五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

第五高等中学校事務章程(事務規程)

2011-06-05 04:03:44 | 五高の歴史
五高が出来た当時に規則制定で文部大臣に伺いを立てたことを紹介したが今日はその具体的な内容についてその事務分掌を転載する

第五高等中学校の事務を分けて上下二款と無為し其の上款は文部大臣の裁可を経へて其の下款は校長これを専決施行することを得

   上款は文部大臣に伺いを立てる必要があったもの
上款
第一項 学科過程を定むる事
第二項 学科学期及休業期日を定むる事
第三項 生徒の入学規則を定むる事
第四項 生徒の試業及学級進退の規則を定むる事
第五項 生徒の取り締まり規則を定むる事
第六項  生徒の扁罰則を定むる事
第七項 生徒の授業料の額を定むる事
第八項 服務規程を定る事
第九項 月俸壱弐円以上の内国人を雇用及び進退し又は解雇する事
第十項  判任以下職員雇員を内国各地に派遣する事
但し本県内(元県立中学分校現今本校の予備学科のある小学)に派遣を命ずるは此限りにあらず
第11項 判任以下職員雇員に褒賞等を与える事
第12項 外国人を雇入れ若しくは廃止する事
第13項 雇い外国人の内国旅行願いを許可する事
第14項 雇外国人に褒賞若しくは報酬として金銭又は物品を贈与する事
第15項 金100円以上の報酬を以って内外国人を嘱託する事
第16項 地所及び建物を増減する事
第17項 一件につき金百円以上の金額を以って物品を購入交換し若しくは売却する事
第18項 書籍報告書等を印行する事
第19項 経費中の目以上を彼是流用する事
第20項 前諸項に均しき重大の事件を処置する事


下款は学校長に先決してあったもの
下款
第一項 教科細目を定むる事
第二項 日課時間割を定むる事
第三項 臨時二日以下休業を定むる事
第四項 教員の学科担任等を定め及び雇員の事務分課を命ずる事
第五項 生徒に学業証書を与える事
第六項  通常収支の予算を調整しその算を報告する事
第七項 定期に従い金銭及び物品の収支をなしむる事
第八項 金三百得ん未満にして建物の修繕を為す事
第九項 生徒を処罰する事
第十項 判任以下職員雇員の暇願いを評否する事
第11項  雇外国人を饗応する事
第12項  規則類を印行する事
第13項  定期毎年三月一日をもって校長着京の期とす)上京する事
第14項  所感の事務に関し各庁に照会する事
第15項  此他詳細の事件を処置する事

この規則を見れば約130年後の今日でも中には文部大臣に伺いを建てねばならないものも見え隠れしている。
官吏(公務員)というものの性格がすべて規則に縛られていくことがこの当時から形成されて来たのである。