時の栞

何を見て、何を思い、どう表現したのか。
私の欠片であるコトバで綴った、私自身の栞です。

ふちなしのかがみ * 辻村深月

2009-12-27 22:03:21 | 読了備忘録
辻村深月さんの作品を読むのは初めてですが、なかなか面白かったです。

収録は以下の5編。
・踊り場の花子
・ブランコをこぐ足
・おとうさん、したいがあるよ
・ふちなしのかがみ
・八月の天変地異

たとえば「踊り場の花子」。
「花子さん」ってトイレにいるものだと思いこんでましたが、若草南小学校では階段の踊場にいて、しかも七不思議が花子さんにまつわるものばかり。

夏休みのある日、元教育実習生の女性が忘れ物をしたと言い、当直中の男性教師を訪ねてくるところから始まり、、彼の教え子が不審死を遂げていたため、その話題に触れながら忘れ物を取りに行く。
校舎内を歩きながら彼女は花子さんの七不思議について話し出す。

1、この学校の花子さんは階段に棲んでいる
2、花子さんに会いたければ、彼女の棲む階段を心の底から一生懸命、掃除すること
3、花子さんのくれる食べ物や飲み物を口にすると呪われる
4、花子さんの質問に、嘘を吐くと呪われる
5、花子さんが「箱」をくれると言っても、もらってはならない
6、花子さんにお願いごとをする時は、花子さんが望むものを与えること
7、花子さんの与える罰は、階段に閉じ込める、無限階段の刑

現実と非現実が入り混じり、どこが境目なのかわからなくなる。
そんな不安を覚える書き方が面白い。

どの話もそんな感じ。
ふと踏み入れたらそこは現実じゃない、みたいな。


私は、この5編の中では最後の「八月の天変地異」が好きですね。

次は長編を読んでみます。


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