢、受診時発熱、有熱時間などに有意差は認めませんでした。
解熱に必要だった日数に有意差は見られず
―― 治療の結果はいかがだったのでしょうか。
内藤 発熱についてですが、体温(有熱時間)の変化を比較したところ、麻黄湯投与群と非投与群で、解熱に要した日数に有意差は見られませんでした(図2)。治療なしについては、今回の検討では設定しませんでしたので、文献からデータを引用し比較しています。
図2 解熱までの日数(参考文献1より作成。
治療なしはDolin,R.:Influenza.current concepts.AM Farm Physician 72-77,1976から)
―― 2群とも、治療開始から2日目と3日目にかけて大きく熱が下がっています。一方、治療なし群では、5日目になってようやく治療群と同水準まで下がっています。
内藤 それから、これは意外だったのですが、関節痛については、麻黄湯投与群の方で、有意に早い改善効果が認められたのです(図3)。
図3 関節炎の改善効果(参考文献1より)
―― 意外だったのですか。
内藤 症状改善については同等であろうとの仮説を立てていましたので、関節痛で麻黄湯投与群が有意だったのは「意外」だったわけです。
―― ほかの症状についてはいかがだったのですか。
内藤 筋肉痛について、投与群の方で早い改善傾向にありましたが、有意ではありませんでした。症例がもっと多ければ、有意差にいたったかもしれません。そのほかの頭痛や咳、倦怠感では、自覚症状が消失するまでの日数に、両群で有意差はありませんでした。
―― 試験では、麻黄湯投与群を麻黄湯単独群、麻黄湯+タミフル併用群に分け、また、非投与群をタミフル単独群とリレンザ単独群に分け、これらの4群でも比較していました。
内藤 麻黄湯単独群が9人、麻黄湯+タミフル併用群が9人、タミフル単独群が13人、リレンザ単独群が6人でした。この4群で結果を比較したところ、以下の結果となりました。
(1)麻黄湯のインフルエンザ感染後の解熱作用は、抗ウイルス薬と同等だった。
(2)麻黄湯は、インフルエンザ感染後の頭痛、筋肉痛、咳、倦怠感の自覚症状において、抗ウイルス薬と同等の効果が認められた。
(3)関節痛に関しては、タミフル単独群よりも有意な改善効果が認められた。
―― 今回は20歳以上の患者さんを対象とした試験だったわけですが、小児だけでなく成人においても、麻黄湯によるインフルエンザ治療の効果が示されたと言っていいのでしょうか。
内藤 抗ウイルス薬と同等の効果が認められたわけですから、今後のインフルエンザ治療の選択肢の1つに、麻黄湯を加えてもいいと考えています。
―― 最後に、麻黄湯を利用するに当たって留意すべきことがあればご指摘ください。
内藤 1点あります。麻黄の成分にエフェドリンが含まれていますので、高齢者に使う場合、特に心臓が弱っている方には注意が必要です。
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