<逆オイルショック>
資源国通貨が総崩れ 世界経済に懸念
毎日新聞 12月16日(火)20時48分配信
資源国通貨の下落率
国際原油価格が夏場以降5割近く急落する中で、
資源輸出に依存する新興国の通貨が急落している。
ロシア・ルーブルの価値は年初以来、
対ドルでほぼ半減。南米、アフリカでも
今年の通貨下落率が2ケタに達する資源国が続出するなど、
「逆オイルショック」とも言える様相だ。
ロシア中央銀行は16日、通貨防衛のため政策金利を10.5%から
17%に大幅に引き上げたが、
金融引き締めは経済をさらに冷え込ませるリスクをはらむ。
高成長を続けてきた資源国経済の動揺は、
世界経済にとっても懸念要因になってきた。
【最新情報】20通貨の為替状況はこちら
ロシア中銀は12日に金利を1%上げたばかりだが、
ルーブル安に歯止めがかからず、異例の大幅利上げに踏み切った。
南米ブラジルも、通貨レアルが年初来12%下落する中で
インフレ圧力に苦しんでおり、
今月3日の通貨政策委員会では2会合連続の利上げを実施した。
同国はコストの高い海底油田を多く抱える上、
資源安が鉄鉱石などにも波及したあおりを受けており、
経済の不振から抜け出せない状況だ。
外国為替市場では、メキシコ・ペソやナイジェリア・ナイラなど
産油国の通貨への売り注文も加速し、
先進国でもノルウェー・クローネやオーストラリア・ドルも売られるなど、
資源国通貨が総崩れの展開になっている。
原油市場では、日中欧の景気減速による需要低迷に加え、
米国の新型石油「シェールオイル」の増産や、
中東産油国などで作る石油輸出国機構(OPEC)が
11月下旬に減産を見送ったことで、
供給過剰が強く意識されている。
15日のニューヨーク市場で原油の指標となる米国産標準油種(WTI)は
一時1バレル=55ドルと約5年7カ月ぶりの安値を記録。
北海ブレントも5年4カ月ぶりに60ドルを割り込んだ。
資源輸出で稼ぐ新興国は、南米ベネズエラが北海ブレント1バレル=約120ドル、
ロシアが同100ドルを前提に予算を組むなど、
資源価格の下落が政府財政や国内経済を直撃する構造を抱える。
潤沢な準備基金を持つサウジアラビアなどの富裕な湾岸産油国は
原油安への耐性があるが、チャベス前政権時代から
ばらまき政策を続けてきたベネズエラなどは通貨売りが起きやすい。
ベネズエラは外貨準備の不足から輸入制限を実施するなど
国民生活の混乱に拍車がかかっており、
1ドル=6.3ボリバルに固定した為替レートも
大幅切り下げを迫られそうな状況だ。
現時点で資源価格安は、原油輸入国である日米欧経済を押し上げるため
「世界経済にプラス」との見方が優勢だが、
15~16日の日米欧の株価が下落するなど、
資源国経済の不安定化は今後も大きな重しとなりそうだ。
【ロンドン坂井隆之、ワシントン清水憲司】
【関連記事】
NY原油先物の値動き
【グラフ】ルーブル相場の推移
<欧米の制裁や原油安、インフレなど…>プーチン大統領も制御不能か
ロシア:制御不能か、プーチン大統領 ルーブル最安値更新
毎日新聞 2014年12月16日 19時58分(最終更新 12月16日 23時28分)
拡大写真:ルーブル相場の推移
【モスクワ田中洋之】ロシアが債務不履行に陥った1998年の金融危機以来という
通貨ルーブルの大幅下落を受け、プーチン大統領は
経済のかじ取りに苦慮している。
ウクライナ情勢に伴う欧米の制裁や原油安、
インフレなど懸案が山積しており、
苦境が続けば大統領の支持率に陰りが出る可能性もある。
ルーブル相場は16日、一時1ドル=80ルーブル台と
前日より24%下落し、史上最安値を更新。
1日の下落率としては金融危機時に記録した22.8%(98年9月17日)を上回った。
15日も対ドルで10%下落。
年初来の下落率は世界の通貨で最大となった。
当局は政策金利の引き上げやルーブルを買い支えるための介入を繰り返しているが、
「制御不能」(地元エコノミスト)の様相を強めている。
またルーブル安に加え、報復措置として打ち出した欧米からの食料品禁輸の影響で
インフレ率は10%近くに上昇した。
市民は生活防衛で商品を買いだめするなど社会に影響が広がっている。
ロシア中央銀行は15日、原油安が続けば2015年と16年は連続で
マイナス成長になるとの予測を示した。一方、
ロシアがウクライナから編入したクリミアを返還するつもりはなく、
制裁解除の見通しは立っていない。
プーチン大統領は「(制裁の)圧力に屈しない」と国内を引き締め、
クリミア編入で跳ね上がった支持率は、
直近の世論調査で85%と最高水準を維持している。
だが、先行きの不透明感が強まる中、
国民の不満が政権批判に転じる可能性は否定できない。
本日、HIUの授業が急きょなくなりました。
控室でロシアの専門家の人と雑談をしていて、
上記記事をみました。
急にルーブルおよび原油価格の推移について興味がわきました。
資源国通貨が総崩れ 世界経済に懸念
毎日新聞 12月16日(火)20時48分配信
資源国通貨の下落率
国際原油価格が夏場以降5割近く急落する中で、
資源輸出に依存する新興国の通貨が急落している。
ロシア・ルーブルの価値は年初以来、
対ドルでほぼ半減。南米、アフリカでも
今年の通貨下落率が2ケタに達する資源国が続出するなど、
「逆オイルショック」とも言える様相だ。
ロシア中央銀行は16日、通貨防衛のため政策金利を10.5%から
17%に大幅に引き上げたが、
金融引き締めは経済をさらに冷え込ませるリスクをはらむ。
高成長を続けてきた資源国経済の動揺は、
世界経済にとっても懸念要因になってきた。
【最新情報】20通貨の為替状況はこちら
ロシア中銀は12日に金利を1%上げたばかりだが、
ルーブル安に歯止めがかからず、異例の大幅利上げに踏み切った。
南米ブラジルも、通貨レアルが年初来12%下落する中で
インフレ圧力に苦しんでおり、
今月3日の通貨政策委員会では2会合連続の利上げを実施した。
同国はコストの高い海底油田を多く抱える上、
資源安が鉄鉱石などにも波及したあおりを受けており、
経済の不振から抜け出せない状況だ。
外国為替市場では、メキシコ・ペソやナイジェリア・ナイラなど
産油国の通貨への売り注文も加速し、
先進国でもノルウェー・クローネやオーストラリア・ドルも売られるなど、
資源国通貨が総崩れの展開になっている。
原油市場では、日中欧の景気減速による需要低迷に加え、
米国の新型石油「シェールオイル」の増産や、
中東産油国などで作る石油輸出国機構(OPEC)が
11月下旬に減産を見送ったことで、
供給過剰が強く意識されている。
15日のニューヨーク市場で原油の指標となる米国産標準油種(WTI)は
一時1バレル=55ドルと約5年7カ月ぶりの安値を記録。
北海ブレントも5年4カ月ぶりに60ドルを割り込んだ。
資源輸出で稼ぐ新興国は、南米ベネズエラが北海ブレント1バレル=約120ドル、
ロシアが同100ドルを前提に予算を組むなど、
資源価格の下落が政府財政や国内経済を直撃する構造を抱える。
潤沢な準備基金を持つサウジアラビアなどの富裕な湾岸産油国は
原油安への耐性があるが、チャベス前政権時代から
ばらまき政策を続けてきたベネズエラなどは通貨売りが起きやすい。
ベネズエラは外貨準備の不足から輸入制限を実施するなど
国民生活の混乱に拍車がかかっており、
1ドル=6.3ボリバルに固定した為替レートも
大幅切り下げを迫られそうな状況だ。
現時点で資源価格安は、原油輸入国である日米欧経済を押し上げるため
「世界経済にプラス」との見方が優勢だが、
15~16日の日米欧の株価が下落するなど、
資源国経済の不安定化は今後も大きな重しとなりそうだ。
【ロンドン坂井隆之、ワシントン清水憲司】
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NY原油先物の値動き
【グラフ】ルーブル相場の推移
<欧米の制裁や原油安、インフレなど…>プーチン大統領も制御不能か
ロシア:制御不能か、プーチン大統領 ルーブル最安値更新
毎日新聞 2014年12月16日 19時58分(最終更新 12月16日 23時28分)
拡大写真:ルーブル相場の推移
【モスクワ田中洋之】ロシアが債務不履行に陥った1998年の金融危機以来という
通貨ルーブルの大幅下落を受け、プーチン大統領は
経済のかじ取りに苦慮している。
ウクライナ情勢に伴う欧米の制裁や原油安、
インフレなど懸案が山積しており、
苦境が続けば大統領の支持率に陰りが出る可能性もある。
ルーブル相場は16日、一時1ドル=80ルーブル台と
前日より24%下落し、史上最安値を更新。
1日の下落率としては金融危機時に記録した22.8%(98年9月17日)を上回った。
15日も対ドルで10%下落。
年初来の下落率は世界の通貨で最大となった。
当局は政策金利の引き上げやルーブルを買い支えるための介入を繰り返しているが、
「制御不能」(地元エコノミスト)の様相を強めている。
またルーブル安に加え、報復措置として打ち出した欧米からの食料品禁輸の影響で
インフレ率は10%近くに上昇した。
市民は生活防衛で商品を買いだめするなど社会に影響が広がっている。
ロシア中央銀行は15日、原油安が続けば2015年と16年は連続で
マイナス成長になるとの予測を示した。一方、
ロシアがウクライナから編入したクリミアを返還するつもりはなく、
制裁解除の見通しは立っていない。
プーチン大統領は「(制裁の)圧力に屈しない」と国内を引き締め、
クリミア編入で跳ね上がった支持率は、
直近の世論調査で85%と最高水準を維持している。
だが、先行きの不透明感が強まる中、
国民の不満が政権批判に転じる可能性は否定できない。
本日、HIUの授業が急きょなくなりました。
控室でロシアの専門家の人と雑談をしていて、
上記記事をみました。
急にルーブルおよび原油価格の推移について興味がわきました。