蔵王温泉はスキー場は?
(NIKKEIプラス1ランキング)中・小規模温泉部門で第1位の蔵王温泉はスキー場部門ではベスト10に入りませんでした。
冬を代表するスポーツといえばスキーやスノーボード。最近は食事に工夫したり、託児所など親子向けサービスを充実させたりと、快適な空間づくりに励むスキー場も増えてきた。年に1回、あるいは久しぶりに雪山を訪れるような初・中級者に居心地のいい「レジャー派」向けスキー場はどこか、専門家らへの調査でまとめた。
中・小規模温泉部門で第1位の蔵王温泉
1位は新潟県の苗場。昨年、日帰りセンターを新設し、温泉やレンタルルーム(有料)、無料休憩室など多彩な施設を導入した。フードコートの一角には足湯もお目見え。「子どもにも年配者にも快適。かつてのナンバーワンリゾートだった苗場が、停滞期間を抜け出して復活してきた」と剣持さん。 レンタル品はニューモデルをそろえ、交換も自由だ。「久しぶりに行くスキー。道具はないし子連れだから、まずは手ぶらで」と考える“再開組”も、快適にスノースポーツを楽しむことができる。斜面は中上級者向けのコースが多いが、初級者なら大型ゴンドラを利用して隣のかぐら(新潟県)に行く手も。こちらは緩斜面が充実、田代湖を望む風景も心地よい。
2位は外国人客で華やぐ北海道のニセコグラン・ヒラフ。「ゲレンデ放送も英語が使われ、日本にない雰囲気が味わえる。夕食は街の飲食店巡りがおすすめ」と下江さん。晴れれば正面に見える羊蹄山は絶景だし、初級者用のロングコースも備える。軽い雪質もうれしい。最上部のリフトに乗ればニセコ東山、ニセコアンヌプリとも直結、広大なエリアを滑走できる。
3位の野沢温泉(長野県)と5位のたざわ湖(秋田県)は良質の温泉が魅力だ。
「野沢は浴衣姿で温泉街を闊歩(かっぽ)できる数少ないスキー場。滑った後の外湯巡りも一興」と久田さん。坂倉さんは「温泉街からのシャトルバスが今年からゴンドラ乗り場まで行くので、課題だったアクセスも改善される」。来シーズンはゲレンデ近くに駐車場も建設予定だ。
たざわ湖を訪れたら、ゲレンデのすぐ下にある水沢温泉や、車で20分ほどの乳頭温泉につかりたい。「温泉とスキーという日本的な旅をしたい人なら一度は行くべきだ」と出川さん。スキー場の食事も評価が高く、剣持さんは「1000円程度の昼食なら日本一かも」。
4位の安比高原(岩手県)は整備された斜面が心地よく「圧雪の技術の高さは特筆もの」(久田さん)。混雑日の昼時には中央の初級者用コースを再圧雪し、ビギナーに配慮する。
6位の白馬五竜(長野県)には24時間オープンのスキーセンターがあり、レンタル品やキッズ向けメニューも充実。ゴンドラを使えば、北アルプスの雄大な山並みをビギナーも堪能できる。
スキー場へのアンケートと専門家22人の投票でランキングした。託児施設のある主要スキー場約90カ所に調査表を送付し、レンタル品やキッズパークの充実度、トイレや入浴施設などの整備状況を聞いて得点化。(託児施設・蔵王温泉スキー場にはありません。)
専門家には「年に1回、または10年ぶりに雪山に行くような、レジャー派の初・中級者に快適な環境を整えているおすすめのスキー場」を10カ所まで、順位つきで投票してもらい得点化した。斜面の滑り応え以上にサービス面を重視したが、結果的に大規模スキー場が上位に並んだ。
食事・温泉… 満足感高める 託児施設がなく選外となったが、専門家の投票では初心者向けメニューが充実しているたんばら(群馬県)と、スノボ禁止・スキー限定もあって「大人のリゾート」の雰囲気を漂わせる奥志賀高原(長野県)も高得点を挙げた。スキー場が多い北海道や東日本以外では、めいほう(岐阜県)とユートピアサイオト(広島県)の評価が高かった。
スノースポーツの人気は低迷傾向が続いているが、「バブル期に比べると環境は一変した。渋滞しない道路、混雑しないリフトなど、今は好条件がそろっている」(高橋さん)とも言える。高梨さんは「三連休の中日さえ外せば、快適な休日を過ごせる。年に1回行くのなら、天候が比較的安定する3月に」とアドバイスする。
1 苗場(新潟県湯沢町) 452
日帰りセンターが誕生し休憩施設が拡充、ファミリーに優しいリゾートに。コースは中上級向けも多い
2 ニセコグラン・ヒラフ(北海道倶知安町) 429
初級者も上級者も満足できる表情豊かな斜面と軽い雪。正面の羊蹄山も絶景。外国人客で飲食街にも活気
3 野沢温泉(長野県野沢温泉村) 354
景色のいい上部に初心者にうれしい緩斜面。ぬくもりある老舗温泉宿がそろい、温泉街にも風情がある
4 安比高原(岩手県八幡平市) 310
滑りやすいロングコース。周辺に温泉も点在し、スキー場直結のホテル以外にもペンション、民宿あり
5 たざわ湖(秋田県仙北市) 305
美しい田沢湖を見ながら広い斜面を滑る開放感は格別。秘湯ムード漂う温泉地には老舗も庶民派もそろう
6 白馬五竜(長野県白馬村) 300
予約できる仮眠ベッド、レンタルルームなど便利なサービス。上部でつながるHakuba47とリフト券共通
7 ルスツ(北海道留寿都村) 268
3つの山からなる広大な敷地に豊富なロングコース。買い物も楽しめる巨大施設。今年から風呂が温泉に
8 サホロ(北海道新得町) 246
欧州的バカンスを味わえるクラブメッドか、落ち着きあるサホロリゾートホテルに泊まって上質の旅を
9 アルツ磐梯(福島県磐梯町) 242
一口食べて不満ならお金が戻る「味保証カレー」が名物。駐車場やレストランなどの事前予約もできる
10 ブランシュたかやま(長野県長和町) 238
スキー専用。子ども向けの施設やスクールが手厚く食事もおいしい。上部の中級向け斜面は丁寧な圧雪
10 志賀高原焼額山(長野県山ノ内町) 238
林間コースの静寂さ、雄大な景色が心地よく、洗練された雰囲気。適度に変化するロングコースも快適
【調査方法】 専門家は以下の通り(敬称略、50音順)。
磯浩民(「スノースタイル」編集長)▽荻野正史(サイト「SURF&SNOW」)▽加藤雅明(「スキージャーナル」編集局長)▽加藤正夫(プロジェクトA)▽川野徳広(日本職業スキー教師協会)▽剣持勝(イーリゾート)▽斎藤真人(サイト「スキー場四方山話」)▽坂倉海彦(エボン)▽下江達也(SAM白山)▽関口英一(ICI石井スポーツ)▽高梨光(KPMG FAS)▽高橋達夫(「スキーグラフィック」編集長)▽出川あずさ(クオリア)▽早川久夫(ゴールドウイン)▽久田一樹(山と渓谷社)▽平沢文雄(平沢スキー研究所)▽福士健太郎(近畿日本ツーリスト)▽藤原功(JTB)▽ウォーレン・ヘッセ(シートゥアジャパン)▽星野俊也(昭文社)▽アンドリュー・リー(サイト「SNOW JAPAN」)▽渡辺一樹(スキーデモンストレーター)