デジタル時代、変わる学び 授業も家庭学習も
2014年3月10日
「あ、これ前に間違えた問題だよ!」。教育アプリを楽しむ吉川榛花さん(右)と瑛登くん=神奈川県大和市
写真:『タイピングゴースト』の画面
写真:『しつもん!ドラえもん』の画面
『しつもん!ドラえもん』の画面
写真:『朝日新聞デジタルfor school』のトップページ
写真:「フォー・スクール」で気になる記事を探す桜修館中等教育学校の生徒たち=東京都目黒区
パソコンやタブレット端末、電子黒板といったICT(情報通信技術)の活用が、
全国の教育現場で広がっています。対応する教材も続々と登場、
学校や塾といった場所だけでなく、
家庭にもその利用は浸透してきました。
思い思いの場所で、好きな時に、自分のペースで学べるのが
ICT教育の大きな特長です。どのように使われ、
効果を上げているのしょうか。
デジタル時代の最新の学びの現場を紹介します。
自分のペースで勉強できる「教育アプリ」
「もうちょっとでレベルアップだよ」「打つの早くなったねー」
リビングでノートパソコンを囲み、
画面をタッチする吉川榛花(はるか)さん(12)と瑛登(あきと)くん(10)が
にぎやかな声を上げています。神奈川県大和市に住む
小学6年生と4年生の姉弟。
てっきりゲームをしているのかとのぞいてみると、
様子が違います。「day」「book」「sheep」など
ディスプレイに現れる単語のアルファベットをキーボードで次々に打っていきます。
このタイピングが攻撃となって、街に現れる「ゴースト」たちと対決しているよう。
「早く打てるとボーナスがもらえるんだよ」。
瑛登くんがにこにこして教えてくれました。
二人が楽しむのは「タイピングゴースト」(ベネッセコーポレーション)
という、いわゆる「教育アプリ」。
マイクロソフトのOS「Windows8」が無料で提供しているものです。
「英単語」と「タイピング」を同時に身につけられるのが
ポイントで、ネイティブスピーカーの発音も聞けるので、
耳からも自然に英語を学べるといいます。
アキトくんは始めて間もないそうですが、
2音節程度の英単語なら、両手を使い、
かなりの速さでキーボードへの打ち込みができていました。
二人はこのほかにも、朝日新聞で人気の連載「しつもん! ドラえもん」のアプリ版も、
よく利用するそう。答えを紙面上で探す本紙版と違い、
選りすぐりの100問が三択で画面に現れ、
正解数に応じて「メダル」がもらえるなど、
よりゲーム性増しているアプリです。
自宅学習の習慣づけに一役
「楽しいから続いているんだと思います」と
母親の美樹さん。もともとハルカさんが
小さい時から紙の通信教育を利用していて、
DVDを使った英語教材用にパソコンを使いはじめ、
自然と教育アプリも採り入れるようになったのだといいます。
美樹さんは、パソコンやタブレットなどデジタル機器を使った学びは、
「自宅学習の習慣づけに一役買っています」と話します。
子どもが小学生のうちは、時間が拘束される塾通いを
なるべくせずに、自宅で勉強をさせたいと考えていますが、
マイペースだとどうしても添削課題の提出が遅れたり、
滞ったりしがち。「その点、双方向のやりとりができたり
ポイントがもらえたり、子どもを飽きさせない工夫がされている
デジタル教材だと無理なく取り組めるようで、
ペースをつかみやすいですね」。
榛花さんは今春から中学生。
「これからも通信教育とか新しいアプリとか使って、
中学の勉強をしっかりがんばりたいです」
学校にも急速にデジタルの風
デジタル機器を使った学習は、全国の学校にも
急速に広まっています。その多くは、
パソコンやタブレット端末、電子黒板を使い、
デジタル教科書や教科書会社が開発した教材を使ったり、
機器そのものの特性を生かして
動画作成をしたりという取り組みなどです。
東京都立桜修館中等教育学校(東京都目黒区)では、
第3学年(中学3年)と第4学年(高校1年)で
朝日新聞の「朝日新聞デジタル for school(フォー・スクール)」を採り入れています。
「フォー・スクール」は、朝日新聞デジタルの豊富なコンテンツの中から、
学習で活用しやすいように人気コラムや話題の記事、
写真・動画をえりすぐった学校向けの電子新聞です。
取材に訪れたのは第3学年の公民の時間。
関心のある記事を選び出して要約し、
それについて自分の意見をまとめるという内容の授業でした。
記事を選ぶのに最も活用されたのは、
過去5年分の160万件を超える記事を網羅する検索機能です。
生徒たちは検索窓に「橋下市長」「円高」「オリンピック」「ニコニコ動画」といった
思い思いのキーワードを入力。
一覧となって表示される記事を次々開いて、読み比べます。
新聞紙面では各都道府県でしか読めない地域面の記事のほか、
東京以外の大阪、名古屋、西部(福岡)各本社独自の記事も検索できます。
普段は目に触れる機会が少ないこうした記事に関心を持つ生徒も少なくありませんでした。
キーワードに悩む生徒には、担当の高橋勝也教諭がヒントを出します。
当日の朝刊トップ記事3本を収録した「朝刊ピックアップ」や、
人気コラム「天声人語」を始めとする30近いコンテンツにも多くの記事を収容。
ここで直接関心のある記事を探す方法も「おすすめ」と声をかけました。
朝刊ピックアップは過去1週間分、各コンテンツには掲載頻度に関わらず
過去50本の記事が保存されています。
早速、その日の朝刊のトップ記事を選んで書き出す生徒もいました。
パソコンがずらりと並ぶ教室で授業に集中
授業の締めくくりには、数人の生徒が選んだ記事の要約とともに、
そのテーマについて意見を発表。
ある女子生徒は「『グローバル高校』で人材育成
教育再生会議が提言案」を選び、
「英語という道具を使って世界全体で進歩していくべきだし、
ぜひ実行されてほしい」と話しました。
「成長戦略に『原発活用』 政権素案、再稼働の推進明記」に関心を寄せた男子生徒は、
「地域経済への貢献も理解できるが、
命に関わることは慎重にやるべきだ」と意見を述べました。
高橋教諭は「調べて考えて発表することは、
授業で充実させなければならない『言語活動』にも役立ちます。
テーマを決めれば、どんな教科でも使えそうです」と話していました。
◇
『しつもん!ドラえもん』
朝日新聞で連載中の大人気企画がアプリ版となって登場。
親子で楽しく学びやすいように、答えを3択に。
ためになる全100門を選りすぐりました。
『タイピングゴースト』(ベネッセコーポレーション)
ベネッセコーポレーションよりオバケ退治をしながら
英語の学習とタイピングの練習ができるアプリが登場しました。
レベルに応じたさまざまなステージがあり、
キーボードにふれたことのないお子さまから、
英単語を身につけたいおうちの方まで楽しくプレイすることができます。
『朝日新聞デジタルselect for school』
学校や教育現場で、調べ学習に教材づくりに役立つ新しい形の電子新聞。
朝日新聞デジタルの豊富なコンテンツから、
人気コラムや話題の記事、写真や動画をえりすぐって集約。
過去5年分を網羅する記事検索機能も。
パソコン、タブレット端末、電子黒板でご利用いただけます。
http://www.asahi.com/and_w/interest/TKY201403100012.html?cid=msw8_outbrainより
2014年3月10日
「あ、これ前に間違えた問題だよ!」。教育アプリを楽しむ吉川榛花さん(右)と瑛登くん=神奈川県大和市
写真:『タイピングゴースト』の画面
写真:『しつもん!ドラえもん』の画面
『しつもん!ドラえもん』の画面
写真:『朝日新聞デジタルfor school』のトップページ
写真:「フォー・スクール」で気になる記事を探す桜修館中等教育学校の生徒たち=東京都目黒区
パソコンやタブレット端末、電子黒板といったICT(情報通信技術)の活用が、
全国の教育現場で広がっています。対応する教材も続々と登場、
学校や塾といった場所だけでなく、
家庭にもその利用は浸透してきました。
思い思いの場所で、好きな時に、自分のペースで学べるのが
ICT教育の大きな特長です。どのように使われ、
効果を上げているのしょうか。
デジタル時代の最新の学びの現場を紹介します。
自分のペースで勉強できる「教育アプリ」
「もうちょっとでレベルアップだよ」「打つの早くなったねー」
リビングでノートパソコンを囲み、
画面をタッチする吉川榛花(はるか)さん(12)と瑛登(あきと)くん(10)が
にぎやかな声を上げています。神奈川県大和市に住む
小学6年生と4年生の姉弟。
てっきりゲームをしているのかとのぞいてみると、
様子が違います。「day」「book」「sheep」など
ディスプレイに現れる単語のアルファベットをキーボードで次々に打っていきます。
このタイピングが攻撃となって、街に現れる「ゴースト」たちと対決しているよう。
「早く打てるとボーナスがもらえるんだよ」。
瑛登くんがにこにこして教えてくれました。
二人が楽しむのは「タイピングゴースト」(ベネッセコーポレーション)
という、いわゆる「教育アプリ」。
マイクロソフトのOS「Windows8」が無料で提供しているものです。
「英単語」と「タイピング」を同時に身につけられるのが
ポイントで、ネイティブスピーカーの発音も聞けるので、
耳からも自然に英語を学べるといいます。
アキトくんは始めて間もないそうですが、
2音節程度の英単語なら、両手を使い、
かなりの速さでキーボードへの打ち込みができていました。
二人はこのほかにも、朝日新聞で人気の連載「しつもん! ドラえもん」のアプリ版も、
よく利用するそう。答えを紙面上で探す本紙版と違い、
選りすぐりの100問が三択で画面に現れ、
正解数に応じて「メダル」がもらえるなど、
よりゲーム性増しているアプリです。
自宅学習の習慣づけに一役
「楽しいから続いているんだと思います」と
母親の美樹さん。もともとハルカさんが
小さい時から紙の通信教育を利用していて、
DVDを使った英語教材用にパソコンを使いはじめ、
自然と教育アプリも採り入れるようになったのだといいます。
美樹さんは、パソコンやタブレットなどデジタル機器を使った学びは、
「自宅学習の習慣づけに一役買っています」と話します。
子どもが小学生のうちは、時間が拘束される塾通いを
なるべくせずに、自宅で勉強をさせたいと考えていますが、
マイペースだとどうしても添削課題の提出が遅れたり、
滞ったりしがち。「その点、双方向のやりとりができたり
ポイントがもらえたり、子どもを飽きさせない工夫がされている
デジタル教材だと無理なく取り組めるようで、
ペースをつかみやすいですね」。
榛花さんは今春から中学生。
「これからも通信教育とか新しいアプリとか使って、
中学の勉強をしっかりがんばりたいです」
学校にも急速にデジタルの風
デジタル機器を使った学習は、全国の学校にも
急速に広まっています。その多くは、
パソコンやタブレット端末、電子黒板を使い、
デジタル教科書や教科書会社が開発した教材を使ったり、
機器そのものの特性を生かして
動画作成をしたりという取り組みなどです。
東京都立桜修館中等教育学校(東京都目黒区)では、
第3学年(中学3年)と第4学年(高校1年)で
朝日新聞の「朝日新聞デジタル for school(フォー・スクール)」を採り入れています。
「フォー・スクール」は、朝日新聞デジタルの豊富なコンテンツの中から、
学習で活用しやすいように人気コラムや話題の記事、
写真・動画をえりすぐった学校向けの電子新聞です。
取材に訪れたのは第3学年の公民の時間。
関心のある記事を選び出して要約し、
それについて自分の意見をまとめるという内容の授業でした。
記事を選ぶのに最も活用されたのは、
過去5年分の160万件を超える記事を網羅する検索機能です。
生徒たちは検索窓に「橋下市長」「円高」「オリンピック」「ニコニコ動画」といった
思い思いのキーワードを入力。
一覧となって表示される記事を次々開いて、読み比べます。
新聞紙面では各都道府県でしか読めない地域面の記事のほか、
東京以外の大阪、名古屋、西部(福岡)各本社独自の記事も検索できます。
普段は目に触れる機会が少ないこうした記事に関心を持つ生徒も少なくありませんでした。
キーワードに悩む生徒には、担当の高橋勝也教諭がヒントを出します。
当日の朝刊トップ記事3本を収録した「朝刊ピックアップ」や、
人気コラム「天声人語」を始めとする30近いコンテンツにも多くの記事を収容。
ここで直接関心のある記事を探す方法も「おすすめ」と声をかけました。
朝刊ピックアップは過去1週間分、各コンテンツには掲載頻度に関わらず
過去50本の記事が保存されています。
早速、その日の朝刊のトップ記事を選んで書き出す生徒もいました。
パソコンがずらりと並ぶ教室で授業に集中
授業の締めくくりには、数人の生徒が選んだ記事の要約とともに、
そのテーマについて意見を発表。
ある女子生徒は「『グローバル高校』で人材育成
教育再生会議が提言案」を選び、
「英語という道具を使って世界全体で進歩していくべきだし、
ぜひ実行されてほしい」と話しました。
「成長戦略に『原発活用』 政権素案、再稼働の推進明記」に関心を寄せた男子生徒は、
「地域経済への貢献も理解できるが、
命に関わることは慎重にやるべきだ」と意見を述べました。
高橋教諭は「調べて考えて発表することは、
授業で充実させなければならない『言語活動』にも役立ちます。
テーマを決めれば、どんな教科でも使えそうです」と話していました。
◇
『しつもん!ドラえもん』
朝日新聞で連載中の大人気企画がアプリ版となって登場。
親子で楽しく学びやすいように、答えを3択に。
ためになる全100門を選りすぐりました。
『タイピングゴースト』(ベネッセコーポレーション)
ベネッセコーポレーションよりオバケ退治をしながら
英語の学習とタイピングの練習ができるアプリが登場しました。
レベルに応じたさまざまなステージがあり、
キーボードにふれたことのないお子さまから、
英単語を身につけたいおうちの方まで楽しくプレイすることができます。
『朝日新聞デジタルselect for school』
学校や教育現場で、調べ学習に教材づくりに役立つ新しい形の電子新聞。
朝日新聞デジタルの豊富なコンテンツから、
人気コラムや話題の記事、写真や動画をえりすぐって集約。
過去5年分を網羅する記事検索機能も。
パソコン、タブレット端末、電子黒板でご利用いただけます。
http://www.asahi.com/and_w/interest/TKY201403100012.html?cid=msw8_outbrainより