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イオン、V字回復にも厳しい声が上がる理由

2016年01月31日 19時30分29秒 | 学習支援・研究
イオン、V字回復にも厳しい声が上がる理由
東洋経済オンライン
1月15日(金)6時5分配信

イオン、V字回復にも厳しい声が上がる理由

2015年度の業績は急回復しているが、
前年度の低迷でハードルが下がっていた面も否めない
(撮影:尾形文繁)

国内流通首位・イオンの業績回復トレンドが鮮明になってきた。
1月8日発表した2015年度第3四半期(2015年3~11月期)の連結決算は、
売上高が前期比18.9%増の6兆0360億円と過去最高、
営業利益は同63.8%増の808億円と4期ぶりの増益となった。

買収効果もあり食品スーパー(SM)や
ドラッグストア事業が大きく伸びたほか、金融、
不動産事業も堅調だった。
一方、主力の総合スーパー(GMS)事業は
営業赤字が膨らみ、不振からの脱出へ模索が続いている。

若生信弥・執行役財務担当は「もっとも貢献したのは、
上期同様に食品スーパー・ディスカウント事業。
(買収などで2015年3月に新しく誕生した)ユナイテッド・
スーパーマーケット・ホールディングスの
新規連結効果に加え、(GMSから食品スーパーへ転換している)
ダイエーやマックスバリュなど
食品スーパー各社の増益が大きい」と話した。

子会社のダイエーは黒字化に手ごたえ
イオンが2015年1月に完全子会社化したダイエーは、
事業領域を「食」に集中し、生鮮・デリカを強化したことが奏功。
食品売り場が堅調に推移し始めており、
「早期の黒字化を目指す」(若生氏)と
手ごたえを感じているという。こうした効果で、
SM・DS事業の売上高は26.9%増の229億円、
営業利益は74億円(前期は143億円の赤字)と伸長した。

ただ、最大の課題となっているGMS事業は売上高が
4.4%増の2兆0592億円と1ケタ台の伸びにとどまり、
営業赤字額は258億円と、前期152億円の赤字から膨らんだ。
若生氏は「消費増税駆け込みの反動減に加え、
11月の暖冬で衣料・住居関連の不振から
販促費の追加投入があった。
活性化投資の集中期でもあり、
利益を押し下げた」と分析する。

一方、既存店売上高は確実に改善していることを強調。
積極的な改装など活性化による効果もあり、
7~10月は4カ月連続で前年を上回り、
11月の暖冬影響を除けば、
12月以降も回復傾向にあるという。

イオンがGMS改革で行っているのは“脱総合化”だ。
地域の客層や競合状況に応じて店舗の改装を実施しており、
「イオンスタイルストア」という店舗名で
次々にオープンしている。たとえば、2015年12月にオープンした
「イオンスタイル御嶽山駅前」(東京都大田区)は、
所得水準が比較的高い世帯が多く住む地域特性を踏まえ、
これまでの画一的な品ぞろえを改めて地域のニーズが高い
高級食材やワインを多くそろえるなど工夫。
衣料品売り場を大きく減らす一方、
食品売り場中心の店舗に変えた。

全国に約350店を展開する、イオン傘下の
イオンリテールではこうした業態転換を
2014年から進めている。これまで本社が握っていた仕入れ権限を
各店舗に委譲し、本部主導の画一的な品ぞろえではなく、
地域密着による店舗づくりで
地元スーパーなどに対抗していく考えだ。

GMS改革を担当するイオンリテールの岡崎双一社長は
「店舗改装はかなり精度が高くなっている。
来期の改装計画は加速する形でやっていく」と鼻息が荒い。
改装店舗の売上高は改装前より
1割程度高くなっているケースもあり、
客からの評価も上々だ。

ただ、市場関係者の反応は厳しい。
多くのアナリスト予想に届かず、
GMSを主因に想定を下回る決算となった。
決算発表後の翌週明けの株価は大幅続落した。
大手国内証券アナリストは「GMS改革の方向性は正しいが、
道半ばだ。GMS事業は赤字が膨らんでおり、
固定費もまだ高い」と指摘する。そのうえで、
「西友は米ウォルマート傘下になったことで、
一気にリストラをやって今では大きく改善した。
イオンもそれだけの規模感とスピードが必要だ」と話す。

イオンは3~11月期の連結決算が大きく改善しているが、
グループ再編に伴う新規連結子会社の寄与分が
200億円以上と大きかったほか、
前期の営業利益が低水準だった。
ハードルが低くなっていたため、
大幅な増収増益に見えている面も否めない。

苦戦のGMSは、閉店ではなく改装で対応
イオンスタイルへの業態転換もこれからが本番で
真価を問われる。改装後の店舗は、
店員を多く配置し、これまでのセルフサービスではなく、
接客を強化しながら購買意欲を高めていくスタイルだ。
その中で現在は人材不足が露呈しており、
岡崎氏も「本当はもっと商品を並べたいが、
人材不足や採用難がある。
新店舗では昔のセルフとは違うやり方をしようとしているので、
かなりの人手がかかる」と漏らす。

GMSをめぐっては、大幅赤字が続くセブン&アイグループの
イトーヨーカ堂が40店の大量閉鎖を2015年秋に発表。
2016年に入って戸井和久社長が突如辞任し、
前任の亀井淳顧問が社長に返り咲く異例の人事異動も出た。
2016年9月にファミリーマートとの経営統合を予定する、
愛知県地盤のユニーグループ・ホールディングスも
数十店規模のGMS閉鎖を検討するなど、動きが激しい。

他方、イオンは現在、GMSの閉鎖を検討していない。
岡崎氏は「私どものGMS改革は、
閉店よりも大変なことをやっている。
第3四半期は芳しくなかったが、
今戻っているので改革は間違っていないと思っている」と力を込める。
はたしてイオンはGMSで真の復活を遂げることができるか。
注目が集まっている。

冨岡 耕

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160115-00100442-toyo-bus_all

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最終更新:1月15日(金)6時5分




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