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オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

新形三十六怪撰より 「やとるへき水も氷にとぢられて今宵の月は空にこそあり 宗祇」

2018-09-24 | 新形三十六怪撰

~ 宿るべき水も氷に閉じられて 

『やとるへき水も氷にとぢられて今宵の月は空にこそあり 宗祇』

(やどるべき みずもこおりに とじられて こよいのつきは そらにこそあり そうぎ)

 

 大蘇芳年筆

 

宗祇(そうぎ)は室町時代後期の連歌師。


月の発句

丑三の頃になったらその寺の本堂でいろいろな人が話をしよる

侍もある 和尚さんもある。集まって「はてな、はてな」って言いよる

「今宵の月は空にこそあり」 いう歌が出されて

それの上の句ができなくて困っていたんですと。

宗祇が上の文句「やとるへき水も氷にとぢられて」ってつけると

みんな「ハッ!」って言って消えてしまったって。


この歌の情趣は、水に映った月を実と見て、

天空に輝く月を虚とみる発想の逆転にある

氷が張っているために、月が本来あるべきところの

水面に宿ることができずに、中空に浮かんでいるというのである。

出典元:昔話「幽霊の歌」にみる伝承の変容