オオカミになりたい(遺言)

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新形三十六怪撰より 「大物之浦ニ霊平知盛海上ニ出現之図」

2018-09-12 | 新形三十六怪撰

~ 見るべき程の事は見つ いまは自害せん ~

『大物之浦ニ霊平知盛海上ニ出現之図』

だいもつのうらに れい たいらのとももり かいじょうに しゅつげんの ず

大蘇芳年筆

 

平知盛(たいらのとももり)は平安時代末期の武将。平清盛の四男

 

源平合戦の功績ありながら兄頼朝と不和になり

都を追われ西国へ落ち延びる身となった源義経

摂津国・大物浦から船を漕ぎ出し、一行は瀬戸内海を西へ進む

ところが出発して暫くすると にわかの暴風に見舞われ

高波に舵を取られて船中は大きく揺れ動く。 そして

壇ノ浦で滅んだ平家一門の亡霊が、行く手の海上に現れた。

安徳天皇を中心に、勢揃いした平家一門の亡霊たち

その中でもひときわ禍々しい妖気を放つ一人の武将

彼こそ、滅びゆく平家一門の全てを見届け

壇ノ浦の露と消えた総大将・平知盛の怨霊であった。

「義経よ、ここで会うとは珍しい・・・。そなたに追い詰められた我等の末路と同じように

今度はそなたを海の藻屑としてくれようぞ」 知盛は一行の船に襲いかかる。

応戦する義経。しかし相手は亡霊、刀では対抗できない

弁慶は義経を押しとどめると、数珠を押し揉み、法力によって撃退しようとする。

弁慶の祈祷とともに亡霊の姿は次第に遠ざかる

怨霊の群れから逃げるべく船頭は渾身の力で船を漕ぐ

なおも迫り来る亡魂を祈りによって追い払い、遂に船は逃げきることができた。

あとには波の音だけが、そこには残っているのだった。。。

能楽「船弁慶」より