~ この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫に鳥にも 我はなりなむ ~ 大伴旅人
『藤原実方の執心雀となるの図』
(ふじわらさねかたの しゅうしん すずめとなる のず)
大蘇芳年筆
藤原実方(ふじわらの さねかた)は平安中期の歌人
長徳一年(995)、一条天皇の面前で、藤原行成と口論になった時に
怒りのあまり持っていた笏(しゃく)で行成の冠を打ち落としてしまう。
このため、藤原実方は京都から奥州・陸奥守へ左遷させられ
遠く離れた不案内な土地に配されたまま失意の内に歿した。
ある日、京都の勧学院に勤める僧の夢枕に一匹の雀が現れる。
「我は実方なり。身は陸奥に歿したが、魂は雀となって
都に戻ってきた」 と語り自分のために誦経するよう頼んだ
翌朝、境内の林の中で雀の死骸を見つけた僧は
実方の変わり果てた姿と哀れに思い
実方を弔うために塚を築いたとの伝承がある。