MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2321 結婚は女のビジネス

2022年12月23日 | 社会・経済

 ブライダル情報誌「ゼクシィ」が2020年9月に行った未婚女性618人、既婚女性309人に対して行ったアンケート調査の結果が公表されています。

 これによれば、既婚者に対する「プロポーズはどちらからしましたか?」との設問に対し、87.7%が「彼から」と回答した一方で、「プロポーズはなかった」が11.3%、「彼女から」との回答はわずかに1.3%に過ぎなかったということです。因みに、未婚女性に聞いた「憧れのプロポーズ」に関しては、92.2%の未婚女性がが「彼からプロポーズしてほしい」と回答。一方、「自分からしたい」は3.7%だったということです。

 新型コロナの感染拡大などもあって少子化が深刻化している現在の日本ですが、出産年齢にある女性の急激な人口減少に加え、生涯未婚者の増加や婚姻年齢の上昇は進むばかり。若年世代の雇用の不安定化も指摘されており、結婚へのハードルは高まる一方と言えるでしょう。

 そうした中、若い未婚女性たちの(こうした)結婚への期待感を見る限り、世の男性たちには積極的に「告白」してもらい、頑張って「プロポーズ」まで持ち込んでもらうよりほかに道はなさそうです。

 とは言え、「断られたらどうしよう」と躊躇する気持ちもわからないではありません。傷つきやすい昨今の男たちにとって、人生の選択を口にするのは結構大変だろうなと漠然と感じていた折、11月6日のYahoo newsにコラムニストの荒川和久氏が『結婚は女のビジネス。男にまかせていたらいつまでも結婚できない理由』と題する論考を寄せていたので、この機会に紹介しておきたいと思います。

 男性の皆さまに質問だが、貴方は好きになった相手に自分から積極的にアプローチできるか?…既婚の会社の上司に聞けば、(確認しようのないことをいいことに)ほぼ100%の確率で「俺はできた」と返すだろう。もちろん、結婚するにあたって形式的なプロポーズはしたかもしれないが、自分から積極的にいったかどうかはかなり怪しいと氏はこのレポートに綴っています。

 過去のデータを見る限り、そもそもいつの時代にも、恋愛に前のめりな男は全体の3割程度しか存在していないと氏は話しています。「いやいや、付き合う時には男から告白するもんでしょ」と口にする御仁もいるだろうが、女性とお付き合いする際、「告白は男からするもの」という考え方自体がデフォルトのものではないというのが氏の認識です。

 振り返れば、この「告白は男から」文化は意外に歴史が浅いと氏は言います。これが、全国的に行動形式として流布されたのは、1987年に始まったバラエティ番組「ねるとん紅鯨団」から。男女が集団でお見合いを行い、最後に、男が女の前に手を差し出して「よろしくお願いします」と告白するのが定番の流れだったということです。

 一方、それ以前のテレビの恋愛バラエティである「プロポーズ大作戦」や「パンチDEデート」では、いずれも告白は男女同時だった。つまり、「ねるとん」方式が、「男から女に告白する」という形を世の中に広めたひとつのきっかけだったと氏はしています。そしてこのお作法が、30年以上たった今でも婚活パーティーなどではよくみられる光景に繋がったというのが氏の見解です。

 内閣府が2020年に実施した「少子化社会に関する意識調査」には、「気になる相手には自分から積極的にアプローチする」か「相手からアプローチがあれば考える」かという設問があり、自分からアプローチする派は男性全体の約3割。これを聞いて、「日本の男はだらしないな」と思う向きもあるかもしれないが、実はこの割合はフランスやイギリスとほぼ変わらず、むしろフランスやイギリスより日本の女性の方が少し積極的であることが判ると氏は言います。

 しかし、注目すべきは「相手からのアプローチがあれば考える」という恋愛受け身体質の方で、男女とも日本人の受け身っぷりたるやダントツである。男女双方とも受け身なのだから、その姿は、まるで合気道や居合の達人同士の試合のように「先に動いた方が負け」という両すくみ状態に陥っているかのようだということです。

 現在は職場での恋愛などはセクハラと訴えられるリスクも高く、なかなか行動しにくいこともあり、これでは恋愛に発展しないのも無理はないと氏は話しています。それでは益々非婚化が進むではないかと危惧する声も聞こえそうだが、これがよくできているもので、実際に婚姻に結び付けているカップルは女性が動くというのが氏の指摘するところです。

 女性からの逆プロポーズをしないまでも、相手の男性にプロポーズしてもらえるように女性からのアシスト的なアクションをしたことがある割合は、過半数を超える51.8%もある(2018年ウェディングパーク調)。要するに、プロポーズしやすいよう(半数以上の)女性が、何かしらのお膳立てをしているということです。

 恋愛は受け身でも、こと結婚となると主導権を握るのは女性だと、氏はこのレポートの最後に記しています。

 アイルランドの劇作家バーナード・ショーは「できるだけ早く結婚することは女のビジネスであり、できるだけ結婚しないでいることは男のビジネスである」との名言を残している。「自分からプロポーズした」と自信をもって口にする上司も、案外うまく乗せられていたに過ぎないのかもしれないとする荒川氏の指摘を、私も興味深く読んだところです。



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