8月20日のサマープレミアムセールにつづき、その翌日から開催されるサマーセール。
当場からは、8月22日(水)に4頭上場予定です。
今回は、№614メリオールの2017を紹介させていただきます。
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本馬の牝系解説文については、
こちら をご参照ください。
なお、8月7日付の本馬の測尺は以下のとおりです。
【体高】152cm 【胸囲】173cm 【管囲】19.0cm
本馬は日高軽種馬共同育成公社にセリ馴致をお願いしています。
決して大柄なタイプではありませんが、張りのある馬体をしていて、人間に甘えることのできる賢さとこの牝系らしい悍性の強い気性をしています。
父カレンブラックヒルは現役時代、デビューから4連勝でG1NHKマイルCを制した快速馬で、ダイワメジャー産駒らしい力強いスピードが特長的な馬でした。
彼にとって、この1歳世代が初年度産駒になりますが、産駒は総じて立派な馬体が多い印象です。
実際、今年のセレクト・セレクションセールには3頭上場されましたが、4200万円を筆頭にいずれも取引額が1000万円越えを果たしています。
受胎条件で100万円を切る種牡馬の産駒としては、かなりの高額だと言えるでしょう。
本馬もしっかりとした骨格を備えていて、バランスも良く見栄えのする牝馬です。
そういう産駒の特徴が、セールで評価されているのかもしれません。
血統面からカレンブラックヒルを考察するならば、ダイワメジャーの母スカーレットブーケとチャールストンハーバーの2代母の父Storm Catの相性を活かすことで、競走馬として成功したのではないでしょうか。
それぞれの父はNorthern DancerとChop Chopの血を持つ関係であり、母側にはCrimson Satanの血を持つ点で血統的な相似性があります。
このダイワメジャー×Storm Catを持つ牝馬という組み合わせからは、カレンブラックヒル以外にも、現役馬では重賞戦線で活躍しているロードヴァンクールなどが挙げられます。
このカレンブラックヒルの血統的特長を活かしたかったので、カレンブラックヒルの能力を本馬に受け継がせたい意図から、メリオールとの配合ではStorm Cat4×5のクロスをつくる配合にしました。
これにより、父の持つスカーレットブーケ≒Storm Catを継続強化するのが狙いです。
本馬の母メリオールは、一部のキングカメハメハ産駒が持つ脚元の難しさが出た牝馬で、そのため自己所有馬として競走させることにしましたが、結局1戦のみで引退させることにしました。
ただ、産駒のほうは半兄オールスマート(牡、父スマートファルコン)と本馬、そして当歳馬の牡馬(父フェノーメノ)の3頭が生まれていますが、いずれも母馬のような脚元の難しさはありません。
加えて本馬はしっかりとした骨格を備えているので、セリ馴致の預託に出すまで昼夜放牧をしていましたが、冬期の昼夜放牧も含めてここまで順調に育ってくれています。
メリオール自身は1戦のみの引退でしたが、脚元さえしっかりしていればスピードに秀でていただろうと思える、力強い筋肉を持つ牝馬です。
キングカメハメハの影響もあるでしょうが、メリオールの母メリュジーヌの遺伝も少なからずあるでしょう。
フレンチデピュティの血を引くメリュジーヌは中央3勝している牝馬で、牝馬らしからぬ四肢の筋肉が特長的な牝馬ですが、血統的にはフレンチデピュティ≒Storm Catを組み合わせることで力強いスピードの遺伝を狙った配合でした。
メリュジーヌ自身は父がフレンチデピュティで、母父がStorm Catの息子であるタバスコキャットです。
フレンチデピュティとStorm Catは、父系がいずれもNorthern Dancerに属します。
また、フレンチデピュティの母MitterandはPrincequillo系×Bold Ruler系の配合ですが、Storm Catの母父SecretariatもBold Ruler×Princequillo牝馬の配合なので、血統的に相似性が高い関係です。
結果として、メリュジーヌはダート短距離で3勝を挙げたわけですが、フレンチデピュティ≒Storm Catの影響もあって力強いスピードを発揮してくれました。
このような観点から、カレンブラックヒルと2代母メリュジーヌのスピードを引き出す意味でも、メリオールの2017の世代でStorm Catのクロスをつくる意味はあると考えます。
次回は、
№641リキサンキャロルの2017 を紹介させていただきます。