キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合として、ここではローレルゲレイロを扱いたいと思います。
このローレルゲレイロこそが、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合から誕生した第1号でした。
なお、ローレルゲレイロの全きょうだいには、リキサンマックス(G3きさらぎ賞2着)やキタサンラブコール(現4勝、中京日経賞、ハッピーエンドC)などがいます。
【ローレルゲレイロ】
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ローレルゲレイロは、母ビッグテンビーの初仔として生まれました。
初仔ということもあり、同期のなかでもやや小柄に属する馬でしたが、とにかく獣医いらずの丈夫な馬だったことを覚えています。
放牧地で自分より大きな馬相手に対して威嚇行動を取るなど、この牝系特有の負けん気の強さを持つ馬でした。
育成場に行ってからも順調そのもので、それほど馬格があるほうでもなかったので、2歳戦から使えそうな仕上がりの早さを見せていました。
その予想通り、函館の新馬戦でデビューして同世代の勝ち馬第1号になりました。
その後は重賞路線で2着が続き、一時は「最強の1勝馬」などと呼ばれることもありましたが、古馬になった4歳時には重賞を連勝。
5歳になってからはG1高松宮記念とG1スプリンターズSを制して、最優秀スプリンターに選出されました。
現在は、優駿SSにて種牡馬として繋養されています。
ローレルゲレイロもまた、キングヘイロー×モガミヒメの組み合わせを持つ馬です。
この配合が血統的に相性が良いのは、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~ゼフィランサス編~で書いたので、ここではまず母ビッグテンビーの血統に焦点を当てます。
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血統を見てすぐ目に付くのは、ビッグテンビーが持つNijinskyの3×4のインブリードです。
Nijinskyの血が、モガミヒメの持つAlydarと好相性なのは、『キングヘイロー×モガミヒメ牝系②』でも指摘しました。
もう一つ、ビッグテンビーの配合でポイントになるのが、父テンビー内のMill Reefとモガミヒメの2代母の父ボールドラッドによる相似クロスです。
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いずれもNasrullahとPrincequilloのニックスを持っていて、しかもそれぞれの母が名牝であるという点も共通しています。
互いの母が優秀であるということは、共通の父であるPrincequilloがそれぞれの娘たちに対して遺伝的に好ましい影響を与えたと想像できます。
また、ビッグテンビーの父テンビーはPrincequilloを4×5で持ちます。
モガミヒメも自身の世代ではプールしているものの、2代母モガミポイントがPrincequillo4×4を持っています。
結果として、その両親から生まれたビッグテンビーは、Princequillo5*6×6*6のラインブリードを持つことになり、彼女にとって非常に重要なクロスになったと推察します。
一方のNasrullahにしても、テンビー内KalamounがNasrullah=Rivazの全きょうだいクロスを有していて、モガミヒメの母父カコイーシーズはNasrullahを息子と娘を経たクロスとして持ちます。
つまり、ビッグテンビーはNasrullah6*7*×5*6*6のラインブリードを持っていることになり、このクロスも大きな遺伝効果が期待できます。
そして、PrincequilloとNasrullahのラインをより確実に発現させるためにも、Mill Reefとボールドラッドによる相似クロスがビッグテンビーにとって非常に重要なポイントになったと考えます。
このような母に対して、息子のローレルゲレイロはどのような血統パターンを持つのか。
『キングヘイロー×モガミヒメ牝系①』でも指摘しましたが、キングヘイロー産駒の中央勝ち馬には、以下の血統的特徴があります。
①産駒自身がNorthern Dancerクロスを持つ。
②産駒の母がNasrullahの血脈を持つ。
③産駒の母がNearco/Prince Roseのニックスから成る血脈を持つ。
以上の3つのうちのいずれか、もしくは複数に該当する血統パターンに属することが多いです。
母ビッグテンビーは、自身の持つNijinsky3×4を経てNorthern Dancerクロスを持ちます。
また、Nasrullahの血脈を豊富に持っている点はすでに指摘しました。
さらに彼女は、Nearco/Prince Roseのニックスから成る血脈としてMill Reefやボールドラッドを持ち、さらにはForeseerやKalamounもこれに該当します。
つまり、モガミヒメ同様、ビッグテンビーもキングヘイローと血統的相性が良い繁殖牝馬だと思われます。
この配合で生まれたローレルゲレイロは、『キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~ゼフィランサス編~』で指摘した相性のほかに、ダンシングブレーヴ≒Caerleon≒モガミポイントという見方もできると思います。
これら3つの血脈は、Northern Dancer系の父×Nearco/Prince Roseのニックスから成る血脈を持つ母という組み合わせです。
また、Tom Fool≒Flaming Pageを持つモガミヒメや娘のビッグテンビーにとって、Tom Fool5×5を持つキングヘイローはクロスの継続という観点からも好ましい種牡馬だと言えます。
最後に、ローレルゲレイロが持つDrone≒Halo≒Nijinsky≒Careless Notionの組み合わせについて指摘おきます。
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2つの血統表に跨いで色分けしてみましたが、上記のように4つの血脈はNearoやPharamond、さらにはBull Dog=Sir GallahadやMahmoudを持つ点で共通しています。
このように、ローレルゲレイロの配合を考える際には、父母それぞれの血統傾向や多くの相似クロスを用いて配合しました。
馬体面ではそれほど大柄に出ない配合ではありますが、競走能力の遺伝という点では期待できる配合だと思っています。
次回の『キングヘイロー×モガミヒメ牝系』は、キングヘイロー×ラヴァーズレーンの配合として、現役馬のスルターナを取り上げる予定です。
【関連記事】
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ①キングヘイロー
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ②モガミヒメ
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ③キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~ゼフィランサス編~
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ③キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~スルターナ編~
このローレルゲレイロこそが、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合から誕生した第1号でした。
なお、ローレルゲレイロの全きょうだいには、リキサンマックス(G3きさらぎ賞2着)やキタサンラブコール(現4勝、中京日経賞、ハッピーエンドC)などがいます。
【ローレルゲレイロ】
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ローレルゲレイロは、母ビッグテンビーの初仔として生まれました。
初仔ということもあり、同期のなかでもやや小柄に属する馬でしたが、とにかく獣医いらずの丈夫な馬だったことを覚えています。
放牧地で自分より大きな馬相手に対して威嚇行動を取るなど、この牝系特有の負けん気の強さを持つ馬でした。
育成場に行ってからも順調そのもので、それほど馬格があるほうでもなかったので、2歳戦から使えそうな仕上がりの早さを見せていました。
その予想通り、函館の新馬戦でデビューして同世代の勝ち馬第1号になりました。
その後は重賞路線で2着が続き、一時は「最強の1勝馬」などと呼ばれることもありましたが、古馬になった4歳時には重賞を連勝。
5歳になってからはG1高松宮記念とG1スプリンターズSを制して、最優秀スプリンターに選出されました。
現在は、優駿SSにて種牡馬として繋養されています。
ローレルゲレイロもまた、キングヘイロー×モガミヒメの組み合わせを持つ馬です。
この配合が血統的に相性が良いのは、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~ゼフィランサス編~で書いたので、ここではまず母ビッグテンビーの血統に焦点を当てます。
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血統を見てすぐ目に付くのは、ビッグテンビーが持つNijinskyの3×4のインブリードです。
Nijinskyの血が、モガミヒメの持つAlydarと好相性なのは、『キングヘイロー×モガミヒメ牝系②』でも指摘しました。
もう一つ、ビッグテンビーの配合でポイントになるのが、父テンビー内のMill Reefとモガミヒメの2代母の父ボールドラッドによる相似クロスです。
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いずれもNasrullahとPrincequilloのニックスを持っていて、しかもそれぞれの母が名牝であるという点も共通しています。
互いの母が優秀であるということは、共通の父であるPrincequilloがそれぞれの娘たちに対して遺伝的に好ましい影響を与えたと想像できます。
また、ビッグテンビーの父テンビーはPrincequilloを4×5で持ちます。
モガミヒメも自身の世代ではプールしているものの、2代母モガミポイントがPrincequillo4×4を持っています。
結果として、その両親から生まれたビッグテンビーは、Princequillo5*6×6*6のラインブリードを持つことになり、彼女にとって非常に重要なクロスになったと推察します。
一方のNasrullahにしても、テンビー内KalamounがNasrullah=Rivazの全きょうだいクロスを有していて、モガミヒメの母父カコイーシーズはNasrullahを息子と娘を経たクロスとして持ちます。
つまり、ビッグテンビーはNasrullah6*7*×5*6*6のラインブリードを持っていることになり、このクロスも大きな遺伝効果が期待できます。
そして、PrincequilloとNasrullahのラインをより確実に発現させるためにも、Mill Reefとボールドラッドによる相似クロスがビッグテンビーにとって非常に重要なポイントになったと考えます。
このような母に対して、息子のローレルゲレイロはどのような血統パターンを持つのか。
『キングヘイロー×モガミヒメ牝系①』でも指摘しましたが、キングヘイロー産駒の中央勝ち馬には、以下の血統的特徴があります。
①産駒自身がNorthern Dancerクロスを持つ。
②産駒の母がNasrullahの血脈を持つ。
③産駒の母がNearco/Prince Roseのニックスから成る血脈を持つ。
以上の3つのうちのいずれか、もしくは複数に該当する血統パターンに属することが多いです。
母ビッグテンビーは、自身の持つNijinsky3×4を経てNorthern Dancerクロスを持ちます。
また、Nasrullahの血脈を豊富に持っている点はすでに指摘しました。
さらに彼女は、Nearco/Prince Roseのニックスから成る血脈としてMill Reefやボールドラッドを持ち、さらにはForeseerやKalamounもこれに該当します。
つまり、モガミヒメ同様、ビッグテンビーもキングヘイローと血統的相性が良い繁殖牝馬だと思われます。
この配合で生まれたローレルゲレイロは、『キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~ゼフィランサス編~』で指摘した相性のほかに、ダンシングブレーヴ≒Caerleon≒モガミポイントという見方もできると思います。
これら3つの血脈は、Northern Dancer系の父×Nearco/Prince Roseのニックスから成る血脈を持つ母という組み合わせです。
また、Tom Fool≒Flaming Pageを持つモガミヒメや娘のビッグテンビーにとって、Tom Fool5×5を持つキングヘイローはクロスの継続という観点からも好ましい種牡馬だと言えます。
最後に、ローレルゲレイロが持つDrone≒Halo≒Nijinsky≒Careless Notionの組み合わせについて指摘おきます。
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このように、ローレルゲレイロの配合を考える際には、父母それぞれの血統傾向や多くの相似クロスを用いて配合しました。
馬体面ではそれほど大柄に出ない配合ではありますが、競走能力の遺伝という点では期待できる配合だと思っています。
次回の『キングヘイロー×モガミヒメ牝系』は、キングヘイロー×ラヴァーズレーンの配合として、現役馬のスルターナを取り上げる予定です。
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