サポート隊の日々

サポート隊員hidekoの雑記帳

エッジ飛び出し

2005-11-26 16:41:56 | ★陥没、剥離、折損他

  ファンスキーのチューンナップ及び補修の
   ご注文有難うございました。

 ▼到着時のスキーの状況
 片方のトップエッジが飛び出してしまい、折れ曲がってます。
  
 
 
 横から見るとこんな風に

 
 ↓ そしてトップ部のデッキごと大きく欠け落ちエッジも変形。
 

 困ったことにむき出しになったエッジが極端に細くなっている事。
 こう細くなると、内側に折れ曲がっているエッジ部分を叩き出す
 作業中にも折れそうでちょっと心配でした・・。

このスキーボードはインジェクション製法ですから木芯が使われて
おりません。オール硬質発泡樹脂素材でデザインシートの下に
グラスファイバー繊維をサンドしたものですから、大きな衝撃では
欠け落ちてしまい易いという弱点があります。

 飛び出したエッジのモールも一部なくなっている部分もありました。
本来こんな大きな負傷時には、スキー本体からエッジを付けたまま
芯材ごと切り取って新しい部材を嵌め込んだ方が手っ取り早くて
綺麗に仕上がります。でもこのスキーボードにはその補修法は
使えそうもありません。木芯が入っていない為、切り出しの際
その樹脂に亀裂が入り割れてしまい適切な切出しが出来ないのです。
治すつもりがますます補修範囲を広げてしまう可能性が高くなるので
インジェクション製法の板には、この補修法は使えません。

 幸いエッジも残ってますし、滑走面も端が少し欠けただけです。
中が樹脂ですから水分が入って体積膨張を起こすような心配もないので、
滑走面素材をそのまま貼り戻して活かす方法で補修する事にしました。


 ◆作業開始
まずはエッジが飛び出した部分の周辺の滑走面を大きく剥がし、
内側から叩き出しやすいように切り開きます。
出来るだけ滑走面素材は、本体そのものを貼り戻す関係で
これ以上裂かないように慎重に剥がします。


エッジの折れた根元の少し下から少しづつ叩き伸ばしながら元の
アーチラインに整形していきます。
内部のエッジモールが捻れ曲がった部分もまっすぐ伸ばします。


伸ばしたエッジと滑走面素材にたっぷり接着剤を流しエッジを
しっかり固定。後は熱を加えプレスします。
 そのまま一日自然乾燥。
 


翌日の朝(25日)、プレスを外しトップ部の掛け落ちたデッキと
割れて落ちそうな部分にも樹脂を流しエッジを形成し接着剤で
がっちりガード。
その後数分間熱風で表面を固め補修は完了。
午後から通常のチューンナップ作業開始し本日夕方仕上がりました。

★仕上がり


デッキ側からの画像を取り忘れ、ラッピングしてから撮りましたので
ちょっと見辛いですがご勘弁下さい。

モノスキーに改造!!

2005-11-22 18:52:00 | ★モノスキーに改造
 新品のアルペンボードをモノスキーに改造の
ご注文頂きました。
 有難うございますm(__)m

実はこの改造は以前にも2台程手掛けてます。
でも新品の板での改造は今回が初めてです。


 ★改造前の新品ボード


 ★作業開始
 センター部分に付けられた印どおりにまずは
 デッキ側から8個の
 ホールを作ります。その後ソール側からロレット皿の
 挿入口を作り、ローレットがしっかり沈み込むように
 面取り作業で丁寧に入口を仕上げていきます。


  
  ▼面取り作業済みの挿入口
 
 
  今回は作成位置がセンター部分なので厚みがある為9ミリ
  サイズのローレットを使用

  ▼ローレット皿固定


  この後貼り付ける滑走面の厚さ分の窪みが出来ます。

  ▼ソール素材貼り付け


  ローレット皿底にたっぷり接着剤を流し
  カットしておいた8枚のブラックソール素材を
  きっちり嵌め込み接着します。 


  ▼熱圧着プレス

  
  しっかり固定されるように熱プレスで15分圧着し
  その後翌日の朝まで自然乾燥します。


  ▼仕上げ


  本日プレスを外し、はみ出した接着剤の除去と
  張った素材の段差をなくす為ハンドメイドによる
  ファイル研磨し完成!!

★今回はチューンナップなしのホール作成のみの
ご注文につきここで作業は完了です。

★完成したアルペンボード兼モノスキー
   
ビンディングをセットするとこんな感じになります。


★インサートホール作成のみ  
  作成料金¥8,400(¥1,050×8個)
  ・往復送料無料

  一台で2度美味しい!!
  この改造、皆さんもいかがでしょうか?
  きっとゲレンデでは目立つことでしょうね。
  本日夕方に発送いたしました。
  どうぞ楽しんでください。
  ありがとうございました。
  

2)滑走面剥離/その2

2005-11-17 01:51:09 | ★陥没、剥離、折損他
 
 先日15日に滑走面カットし接着、熱プレスしたその後の続き・・

 16日午後からプレスを外し、シャベル部分の反りの修正作業に
 かかりました。万力でボードを固定し、トップを平プレスに挟み、
 少しづつ力を加えてゆっくり内側に煽ること数回。 
 ほぼ原型に近づいたところで、戻らないようにガッチリ周辺も
 プレスしながら40分加熱。約一時間放置して様子を見ます。
 形が落ち着いたところでチューンナップ作業を開始。
 
 研磨され滑走面に艶が戻り、いい感じに作業が進みます。

 ベースワックスを浸透させその日の作業を終えました。

 滑走面を貼り付けたところはこんな状態になりました。
 
 

  滑走面全面
 

明日滑走ワックスを2度入れてパッキングし完成です。
もうしばらくお待ち下さい。


3)滑走面剥離

2005-11-16 00:24:02 | ★陥没、剥離、折損他
昨シーズン、BOXを擦った際にエッジとコア材の間に
プラ板がかなり深く刺さりエッジも浮いてしまったそうです。
ソールを切り取りゴミを取り除き補修材を流し込んで
ご自分で治そうとしたそうですが上手くいかずご相談を受けました。

 ★到着時の状態
 

 ★作業開始(15日17:00)


1)まずは残った接着剤は完全に除去が第一。
 内部の汚れもしっかり取り除き、カーボン繊維の目に添って
 出来るだけ丁寧に作業をします。

2)エッジも浮き気味なので滑走面から剥がして、そこの接着剤も
 上下共に完全に除去。橘田様の手当てが早かったらしく内部の
 エッジが錆びずに綺麗でした。助かります!!
 このエッジモールのサビ取り作業が結構厄介なんです。
 下手すればモールの爪を折ってしまう恐れがありますから・・
 
 さびが残っているとそこは接着が弱く、結局その部分から
 後日また剥がれ、どんどん剥離の範囲が拡大していきますので
 妥協は出来ません。
 
3)エッジが若干陥没した所があり叩き出してライン修正します。

 
 ★滑走面素材のカット

 痛んだ箇所がセンター部分ですし、板のしなりに伴って
 滑走面の伸縮運動も激しい箇所、負荷もかなりかかる位置でも
 ある為、見栄えよりも接着力を優先に考慮し、痛んだ箇所より
 大きめに貼り付け箇所を確保、ばっさり滑走面を切除します。

 本体と同じブラウン系の滑走面素材の手持ちが在ればよかった
 のですが残念ながらありません。でも素材カラーは当店に
 お任せして頂けたので非常に作業がしやすく助かります。
 手持ちの11色の中から淡いシルバー素材を張る事にしました。
 こんな形で・・・

 ★素材の接着

 新しい素材の丸みや角の嵌り具合を見ながら僅かずつ研磨し
 微調整します。カッチリ嵌ったことを確認し接着剤を流し込みます。
 新しい素材の隅々まで接着剤を押し流し熱プレスで40分、
 その後本日のお昼まで自然乾燥しました。


 ★補修完成

 午後からプレスを外し、本体との段差をなくす為ファイルで
 ハンドメイドで研磨調整し、その後マシンで全面を軽く研磨して
 作業終了。

 本来ならこの後、通常のチューンナップ作業となるのですが、
 今回はチューンナップなしの補修のみのご注文でした。
 
 お手元にボードが戻りましたら一度全面チューンし直して頂けると
 助かります。つやも出て仕上がりも一層アップします。
  
 ◆17日夕方の発送となりますので宜しくお願いいたします。


2)滑走面剥離

2005-11-15 16:34:05 | ★陥没、剥離、折損他

レーンにヒットしノーズが突き刺さり、その衝撃でソールが
L字に曲がりソールも剥離、ご自分で出来る限りの修復されたとの事。
その後もまた剥離した為修復依頼があり。

★到着時の負傷箇所




 エッジが歪みそしてソールから剥がれて浮き上がり気味でした。
 特に先端部分のソール素材に異変あり。
 ワックスの浸透性が低下する可能性もある為その部分は
 思い切って切除します。シャベルの先端部分がほんの僅かに
 外側へ反ってます。

★作業開始

 内部の様子。
 先端部分の素材を切り取り中を見るとエッジが錆びてます。
 本来内部のエッジは接着剤でガードされてますから錆びる事は
 ありませんが、隙間ができてしまい水分が入り込んだようです。
 
 ●グラスファイバー繊維面に付着した汚れと接着剤は完全に除去。
 ●先端のエッジが若干陥没している為、内側から叩き出しライン修正。
 ●周辺の両サイドエッジにも折れ曲がって僅かに凹んだ箇所がある為
  そこも叩き出しアーチラインを修正。

 ★清掃後


 
 ★接着

 ブラックのソール素材を半円にカットし嵌め込んで見て
 大きさを確認。きっちり隙間無く嵌ったその素材とボードに
 たっぷり接着剤を流し込み本接着。

 ★熱プレスで圧着中!!

  加熱40分、そのまま明日の朝11時頃まで自然乾燥です。

  明日は午後からプレスを外し、若干外側にのけぞった
  シャベルの先端部分を修正しなければなりませんがこれが難所。
  エッジが部分的に急激に伸ばされている為、修正しても
  きっちり元形通りには戻らずいびつに残るのモノ。
  それを出来る限り修正しその後通常のチューンナップ作業へ。

★仕上がりは18日です。もうしばらくお待ち下さい