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沖縄、『太陽の棘』を歩きました

2020-02-08 | 旅行
先月の沖縄への旅。
出発前夜、原田マハ『太陽の棘』(文藝春秋)を読み終えました。

それから、翌朝は早朝の便に乗るというのに、コ~フンして大変!
必死で、あれこれググりまくり、すっかり寝るのが遅くなり・・・
案の定、寝坊・・・飛行機に乗り遅れなかったのが幸いでした・・・w

『太陽の棘』。
原田マハさんらしい、実在人物をモデルにした小説です。




まずは、あらすじを、ざっくりと・・・

終戦から3年後の1948年。

新米・精神科医のスタンレーは、琉球基地に軍医として赴任する。
沖縄では米軍への警戒感が強く、戸惑うことばかり。
休みの日、仲間とドライブしていると、不思議な看板に行き会う。

「NISHIMUI ART VILLAGE」

ニシムイ・アート・ヴィレッジ・・・
スタンレーは、「本来なら出会いようもない人たち」と、出会うことになった。

「ゴーギャンのごとく、ゴッホのごとく、誇り高き画家たちと。
太陽の、息子たちと。」(59頁)



ニシムイは、米軍の許可を得て、芸術家が集まり、自ら作った集落でした。
ここで画家は、絵を描き、暮らしをたてる・・・
とはいえ、初めて足を踏み入れたアメリカ軍人が、スタンレーの一行でした。

画家を夢見たこともあるスタンレー。

ニシムイの画家との交流から再び絵筆を手にし、
故郷の両親に画材を送ってもらいます。
それを携えて、ニシムイを休みの度に訪ねるのが楽しみになりました。

ところが、思わぬ出来事が起こって・・・という、お話。
(タイトルに「棘」が、含まれるくらいですから・・・)



巻末の「謝辞」で、スタンレーが本当にニシムイの人々と交流していたこと、
2009年に沖縄県立博物館・美術館で、ニシムイ・コレクションが公開されたことを
知りました。

しかも、そのニシムイ・コレクションは、スタンレー・スタインバーグ博士が
大切に保存していたもので・・・(小説の通り!)

原田マハさんは、サンフランシスコ在住のスタンレー博士の協力で
この小説を描いたのだとも・・・




「鉄の砲火」とまで呼ばれた攻撃を受け、焼け野原となった沖縄で、
戦後、かつての敵国人同士が、こんなに友情を育むことができたのだ・・・と、
とにかく、驚きました。

早速、ググると・・・なんとっ!
沖縄には、ニシムイ美術村の跡地があるらしい・・・
これは、是非、訪ねてみたい・・・

旅の前夜、興奮したのも、むべなるかな・・・でございますw




さて、現在のニシムイ美術村(跡地)。↑

「車が一台通れるほどの道が奥へと続いていた...
周辺は、鬱蒼とした森に囲まれていた。
那覇へ出て初めて目にした、緑豊かな森だった。

壁の板は白く塗られ、トタン屋根はリズミカルなパターンで重ね合わされている。
石積みの低い塀には貝殻が貼付けられ兵の周辺には植木鉢があり、
赤い花々が咲き乱れている」58頁

また、はるかに海を眺めることもでき、その地形のおかげで
美しいラストシーンを迎えるのですが・・・

今では、小高い丘の住宅街となり、
小さな公園に「ニシムイ」の案内板があるだけでした。
しかも、すぐ脇には、モノレールが走っています。(「儀保駅」の近くです)



もともと、このあたりは、
王家の陵墓「宝口玉陵」や「西森御嶽」のあった神聖な土地とのこと。

1948(昭和23)年に、美術村が築かれるものの、
1972(昭和47)年には10数mも丘を削り、現在の県道82号線が造られました。
さらには、モノレールも開通・・・現在の姿になったとのことです。

ちょうど雨脚が強くなってきて、人影ひとつありません。

それを幸いに・・・
夫にはレンタカーで待機してもらい(駐車スペースはなく、路上駐車するしかない)
しばらく説明板を読み歩き、ニシムイへと想いを馳せました。



『太陽の棘』で、スタンレーと、もっとも親しくなるタイラは、
玉那覇正吉がモデルでしょう。
その彼が描いた絵は、『太陽の棘』のカバーに使われています。

沖縄県立博物館・美術館にはニシムイ美術村の画家の絵もあるようですが
HPからは、常設展示されているかどうかが分りませんでした。
いずれにせよ、今回の「弾丸」旅では厳しく、絵画鑑賞をあきらめていました。

それだけに、この小さな公園で、
ニシムイの人たちの絵画が紹介されていたのは、感激でした。



夜更かしして(寝坊は肝を冷やしたけれど!)、
『太陽の棘』を読んで良かったぁ~、旅の後に、この本を読んだとしたら
ニシムイに焦がれて、地団駄を踏んだことでしょうw

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旅は無論のこと、大のお出かけ好きながら、昨今の状況は、怖すぎます・・・
どうか、早く収束してくれますように・・・

お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
もう少し余裕ができるまで、コメント欄は非表示にさせてくださいね。
一方通行のブログで、ごめんなさい。

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