13・2・6
ー見たてる Ⅴー
水原秋桜子編俳句小歳時記から
ネタを拾うことからもう少し進めると、
松岡正剛著「編集工学」かもしれません。
歳時記にある季語の説明も
水原秋桜子が新たに発見したものはありません。
でも何か魅力があります。
大きな意味で切り口の特異性が
水原秋桜子たらしめている、と云えます。
私は某カルチャースクールの文学散歩を担当します。
文学部出身でもなく、研究者でもありません。ですが
私の切り口があります。
一例をしめすと、
我孫子の志賀直哉をはじめとする
白樺派文学に属する作家たちと、
市川の幸田露伴、永井荷風は
我孫子と市川に移り住んでいるのですが、
移り住んだ動機は全く違います。
志賀直哉はそこに白樺派があったから
我孫子に移り住んだ。
露伴、荷風は戦争で東京に住めなくなったので
東京に一番近い市川へ移り住んでいます。
志賀直哉は
我孫子を舞台に「和解」を書いています。
荷風は
「葛飾土産」に
市川から船橋にかけて散策した様子を書いています。
いわば仕方なく移り住んだ市川を散策して、
悪くないじゃないか…と云ったようなことを書いています。
切り口、
即ち松岡正剛のいう編集ではないか、と考えています。