大学の授業にかかわる話題

授業日誌・キャリア・学びのスキルについて

賞味期限の見直し

2014年06月30日 00時05分12秒 | 学習支援・研究
賞味期限の見直しで「食品ロス」削減の動きが広がる
gooニュース×MONEYzine
2014年6月21日(土)14:00
 
飢餓に苦しむ現実がある反面、世界では
毎年総生産の30%以上に相当する13億トンの食料が破棄されている。
日本においても、その量は年間約1,700万トン。
このうち「食品ロス」と呼ばれ、まだ食べることが可能でも
廃棄される量は、500から800万トンあるという。
そして半分にあたる300~400万トンは事業系とされている。
そこで捨てる量を、無駄を減らせと、
昨年から農林水産省と食品業界では、
食品ロス削減に向けての取り組みが動き出した。

皮切りは、未開封で表示された保存方法に従えば
おいしく食べられる「賞味期限」に関する見直しだ。

現在の日本の商習慣では、賞味期限までの3分の2の期間を残して、
3分の1となった商品は出荷されずに廃棄処分となることが多い。
そこで農林水産省、食品製造、卸売り、小売りの企業などで構成される
「食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチーム」が昨年8月から今年1月まで、
飲料と菓子商品を対象に賞味期限を緩和して
2分の1以上にした実証実験を行った。
その結果、事業系の食品ロス全体の約1から1.4%となる飲料約4万トン、
菓子約1,200トンの合計4万トンを超える量が削減された。
金額に換算すると飲料では71億円、菓子では16億円の計87億円に相当する。
同実証実験は半年間で一部の商品に限られたが、
効果はかなりのものがあった。今後、対象となる商品の拡大、
ひいては新たなる商習慣の確立へと期待も大きい。

一方、連携による効率化で地球環境の悪化防止を協議する
「サスティナビリティプロジェクト(製造ほか全18社で構成)」では、
賞味期限の表示方法を従来の「年月日」から「年月」に変更する動きが進んでいる。
2013年5月からは「森の水だより(日本コカ・コーラ)」や
「アサヒ おいしい水(アサヒ飲料)」ほか、
2リットルペットボトル入り国産ミネラルウォーターが、
さらに今年6月からは「ファイア(キリンビバレッジ)」
「ボス(サントリー食品インターナショナル)」など
缶コーヒーなども加わった。同変更で、製造、配送、
販売の過程にある非効率な面が軽減され、
食品ロス削減には効果が期待できるという。

また「一般社団法人 日本即席食品工業協会」でも、
即席麺の主要11社の技術力をベースに協議を重ね
「賞味期限のガイドライン」を改正。今年4月製造分より、
カップ麺ではこれまでの5カ月が6カ月に、
また袋麺は6カ月を8カ月へ、
それぞれ1~2カ月、賞味期限が延長されている。

食品ロスの削減を目指して、作る側の努力が始まった。
では食べる側、食品ロスのもう半分の原因である消費者はどうか。
あらためて現状の食生活を考える必要があるかもしれない。

http://news.goo.ne.jp/article/moneyzine/life/moneyzine_211213.htmlより

【関連記事】
・総重量500グラム以上で298円も 節約ランチはスーパーの弁当が狙い目
http://moneyzine.jp/article/detail/207874
・「冷房」と「除湿」、電気代がお得なのは? 快適性と省エネ性をアップするエアコンの使い方
http://moneyzine.jp/article/detail/186988
・エアコン廃棄、回収業者だと無料の理由 金属取出し、1台5,000円の利益か
http://moneyzine.jp/article/detail/197345




キリンとサントリー、
缶コーヒーなど賞味期限の「年月表示」を拡大

マイナビニュース
2014年6月4日(水)16:35
(マイナビニュース)

キリンビバレッジとサントリー食品インターナショナルは6月3日、
清涼飲料について、国産水に限定せず、
賞味期限が1年以上の商品の賞味期限を
「年月表示」へ順次移行すると発表した。


消費財流通業界の企業は
「日本TCGF」を立ち上げて国内での非競争分野における共通課題の解決に向けて活動している。
その活動の1つの「サステナビリティプロジェクト 委員会」では、
製配販のバリューチェーンにおける環境課題を整理・解決することを目指し、
清涼飲料の賞味期限の「年月表示」への移行について取り組んでいる。

この取り組みでは、賞味期限をもとに配送や保管、
店陳を日別に管理していたものを月別に管理することで、
サプライチェーン上の環境負荷(物流拠点間の転送・転送に由来するCO2排出など)や
非効率(物流倉庫の保管スペース、
店頭の先入先出作業など)を軽減することが期待されている。

2013年は、アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、
サントリー食品インターナショナル、日本コカ・コーラの国産水の2Lペットボトルについて、
賞味期限の表示を「YYYYMMDD」または「YYYY.MM.DD」から「YYYY年MM月(漢字表記)」に変更した。

結果、顧客に取り組みの意義を理解してもらえたとして、
今後は、国産水に限定せず、賞味期限が
1年以上の商品について「年月表示」へ順次移行する。
表示方法の採否や対象商品などは、各社の判断により決定する。

現時点で、移行が決定している商品群は、
キリンビバレッジの缶コーヒー「ファイア」など(ギフト用商品を除く)、
サントリー食品インターナショナルの缶コーヒー「ボス」、
「サントリーウーロン茶」など。

http://news.goo.ne.jp/article/mycom/life/mycom_984461.htmlより

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話題の本・紹介 『21世紀の資本論』

2014年06月29日 12時56分53秒 | キャリア支援
仏学者の経済専門書、異例の人気 
格差拡大に警鐘

(06/20 16:11)
【ロンドン共同】

フランスの経済学者が格差問題を論じた学術書
「21世紀の資本論」(邦訳未刊行)が
欧米で異例のベストセラーになった。
700ページ近い大作ながら、
今年3月発売の英語版は早くも40万部以上を売り上げた。
分析への賛否も相次いでいる。

一躍時の人となった著者のトマ・ピケティ・パリ経済学院教授(43)は
今月16日、ロンドン大経済政治学院(LSE)で講演。
満員の聴衆に「競争は必要だが、
格差が広がり過ぎれば階層が固定され、
経済の活力を奪う」と力説した。
講演後のサイン会では学生らが長蛇の列をつくった。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/546536.html

話題の「21世紀の資本論」、重大な欠陥も
2014/5/23 7:00
The Economist

仏経済学者トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本論』が
世界的ベストセラーとして話題を集めている。
同氏は、富の集中、格差拡大の解決策として、
資産に対する課税強化が必要だと説く。
だが、英エコノミスト誌は、
ピケティ氏の解決策は重大な欠陥があると見る。

カール・マルクスの『資本論』が
最初に出版されたのはドイツ語で1867年。
1,000部売れるまでに5年かかった。
英語に翻訳されたのは20年後で、
本誌(英エコノミスト)が
その著作に初めて言及したのは、
1907年のことだった。


画像の拡大:自著を手にするピケティ氏(43)。パリ経済学校教授。フランス国立社会科学高等研究院でも研究を行う=ロイター
自著を手にするピケティ氏(43)。
パリ経済学校教授。
フランス国立社会科学高等研究院でも
研究を行う=ロイター

 
これに対し、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の新著
『21世紀の資本論※』(未邦訳)は、
一夜にして世界の話題をさらった。
所得と富の分配について膨大な分析を行ったこの大研究は、
もともとフランス語で出版されたが、
今年3月に英訳が出版されるやベストセラーとなった(エコノミスト誌は、
原書が出版された時に最初の書評を掲載した)。
米アマゾン・ドット・コムでは、フィクションも含めた
ベストセラーの第1位に躍り出た。
※=仏語の原書名は『Le Capital au XXIe siecle』。
英語の題名は『Capital in the Twenty-First Century』


盛り上がる格差の議論
本書が大ヒットした要因は、最高のタイミングで、
最も話題となっているテーマを取り上げたことにある。
格差の問題は特に米国で、
少し前からホットな話題として
急浮上していたからだ。

米国人はこれまで何年も、
「持てる者と持たざる者の格差問題」など、
欧州的な強迫観念にすぎないと軽視してきた。
だが、その米国人もここへきて突然、
ウォール街が過剰に富を得ていることに怒りが爆発、
富裕層と富の再分配の在り方を問題にし始めたところだった。
故に本書が注目を浴びたというわけだ。

ピケティ氏は、富の集中は資本主義の本質であり、
先進的解決策として、
全世界で富に課税すべきだと説く。

その内容は当然、左派を狂喜させ、右派を激怒させる一方で、
退屈な学問とされてきた経済学を一般の人にとっても
関心のあるテーマに変えつつある。

だが、ピケティ氏の主張をべースに世界が
格差の議論をするようになれば、
それはあまりよいことではない。
なぜなら、本書は19世紀の『資本論』と同じく、
素晴らしい学問的考察を一部含みながらも、
実際の施策の指針としては
重大な欠陥を抱えているからだ。

300年間のデータに基づく分析
577ページに及ぶ本書の内容が
経済学に大きく寄与する点は3つある。

第1は、過去300年にわたる所得と富を巡る進展を、
欧米を中心に、大変な労力をかけて記述していることだ。
ピケティ氏は、税の統計を用いて格差を数値化する手法の先駆者でもある。

この記述を通じて著者は、所得の格差と富の蓄積(の国民所得比)が
共に劇的に縮小した1914年ころから
70年代までの時代というのは、
歴史的に見ると例外に属することを示した。

70年代以降は、富と所得の両方で格差が再び拡大し、
今や20世紀より前の水準に戻りつつある。

これらの統計数値にはいくつか間違いがあるが、
この研究は富の歴史についての理解を一変させ、
驚くべき結論を明らかにした。

例えば、フランスで年間に相続される資産の価値が、
50年代には国内総生産(GDP)の5%以下だったが、
現在では約15%へと3倍に膨れ上がり、
25%という19世紀の最高水準に近づいている
ことなど誰が知っていただろう。

本書が、実証的な謎解きの読み物として優れていることに、
議論の余地はない。ピケティ氏の第2の貢献は、
これらの事実を説明する資本を巡る論を組み上げ、
将来、富がどのように分配されるようになるかを予測したことだ。
彼の主張で重要な点は、「資産と投資の収益率は
常に経済成長率より高いため、自由市場システムは、
おのずと富の集中を進めるという傾向を備えている」と指摘したことだ。

20世紀においては、2度の世界大戦と大恐慌と
高い税率が富の収益率を押し下げた一方で、
生産性と人口の急激な拡大が成長率を押し上げた。

しかし、これらの相殺要因がなくなれば、
資本の収益率が上がり、富の集中を促すことになる
とピケティ氏は論じる。そして、
特に現在のように高齢化で成長率が減速している場合は、
その傾向が強まる、と。

「資産課税」に偏る政策案
富の集中が進むというピケティ氏の予測は、
特に変わったものではない。しかしこれは、
過去のデータからの推定に基づく予測であり、
資本主義の本質的なモデルというわけではない。

ピケティ氏は、富の蓄積が進んでも、
資本収益率は大きくは低下しないと仮定している。
その通りなのかもしれない。が、
ピケティ氏の予測はあくまで仮説であり、
確実な法則ではない。

ここに問題の根がある。というのも、
ピケティ氏の3番目の貢献は、
政策提案をしていることだが、その提案は、
富の集中は避けられないだけでなく、
それこそが最も重要だという前提の上に立っているからだ。

ピケティ氏は、全世界で資産に累進的に課税するという対処法を
提案している(税率は最低年0.1%で、
大富豪の資産には最大で恐らく10%に達する)。
また、約50万ドル(約5,100万円)以上の所得に対しては、
80%という懲罰的な税率も示唆している。

本書の主張も、ここまでくると左に流れすぎ、
信頼を失う。ピケティ氏は、
富の集中を抑えることをなぜ優先させなければならないか
(例えば成長を促すのではなく)について、
説明するというよりも、強い主張を展開しているのだ。

彼の主張する再分配を行った場合生じるトレードオフや
コストについては、ほとんど目を向けていない。

大半の経済学者も、一般の常識人も、
フランスの多くの実業家も、
所得税と資産課税を上げれば起業家はやる気を失い、
人々はリスクを取らなくなると指摘するはずだ。
だが、ピケティ氏はこの点を全く気にかけていない。

また、ピケティ氏の提案する取るべき施策リストは
富裕層への課税に偏っている。「ベビーボンド※」や
個人貯蓄口座への追加給付金など、
資本所有層を拡大する方法には全く触れていない。
※=2005年に英国に導入された子供のための貯蓄制度

資産課税の中には、21世紀の政策として
合理的に機能するものもあるだろうが(特に相続税)、
それは社会全体の繁栄をもたらす唯一の解決策ではないし、
主要な解決策ですらない。

ピケティ氏は富裕層に重税を課すことばかりに目を向けている。
その姿勢は、学問的ではなく、
社会主義的なイデオロギーのにおいがする。
だからこそ本書はベストセラーになったのだろう。
しかし、政策の設計図としてはお粗末と言わざるを得ない。

(2014年5月2日付 英エコノミスト誌)
(c)2014 The Economist Newspaper Limited
May 2, 2014 All rights reserved.

英エコノミスト誌の記事は、
日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200A_S4A520C1000000/より

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ドラッカーが認める評価法は

2014年06月28日 14時52分54秒 | キャリア支援
成果主義に落とし穴 
ドラッカーが認める評価法は
ドラッカーに学ぶココロの処方箋(9)

2014/6/22 7:00
日本経済新聞 電子版

日本での成果主義は失敗したと言われて久しい。
成果主義とメンタルヘルスの関係を研究した天笠崇医師は、
成果主義の導入が従業員のメンタルヘルスに
悪影響を及ぼしたことを指摘している。
その原因は、勤務の長時間化、評価への不満、
短期的成果への要求増大、協力関係の希薄化、
ハラスメントの増長などが挙げられる。
その後、制度を見直している会社も多いが、
それでもなお社員のモチベーションや
メンタルヘルスの向上につながらないケースが多いのはなぜだろうか。
今回もドラッカーの名言を参照しながら、
事例を基に考えてみよう。

■解決につながらなかった制度変更
老舗SIベンダーにコンサルティング会社から
転職してきた経営企画室のA氏は、
社長から現行の人事評価制度の改定を命じられた。
5年前からメンタルヘルス問題が急増していることが、
同時期に導入した成果主義と関係があるのではないかという議論がきっかけだ。
当時、他社に倣って成果を中心とした
目標管理制度を導入したが、
実際は様々な不満が出ていた。

「目標の評価項目や昇格基準が曖昧だ」
「営業の担当顧客が新規と既存では
受注やメンテにかかわる負荷が大きく違うのに
結果だけで評価されるのは不公平だ」
「管理部門のルーティンワークが評価されないのはおかしい」。

早速、成果だけでなくプロセスも含めた細かな評価項目を設定し、
新たな昇格規定も設けた。成果を公平に測定するため
「価値の高い仕事をしているか」「自分のレベルを上げたか」
「困難な仕事にチャレンジしたか」などの項目を追加。
目標設定や上司とのやり取りをスムーズに行うオンラインシステムも作った。

それでも社員の不満とメンタルヘルス問題は減らなかった。
A氏が焦っていた頃に、
親しくなった事業部長から伝えられたことがある。

「プロセス重視で評価すると、社内ネットワークを持つ
ベテラン社員の評価が上がる。
相対的に評価が下がる成果の高い若手は
『結局年功序列か』と不満を持ち、雰囲気がギスギスしてきた」
「一方で、面倒見が良く、慕われていた年長の社員が、
新しい昇格資格規定をクリアできず、
挫折感が募ってメンタルヘルス不調になった例もある」

A氏は、改善を目的で制度設計したつもりが、
全く解決につながっていないことに落胆の色を隠せない。

定量化するほど他の要素を見落とす 
目標管理はドラッカーが提唱したとされているが、誤解もある。
ドラッカーが提唱したのは
「Management by
Objectives and
Self-Control」、
つまり「自分自身による」目標管理。
現在多くの組織で用いられているのは
「上司による部下の」目標管理であり、
識者のなかにはドラッカーの意図が
正しく反映されていないとする意見も多いようだ。

目標管理制度などのマネジメント手法においては、
評価のための定量化が必要であることに間違いはない。
しかし管理するために定量化すればするほど
見えないものを見落とす危険性も増大する(イラスト:ねなし)

画像の拡大
目標管理制度などのマネジメント手法においては、評価のための定量化が必要であることに間違いはない。しかし管理するために定量化すればするほど見えないものを見落とす危険性も増大する(イラスト:ねなし)


他者による目標管理においては、その成果を定量化しなければならない。
ドラッカーは、こんな言葉を残している。
「社会的事象の中で真に重要なことは定量化になじまない」
(『ドラッカー 365の金言』)。

ドラッカーは管理するために定量化を行うほど
見えないものを見落とす危険性があると警告している。
「測定と定量化に成功するほど、それら定量化したものに注目してしまう。
したがって、よく管理されていると見えれば見えるほど、
それだけ管理していない危険がある」
(『マネジメント エッセンシャル版』)。

評価項目や基準が変われば、従来の評価から
上がったり下がったりする人が出てくる。
一方で、周囲から「この人がいてくれて助かっている」と
認められていても、「その能力や成果を測定できない」という理由で
いつまでも評価されないケースもある。


■数値以外の感覚を共有する場を作る

画像の拡大
朝の通勤風景(東京・丸の内)

 
ドラッカーは、評価することの難しさを次のように表現している。
「測定という行為は、客観的でも、中立的でもなく、
主観的な行為であり、何がしかの偏りを持たざるをえない。
(中略)測定の対象は、新たな意味と新たな価値を賦与される」
(『マネジメント エッセンシャル版』)。
つまり、評価する側の主観を排することは難しく、
評価項目を選定した時点でその意味や重要度が変化してしまうということだ。

組織が成果を上げるうえで必要な事象を、
すべて定量化可能な評価項目に織り込むことは不可能なだけではなく、
評価者の主観による偏りも生む。制度としての目標管理は
そうした矛盾をはらむことを前提として、
上司と部下は正しく評価し、
評価される努力を重ねていかなくてはならないだろう。

では、どんな努力が出来るだろう。
目標設定や評価とそれを伝える手段としての定量化を行うと、
「定量化できないもの」の重要性を知りながらも、
ついそれを忘れがちである。
目が向きやすい部分だけで判断していると、
人間としての交流が失われ、
メンタルヘルスに悪影響を及ぼすこともある。
「定量化できないもの」があることをいかに上司は意識し、
部下の評価に臨めばよいだろうか。

「出来る」「出来ない」をゼロイチで考えない
私たちは仕事に必要なある一つのスキルが低いと思うと、
「その仕事はできない」という判断に引きずられやすい。

例えば、話し上手で社交的でなければ営業マンに向いていないと考えがちだが、
実際は無口でも実直な営業マンが成果を上げているケースはたくさんある。
高度な論理思考と斬新な発想がなくても、
皆が嫌がる退屈な実験を粘り強く繰り返すことで、
誰も成し得なかった結果を導く研究者もいる。

0と1の間には小数点以下無限の数字が存在している。
0と1の間や、0と1以外の数字を見ようとすることこそ、
見えていなかったその人の可能性に目を向けることである。

全体としての貢献という視点で見る
現代は、「全体は部分の総和であり、
定量化できて意味を持つ」と考えたモダン時代から、
「全体を全体として把握しなければならなくなった。
命あるものとして見なければならない」とする
ポストモダン時代になったとドラッカーは指摘している
(『テクノロジストの条件』)。

これは個人の評価についても同じである。
各項目の評定値の足し算ではなく、
その個人全体で見て「組織に対してどんな貢献をしているか」を考えてみる。
すると、個人が上げる数値的な成果だけではない全体像が見えやすい。
そこには、営業としての「売り上げ」や
プロジェクトの「進捗度合い」だけではない何かが見えてくるはずだ。

あえて定量化できない部分を挙げる
目標管理において評価項目の数値に基いて評定した後は、
定量化できないその人の特徴を挙げて本人に伝えてみよう。
「優しい」「明るい」「真面目」「臨機応変」「ケチ」
「せっかち」「小心者」…。ポジティブなものはそのままに、
ネガティブなものはポジティブに言い換えて伝えよう。

「ケチ→金銭感覚がしっかりしている」「せっかち→行動が早い」
「小心者→慎重に物事を進める」など表現の仕方によって長所に変わる。

自分の中にある見えにくい部分を「上司が見ていてくれた」と感じることは
部下のやる気を大きく刺激する。また、
見えにくいものを見ようとするならば「常々よく観察」しなければならないはずだ。
それこそ上司としてあるべき姿だし、
メンタルヘルス不調の早期発見にもつながる。

「管理手段は、測定可能な事象のみならず、
測定不能な事象に対しても適用しなければならない」
(『マネジメント エッセンシャル版』)という
ドラッカーの言葉をもう一度かみしめたい。

上司と部下の“評価”の違いを話し合う
目標管理面談を、上司が部下に評価を伝えるだけではなく、
部下の自己評価と突き合わせて、「その差はなぜか?」を話し合う機会にするとよい。
最終的に上司の評価が覆ることが目的ではなく、
上司、部下それぞれから見た違いをお互いが理解すれば、
今後の目標設定や評価の調整に役立つ。
なにより、部下が「なぜこの評価なのか?」との思いを残さずに済む。

その話し合いの中では、お互いの価値観や仕事に対する
取り組み方など評価項目に含まれないことも出てくるだろう。
それが大切だ。数値による評価のフィードバックだけであれば、
メールで十分である。評価面談を
上司部下の信頼関係を構築する場とするために、
一つの目標に対する見え方の違いを共有する話し合いをしよう。

ビッグデータの活用によりこれまで見えなかったものを定量化する試みが始まった。
これまで見えなかったものが見えるようになるからこそ、
改めて見えないものに注目しなければならない。
ドラッカーは次のようにその配慮の必要性を強調している。

「定量化することはもとより、
定義することさえ困難である。とはいえ、
把握不能ということはない。
いたって明白である。
データ化できないというだけにすぎない。
データ化できないものを考えなければならない。
データ化できないものについての配慮を忘れたデータ化は、
組織を間違った方向へ導く」
(『マネジメント-課題・責任・実践』)

参考文献:
天笠 崇 『成果主義とメンタルヘルス』(2007)、
以下ドラッカー『365の金言』(2005)、
『マネジメント エッセンシャル版』(2001)、
『テクノロジストの条件』(2005)、
『マネジメント――課題・責任・実践』(2008)


尾崎健一(おざき・けんいち)

ライフワーク・ストレスアカデミー代表取締役、
臨床心理士。コンピューターメーカーに勤務後、
大学院に進学し、臨床心理士資格を取得。
その後、メーカーおよびEAP(従業員支援プログラム)にて人事部、
メンタルヘルス問題対応の仕事を担当して独立。
現在、企業のメンタルヘルス対応の仕組みづくり、
人事労務問題対応のコンサルティングなどを行う。
著書に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、
『黒い社労士と白い心理士が教える問題社員50の対処術』
(共著、小学館集英社プロダクション)など。

[日経情報ストラテジー2013年9月号の記事を基に再構成]

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1300Z_T10C14A6000000/

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他人を批判するということは・・・

2014年06月27日 14時09分13秒 | キャリア支援
他人批判は他人の為ならず・・・

某女子大のとある講義では、
初老の女性講師が最初の5分か10分ほど
世間話をするのが慣例になっている。
落語でいう所の「マクラ」みたいなものだろう。
殆どが時事ネタなのだが、やはりというか、
その日は例の野次の件だった。

■東京都議会のある議員が、女性議員に野次を飛ばして問題になっています。
その内容は女性蔑視やセクハラであるという意見が大半を占めていますし、
私も概ねその通りだと思います。

ところで、みなさんの多くは
パソコンやスマートフォンといった、
インターネットに繋がる機械をお持ちかと思います。
そしてそれらで手軽に全世界に
情報発信する手段を心得ていると思います。

思慮深いみなさんの事ですから間違える事は無いと思いますが、
念のために助言しておきます。
この件でネット上で当事者を批判するのはおやめなさい

赤の他人の失言をあげつらって公然と批判するというのは、
実は非常に難しい事なのです。
私よりも年齢を重ねた人でさえも、
きちんと出来ない人は少なくありません。
その割に、得るものはあまり多くありません。

批判自体は簡単です。ただし、
自身の品位や人間性を損なわずに批判するというのは、
これは極めて高度な技術に加えて、
強い精神力も求められる
のです。

これが無いままに安易に批判する。
手軽に正義感を振りかざせるので、
やがてそれがクセになっていきます。
クセになっていくとどうなるか。
他人の失敗が許せない人間になってしまいます。
そして失敗を悪い事だと思い込み過ぎて、
失敗するくらいならば
何もしない方がいいと考え始めるようになってしまいます。

人間とは不完全なものです。
肝心な時に大きな失敗をしてしまう事もあります。
何かに挑んで、成功する事もあれば失敗する事もある人と、
他人が失敗したときだけ批判し、
何もしないが故に何も失敗しない人

みなさんはどちらになりたいですか。

うろ覚えだけどこんな感じ。

http://anond.hatelabo.jp/20140624211919より


写真:講義風景(本文とは関係がありません)

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「イノベーションのジレンマ」

2014年06月26日 17時58分02秒 | 学習支援・研究
「イノベーションのジレンマ」の克服は可能か?(前編)
作成者:馬場 渉、
投稿日:2014年6月7日

フロリダ州オーランドから羽田に帰る機内でこれを書いています。
私は普段飛行機に乗る際、鞄を一切持ち込みません。
皆さんもあるのではないでしょうか?
仕事するぞと意気込んでパソコンを持ち込んだけど
まったく開かなかったり、読み切ろうと思って持ち込んだ本を
結局機内で挫折したということ。
水泳やランニングをすると言ってホテル滞在中
一切出さなかったこともきっと少なく無いですよね。
断捨離という考え方が少し前に流行語となりましたが、
個人や企業ももっとこのように
ヨガや禅の考え方を用いて最小限に削ぎ落とし
それを維持させることを積極的に取り込んでいったらいいと思います。
私はそんな理由で機内では
パソコンなど最初から持ち込まないようにしています。

今日はそんな私ですがパソコンを持ち込みました。
出張先のオーランドで感じたことを伝えたいと思ったためです。
当社には幸いにして?出張報告という文化がありません。
出張報告って結構皆さん大変とのことですが、
せっかく書いた力作であれば、
コンフィデンシャルな部分は削って、
外部に叡智として公開できないものでしょうか?
いろいろ難しいですよね、わかります。

さて、私が今日日本に着いて週末に入ってしまう前に
お伝えしたかったのは、今回のSAPPHIRE NOWの
最大トピックについてです。

Simplify Everything, Do Anything.
(あらゆるものを簡素化すれば、何だってできるようになる)

これが参加した3.5万人、オンラインの数十万人の方が
共通して感じた今年のテーマだったのではないでしょうか?
その通り今年は、いえ、これから先数年は、
このRun Simple.がすべての中心に位置づけられます。
成長と共に複雑化した企業の組織、業務、システム、
それらをどう簡素化するか?
大規模組織への断捨離のススメです。



ハッソ・プラットナー"教授"と、
クレイトン・クリステンセン教授

共同創業者であるハッソ・プラットナーが
「今日は大学教授として話す」と、
SAPPHIRE NOWでは実は恒例のプラットナー教授の熱血教室の弁をとりました。
その彼を壇上に呼び込んだのはクリステンセン教授、
あの名著『イノベーションのジレンマ』の著者、
ハーバードビジネススクールの大教授です。

二人がテーマにしたのは、成功した組織が成長と共に陥る”
イノベーターのジレンマ”です。
ハッソ・プラットナーは「SAPはHANAによってイノベーターのジレンマを乗り越えた。
破壊的イノベーションを非破壊的に導入することに成功した。」と言いました。
クリステンセン教授の理論をおさらいしておくと、
優良企業ほど顧客に向いて仕事しており、
その結果そこからもたらされる持続的イノベーションが
いつの間にか顧客と自社の価値観をロックしてしまい、
顧客が潜在的に抱く別の価値観に気付かないことに警笛を鳴らしています。
またその時外から生まれるまったく新しい破壊的な価値観に対して、
自社よりも劣り市場規模も小さいという理由でその新興市場への取り組みが遅れる傾向にあり、
かつて顧客を惹きつけたイノベーターであるがゆえに陥るジレンマ、
それが彼の唱えるメカニズムです。

ハッソがSAP HANAを考案したのは7年半前です。
彼はSAPのCEOを引退し、大学で強弁(注:教鞭の間違いと思います)をとっていました。
若い学生たちは企業の基幹系アプリケーションなんかにまったく興味を示さない、
GoogleやFacebookに明け暮れている。
70歳を超えた今でもハッソはエネルギッシュなエンジニアです。
その彼が「どうやったら彼らを興奮させられるだろうか?」と考えました。
博士課程の3人と何人かの学部生を集め、
「データベースの処理速度はゼロにできる!」
「インメモリーコンピーティングこそ、コンピューティングの未来だ!」と語り、
ホワイトボードに構想を描き、
「これを皆で作って社会を変えようじゃないか」と呼びかけ、
20代の若者と共にインメモリー技術を勉強しました。
ハッソは「SAPのような大きな会社が、
根本的に発想の違うことに取り組むのは簡単ではない」と知っていたので、
SAPの開発部門ではなくTシャツ姿の若者たちとプロトタイプを作りました。
その時SAP側の技術のエキスパートとして参画したのがビシャル・シッカでした。

クリステンセン教授を前にしたSAPPHIRE NOWの講演中も、
ハッソは二度ほど「SAPを説得するのが大変だった」と言っていました。
最初のプロトタイプができたのが2007年6月、
その時ハッソは学生たちを連れSAPの幹部陣に説明に行っています。
持続的イノベーションを日々行う彼らは次から次へと問題を指摘し質問を浴びせます。
ハッソは次のように返します。

“お前たち、わからないのか?これは製品じゃないんだよ。
未来なんだよ。これが desirableじゃないのか?SAPの提供しているのは
リアルタイムシステムだろう?
今、SAPの顧客は本当にリアルタイムなのか?
それでお前たちは満足してるのか?”

そうして学生たちがHasso’s New Architectureと名付けたプロジェクトが、
SAPに受け入れられ正式な製品開発プロジェクトとしてスタートします。

(後編に続く)
1時間ほどかけてすでに全編書いていたのですが、飛行機降りたら同期で消えてしまいました・・。涙

http://www.sapjp.com/blog/archives/7108より

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