おはようございます。
今朝は、小野寺史宜『とにもかくにもごはん』(講談社)の感想文です。
どうぞ、おつきあいくださいませ。
小野寺氏の単行本・最新刊『とにもかくにもごはん』は、
子ども食堂を舞台にした連作短編集です。
いい話よね、やっぱり小野寺史宜って感じ~~♫
・・・と、予想通りでした。最終章までは・・・
ところがっ!
最後の最後、見開き2頁でやらたのです!
もう、もう、号泣・・・うわ~んって、感じ。
予想を超えて・・・心を揺さぶられてしまいました。
まずは、ざっくりと、あらすじを・・・
夫との関係がギクシャクしていた波子。
ある夜、夫が公園でビールを呑む姿に遭遇し、
思いがけないことを聞かされる。
以前、小学生の男の子が、一人、夜の公園で、夕食のパンをかじっていた、
電気もガスの止められた自分の家よりは、明るいからと・・・・・・
何度か出会ううちに、
いつしか公園でビールを飲むのが習慣となってしまい、
その子が引っ越した今も、続いている。
「ウチでメシを食わしてやりゃよかったなぁ...
こっちの自己満足で、何の解決にもならないことはわかってる。
だとしても、マイナスにもならないよ」
その五日後、夫は事故で亡くなった。
公園で夫が言った言葉から、夫婦の関係に光が見えていたのに・・・
それから7年、波子の中で、夫の言葉は存在感を増していた。
・・・そして、ついに、波子は、近くの閉店したカフェを借り
子ども食堂をオープンするべく、動き出した・・・
(ここに至るまでの、他のエピソードも良いんです!)
舞台は、その子ども食堂、第5回目のオープン日。
夕方4時、波子の、オープンのきっかけとなった物語から始まり、
閉店間際まで30分刻みで、スタッフや利用者の、子どもと大人の
それぞれが物語を続けていきます。
子ども食堂と言えば・・・
夏に、湯浅誠『つながり続けるこども食堂』(中央公論社)を読みました。
子ども食堂について、考え違いをしていたことに気づかされ・・・
ここでも、ガツンガツンやられています。
子ども食堂は、子どもの貧困にばかり、目が行きがちですが、
そうではないことを、この本で知ったからです。
誰もが、無理なく参加して、みんなでゴハンを食べて、
次も楽しみにできるような、近所のそんな場所。
今、あちこちで叫ばれている、まさに「SDGs」につながります。
『とにもかくにもごはん』は、そのあたりも、
さりげなく盛り込みながら描いておいでです。
これはもう、小野寺氏が書くべくして書いた題材なのかもしれません。
もちろん、「小野寺テイスト」は全開♫
誰でも、それぞれが悩んだり我慢したり・・・
でも、ほんのちょっと、自分が動くことで、次の何かが開ける・・・
読み終わった後、ふっと背中を押してもらえたような
暖かい気持ちに、わたし自身も、いつも救われています。
・・・それが、私の大好きな「小野寺テイスト」です。
あ゛~~~
先週は、かなり疲れていたんだろうな、わたしも。
モロモロで、どどど~んと、参っていました。
あんなに楽しみにしていた、阿部智里『追憶の烏』(文藝春秋)よりも
小野寺史宜・小説に手を伸ばしたのも、そういうことで・・・。
現実では、予想した最悪の事態を回避できそうですが、
まだまだ、どうなることか先が読めません・・・
しばらく、本や花の世界に逃げ込むことになりそうですw
本日も、おつきあいいただき、どうもありがとうございました。