“耳付き”ランチパック「激レア」と話題も…
「不良品」山崎製パンの矜持
産経新聞2014年12月19日(金)08:07
女優の剛力彩芽さんのCMでもおなじみの山崎製パンの
「ランチパック」。最近、珍しい「耳付き」が“発見”され、
ネット上で話題となっている。「激レア品だ」
「耳付きをゲットできれば、ハッピーになれる」
といった盛り上がりをみせている。
■「不良品」と言い切る山崎製パン
ランチパックは1984年の発売で、30年の歴史を持ち、
年間販売は4億個前後。耳を取り除いた2枚の食パンの間に、
たまごやハムなどの総菜や、ジャムやピーナッツクリームなどを挟み込み、
四方を貼り合わせてある。ランチでも、
おやつなどでも利用できるといった手軽さが受け、
中学生や高校生にとっては定番商品だ。
ここ最近、「耳付き」を発見した消費者からの報告が、
ツイッターなどで相次いでいる。
「朝、食べようとしたら耳ついてた」
「これたまにあるの?私初めて当たった」-などなどだ。
ランチパックは、毎月新商品が発売されるほか、
地方や特定のコンビニチェーン専用商品もある。
年間50種類出るとされ、常に60種類以上は
市場に出回っているという。それだけに、
ネット上では「耳付き」の新商品が出たのではとの意見もあった。
そこで、真偽のほどを探ろうと山崎製パンの広報・IR室に問い合わせてみた。
「ランチパックは、専用の機械で2枚のパンの端の部分だけに
圧力をかけてくっつくようにしている商品で、
耳はすべて切り離しています」と、つれない答え。
それでも「実際に耳付きの商品が存在して、
ネットで紹介されている」と水を向けると、
「大変申し訳ありませんが、それは不良品ですね」と、
どうしても話が弾まない。
ただ、なぜこうした耳付きが出るのか、その可能性を解説してくれた。
「耳が付いたランチパックは、
パンを重ね合わせるときのずれなどで、
きちんと耳が切り落とせていなかったと考えられます。
その後、装置での検査や、人による検品工程で、
取り除くのですが、それをかいくぐってしまった商品が、
店頭まで並んでしまったようです」という。その上で、
「お客さまには大変申し訳ありません」と話す。
ネット上で「耳付きがラッキーアイテムのようにいわれている」と話しても、
「不良品であり、返品などの手続きをとらせていただきます。
社内では、検品体制を強化するように指示しています」と、
あくまで不良品との認識をかたくなに崩さない。
■雪の「神対応」に続き
この広報・IR室とのやりとりで、思い出したのが、
今年2月の大雪の際のいわゆる「山崎パン神対応」のことだ。
山梨県内の中央道・談合坂サービスエリアなどで、
多くの車が雪のため立ち往生している中、
同じく動けなくなっていた、山崎製パンのドライバーが、
食事がとれなくて困っている人に対し、
積載していた配達用のパンなどを無償で配った逸話だ。
この際も、ツイッターなどで事実が明らかになり、
「ヤマザキパンがアンパンマンにみえた」
「まじすかヤマザキパン。魁!男前日本企業」
「ヤマザキ冬のパンまつり。すばらしい」
といった称賛が相次いだ。
この際も広報・IR室に問い合わせたが、
「雪で動けないとはいえ、結果的にはお届けすべき商品を届けられなかった。
まずこの点をおわびしなくては」と回答。
パンを配ったことについても、「あくまでの現場の判断です」とし、
この事実が報道されることは、
「お客さまに迷惑をかけたことにもなるので、避けていただきたい」
というスタンスだった。
今回の耳付きランチパックも、ネットで
好意的にとらえられているのにもかかわらず、
商品があるべき形で、あるべき時間に店頭に並んでいることを重視する
原理原則に沿った対応に終始。堅いとか、
真面目すぎるという面もあるが、ぶれない姿勢を貫いている。
■「レア」で特別感演出する企業も
その一方で、食品業界などではあえて商品の形状や、
パッケージの柄を変えるなどしてレア感を演出する動きも拡大している。
代表的なものが森永製菓のチョコレート入りビスケット
「パックン チョ」だ。昭和58年の発売で
31年の歴史を持ち、ディズニーキャラクターが書かれている。
絵柄は100種類あり、通常は丸い形だが、
1種類だけハート形のレアタイプがある。
コアなファンが十数箱購入し、
1個のハート形をやっとゲットしたことなどがブログで紹介されている。
アイス菓子「パナップ」で“激レア”を演出しているのは江崎グリコ。
通常はアイスにハートマークでソースがかかっているが、
まれに人が笑った顔の「スマイルマーク」が登場。
会社としては登場確率は公表せず、関心をあおっている。
ロッテアイスの定番アイス「雪見だいふく」は
パッケージなどにレアがある。
パッケージには降る雪がデザインされているが、
レアデザインでは降る雪が、ハート形になっているものがある。
また、中に入っているピックもハート形のものがあるとされる。
パッケージとピックがハートとなれば、
極めてレアな商品となることは間違いない。
このほか、ロッテの「コアラのマーチ」の「盲腸コアラ」や
「眉毛コアラ」、不二家の「ミルキー」の四つ葉デザインの包み紙、
森永乳業のアイス「ピノ」でハート形や星形デザインなどがある。
メーカーからすれば、レアの商品を用意することで、特別感を演出する狙いだ。
消費者の遊び心を刺激する、立派な商品戦略といえる。
その一方で、製造過程においてわずかな確率で発生してしまう
“耳付き”ランチパックを、不良品と言い切る山崎製パンには、
安全・安心な製品を届ける食品メーカーの矜持を見た思いがした。
ある意味、“メーカーの鏡”と言ってもいいかもしれない。
ただ、もう少し“遊び心”があってもよいのでは、
と個人的には思ってしまうが…。(平尾孝)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20141218519.htmlより
写真:「フルーツ入りクリーム&ホイップ」
スイーツシリーズ
フルーツ(パイン、りんご、黄桃)入りのクリームと
ホイップをサンドしました。
https://www.yamazakipan.co.jp/lunch-p/lineup-gallery/detail.php?product_id=1162&page=0より
「不良品」山崎製パンの矜持
産経新聞2014年12月19日(金)08:07
女優の剛力彩芽さんのCMでもおなじみの山崎製パンの
「ランチパック」。最近、珍しい「耳付き」が“発見”され、
ネット上で話題となっている。「激レア品だ」
「耳付きをゲットできれば、ハッピーになれる」
といった盛り上がりをみせている。
■「不良品」と言い切る山崎製パン
ランチパックは1984年の発売で、30年の歴史を持ち、
年間販売は4億個前後。耳を取り除いた2枚の食パンの間に、
たまごやハムなどの総菜や、ジャムやピーナッツクリームなどを挟み込み、
四方を貼り合わせてある。ランチでも、
おやつなどでも利用できるといった手軽さが受け、
中学生や高校生にとっては定番商品だ。
ここ最近、「耳付き」を発見した消費者からの報告が、
ツイッターなどで相次いでいる。
「朝、食べようとしたら耳ついてた」
「これたまにあるの?私初めて当たった」-などなどだ。
ランチパックは、毎月新商品が発売されるほか、
地方や特定のコンビニチェーン専用商品もある。
年間50種類出るとされ、常に60種類以上は
市場に出回っているという。それだけに、
ネット上では「耳付き」の新商品が出たのではとの意見もあった。
そこで、真偽のほどを探ろうと山崎製パンの広報・IR室に問い合わせてみた。
「ランチパックは、専用の機械で2枚のパンの端の部分だけに
圧力をかけてくっつくようにしている商品で、
耳はすべて切り離しています」と、つれない答え。
それでも「実際に耳付きの商品が存在して、
ネットで紹介されている」と水を向けると、
「大変申し訳ありませんが、それは不良品ですね」と、
どうしても話が弾まない。
ただ、なぜこうした耳付きが出るのか、その可能性を解説してくれた。
「耳が付いたランチパックは、
パンを重ね合わせるときのずれなどで、
きちんと耳が切り落とせていなかったと考えられます。
その後、装置での検査や、人による検品工程で、
取り除くのですが、それをかいくぐってしまった商品が、
店頭まで並んでしまったようです」という。その上で、
「お客さまには大変申し訳ありません」と話す。
ネット上で「耳付きがラッキーアイテムのようにいわれている」と話しても、
「不良品であり、返品などの手続きをとらせていただきます。
社内では、検品体制を強化するように指示しています」と、
あくまで不良品との認識をかたくなに崩さない。
■雪の「神対応」に続き
この広報・IR室とのやりとりで、思い出したのが、
今年2月の大雪の際のいわゆる「山崎パン神対応」のことだ。
山梨県内の中央道・談合坂サービスエリアなどで、
多くの車が雪のため立ち往生している中、
同じく動けなくなっていた、山崎製パンのドライバーが、
食事がとれなくて困っている人に対し、
積載していた配達用のパンなどを無償で配った逸話だ。
この際も、ツイッターなどで事実が明らかになり、
「ヤマザキパンがアンパンマンにみえた」
「まじすかヤマザキパン。魁!男前日本企業」
「ヤマザキ冬のパンまつり。すばらしい」
といった称賛が相次いだ。
この際も広報・IR室に問い合わせたが、
「雪で動けないとはいえ、結果的にはお届けすべき商品を届けられなかった。
まずこの点をおわびしなくては」と回答。
パンを配ったことについても、「あくまでの現場の判断です」とし、
この事実が報道されることは、
「お客さまに迷惑をかけたことにもなるので、避けていただきたい」
というスタンスだった。
今回の耳付きランチパックも、ネットで
好意的にとらえられているのにもかかわらず、
商品があるべき形で、あるべき時間に店頭に並んでいることを重視する
原理原則に沿った対応に終始。堅いとか、
真面目すぎるという面もあるが、ぶれない姿勢を貫いている。
■「レア」で特別感演出する企業も
その一方で、食品業界などではあえて商品の形状や、
パッケージの柄を変えるなどしてレア感を演出する動きも拡大している。
代表的なものが森永製菓のチョコレート入りビスケット
「パックン チョ」だ。昭和58年の発売で
31年の歴史を持ち、ディズニーキャラクターが書かれている。
絵柄は100種類あり、通常は丸い形だが、
1種類だけハート形のレアタイプがある。
コアなファンが十数箱購入し、
1個のハート形をやっとゲットしたことなどがブログで紹介されている。
アイス菓子「パナップ」で“激レア”を演出しているのは江崎グリコ。
通常はアイスにハートマークでソースがかかっているが、
まれに人が笑った顔の「スマイルマーク」が登場。
会社としては登場確率は公表せず、関心をあおっている。
ロッテアイスの定番アイス「雪見だいふく」は
パッケージなどにレアがある。
パッケージには降る雪がデザインされているが、
レアデザインでは降る雪が、ハート形になっているものがある。
また、中に入っているピックもハート形のものがあるとされる。
パッケージとピックがハートとなれば、
極めてレアな商品となることは間違いない。
このほか、ロッテの「コアラのマーチ」の「盲腸コアラ」や
「眉毛コアラ」、不二家の「ミルキー」の四つ葉デザインの包み紙、
森永乳業のアイス「ピノ」でハート形や星形デザインなどがある。
メーカーからすれば、レアの商品を用意することで、特別感を演出する狙いだ。
消費者の遊び心を刺激する、立派な商品戦略といえる。
その一方で、製造過程においてわずかな確率で発生してしまう
“耳付き”ランチパックを、不良品と言い切る山崎製パンには、
安全・安心な製品を届ける食品メーカーの矜持を見た思いがした。
ある意味、“メーカーの鏡”と言ってもいいかもしれない。
ただ、もう少し“遊び心”があってもよいのでは、
と個人的には思ってしまうが…。(平尾孝)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20141218519.htmlより
写真:「フルーツ入りクリーム&ホイップ」
スイーツシリーズ
フルーツ(パイン、りんご、黄桃)入りのクリームと
ホイップをサンドしました。
https://www.yamazakipan.co.jp/lunch-p/lineup-gallery/detail.php?product_id=1162&page=0より