「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時」
(楽しみといえば、朝起きて、庭を見たら、昨日までなかった花が
咲いているのを見る時だな)
この感覚、ある、ある!
皆さまにも、共感いただけるのではないかしら・・・
もう少し、挙げると・・・
「たのしみは 妻子(メコ)むつまじく うちつどひ 頭(カシラ)ならべて
物を食ふ時」(楽しみと言えば、妻子が集まって、頭を並べて一緒に
何かを食べる時だな)
「たのしみは 心をおかぬ 友どちと 笑ひかたりて 腹をよる時」
(楽しみといえば、気のおけない友達と、笑いながら、しゃべって、
お腹の皮が痛くなる時だな)
現代の歌かと思いきや、これは皆、江戸時代の歌人の歌なんです!
・・・ということで、本日は「独楽吟」のお話です。
橘曙覧(タチバナ アケミ)「独楽吟」は、このように、
「たのしみは」ではじめ、「時」で終わる歌ばかりの
連作52首です。
新聞に出ていた、読者の投稿で知り、さっそく、
岡本信弘編『橘曙覧 独楽吟』(グラフ社)を読みました。
1994(平成6)年、天皇皇后両陛下ご訪米のレセプションで、
クリントン大統領が、冒頭の歌をまじえたスピーチをしたのだとか。
知る人ぞ知る歌人ゆえ、当時も話題になったようです。
(わたしは、そんなことあったかなぁ・・・ですw)
橘曙覧は越前(福井)出身。
江戸時代末期から幕末を生きました。
和歌や学問への思い止みがたく、早くに家業を譲り、
自らの道に勤しみます。
名君・松平春嶽から古典講義を誘われても、断ったそうです。
それは清貧に甘んじても、心豊かに生きたかったからだ・・・と。
そういえば、連作52首の「たのしみ」は、
日常の出来事や、家族や友人と過ごす時だけでなく、
学問や美に触れた時も、よく歌われています。
「たのしみは そぞろ読みゆく 書(フミ)の中(ウチ)に 我とひとしき
人を見し時」(楽しみと言えば、何気なく読んでいた本の中に、
自分と同じ心持ちの人を見つけた時だな)
おととしの今頃は、
コロナ禍、初めての緊急事態宣言は明けたものの
都内の感染者が200人を越えただけでも、脅えました。
去年は、前の年には何を怖がっていたのか・・・と、嗤い、
感染者の増加の中、ワクチン予約はとれないし、自粛自粛の一方で、
オリンピック開催なんて大丈夫なの!?と、戦々恐々。
そして、今年。
過去二年間には考えられなかったほど、猛スピードでの感染増加。
さらには戦争、物価高・・・先週の悲しい出来事。
ニュースを知る度に、心が潰れてしまいそう・・・
いったい、来年は、どうなっているの・・・?
それでも!
今を、生きていて、毎日が続いています。
おかげさまで、我が家の高齢者も元気です。
そして・・・
「たのしみは・・・」は、
わたしの日々の中にも、たくさんあって・・・
その一端を、わたしは、ここで綴ることができています。
ありがたいことに、読んで下さる皆さまも、おいでです。
どうぞ、これからも、よろしくお願い申し上げます。
本日も、おつきあいいだき、どうもありがとうございました。
📷リビエラ逗子マリーナで、初めて白のアガパンサスを見ました。
ブログのお仲間に「ジューン・ブライド 」という素敵な名を
教えていただきました。
これも「たのしみは」の一つです♫
「独楽吟」にとても興味を抱きました。検索をかけたところ、あるある短歌がたくさん読まれていて愉しみました。全然知らなかった歌人・橘 曙覧さんを知り、今日は善き日になること間違いなしです。
「たのしみは そぞろ読みゆく 書(フミ)の中(ウチ)に 我とひとしき 人を見し時」と全く同じでした。
もうひとつ見つけたのもね!
「たのしみは物識人(ものしりびと)に稀にあひて古しへ今を語りあふとき」
図書館にあったら良いな!
「ジューン・ブライド」・・・
教えていただき、あらためてお礼申し上げます。
本当に気高い!うまいネーミングをしたものですね♫
「独楽吟」、意訳つき本なども、かなり出回っているようです。
近所の図書館では、新聞の投稿欄に載ったためでしょう。
既に蔵書は全て出はらっていて、予約待ちでしたがw
たぶん、お近くの図書館にも蔵書があることと思います。
「たのしみは物識人(ものしりびと)に稀にあひて古しへ今を語りあふとき」・・・これも、いいですよね。
今、まさに、この「たのしみ」を味わっております♫