うちのお向かいは、カミユイさんで
たま~にだけど
オヨメサンが出てくる。
出てくるっていうか
「出来てくる」んだよね。
きれえな着物着て
白くきれえにお化粧して。
アタマの白いきれは
ツノカクシ
お引きずりの長~いきものは
ウチカケだって
カンゴフサンたちがおしえてくれた。
雨ふりそうなときなんか
スソが地面につきそうで
黒いきもの着た女の人たちが
「あ、そこ、もうちっと」とかって
あわてて持ちあげてた。
オヨメサン見たあとは
うちかえってから
絵ぇかきたくなる。
でも、アタシだと
うまくかけないんだよね。
おねえちゃんかいたら
ぜったいうまいと思うんだけど。
でも、おねえちゃんは
オヨメサンとか、あんまし
「きょーみない」とかって言うの。
おねえちゃんは、女の子のマンガも
あんまり借りない。
男の人とか、男の子向けの
「ギューン」「ガチャーン」「ズドーン」
「ビシッ、バシッ、グサッ」
なんてのばっか、借りてくる。
アタシはお姫さまとか、長~いドレス
ネックレスとかイヤリングとか
きれえなもんが出てくるのがいい。
でも、「星のたてごと」とか
「白いトロイカ」は
おねえちゃんも好きって言ってたよ。
「リボンの騎士」なんて
おとうちゃんもおかあちゃんも
好きだったみたい。
アタシ、マネして絵かこうとしても
うまくかけなかったんだけど…
それでもたくさんかいたなあ。
おねえちゃんは、いつのまにか
「馬の絵」しか、かかなくなっちゃったけど
アタシはきれいなモノがかきたかった。
そーゆーの「ロマンチック」っていうんだって
それもカンゴフさんからきいた。
アタシ、おねえちゃんみたいに
かわいいって、あんまり言われないけど
ろまんちっくが好きでも、いいよね~
そんなことも思ってた。