今回は、8月24日のセレクションセールに当場から上場予定のアメージングムーンの2019(牡、父モーリス)を紹介させていただきます。
VIDEO
本馬は、昨年のセレクションセールで当場から上場したアメージングムーンの2018の全弟にあたります。
その2歳馬の全兄(馬名:ノースブリッジ号)はすでに入厩済みで、早ければ新潟開催あたりを目標に調整中のようです。
ノースブリッジは昨年のセレクションセールで3,200万円(税別)の評価を受けましたが、これは当セールのモーリス産駒のなかで最高価格タイの落札額でした。
昨年のセレクションセールへ向けての紹介記事は
こちら からご参照ください。
もう一頭の半兄で、母アメージングムーンの初仔であるアメージングサン(牡3歳、父ロードカナロア)は現1勝です。
母アメージングムーンは札幌の2歳未勝利(芝1200)のレコードホルダー(1:09.5)でしたが、その記録を塗り替えたのが息子のアメージングサンでした。
そのアメージングサンも札幌の2歳未勝利(芝1200)で勝ち上っていて、そのときのタイムが1:09.1であり、親仔によるレコードタイムの更新となりました。
当時の紹介記事は、以下のリンクからご覧いただけます。
ローレルクラブ提供のアメージングサン号が2歳未勝利戦を快勝!
本馬は兄のアメージグンサンやノースブリッジ同様に柔軟性を備えた馬体で、モーリス産駒らしい胴回りの厚みもあります。
セレクションセールまで2カ月近くある状況のなか、すでに何組かのお客様に下見に来ていただいてます。
セールの2カ月前からセリ馴致を始めていますが、引き運動やWマシンへの順応も早いほうで、このまま順調にメニューをこなしてくれればセール当日は良い状態で臨めそうな手応えです。
さて、ここからは、本馬の血統についてご紹介したいと思います。
本馬の父モーリスは初年度産駒が2歳を迎えていますが、7月2日時点でまだ勝ち上がっている産駒はいない状況です。
ただ、2着馬はすでに数頭いて、そのほぼすべてに共通しているのはサンデーサイレンスのクロスを持っている点です。
モーリスの血統は、自身の産駒から見るとサンデーサイレンスの血が4代目まで下がるので、配合する際にはサンデーサイレンスの孫にあたる繁殖牝馬と交配してもサンデーサイレンス4×3となり、近親度がそれほど強くなりません。
サンデーサイレンスの血が飽和している現代において、このモーリスの血統背景は明らかに長所であり、今後モーリスからはサンデーサイレンスのクロスを持つ産駒が続々と勝ち上がっていくでしょう。
本馬もサンデーサイレンス4×4を持っていて、父モーリスのみならず、G3ファンタジーS3着の母アメージングムーンのスピードを活かす意味でもサンデーサイレンス4×4のクロスは有効だと考えます。
このサンデーサイレンスのクロスに関連して、モーリス自身が持つHail to Reasonのクロスには注目しておきたいです。
モーリスは3本のHail to Reasonを持っていますが、注目すべきはこのうちの1本がRobertoを通じている点です。
このRobertoという血は、父母相似配合の血統をしています。
それぞれの父系にRoyal Charger≒Nasrullahがあり、母方にBlue LarkspurやSir Gallahad(Bull Dog)を持つ点でも共通しています。
これにより、Hail to Reason≒Bramaleaの相似関係が成立すると見なせます。
これを前提にすると、Robertoを通じてHail to Reasonクロスを持つ馬の場合には、同時にHail to Reason≒Bramaleaの相似クロスも持つことになります。
その血統パターンを持つのがスクリーンヒーローであり、息子のモーリスやグァンチャーレ(G3シンザン記念)、トラスト(G3札幌2歳S)たちです。
アメージングムーンの2019もHail to Reasonを6*6*7×6*7で持っていて、父モーリスの血統傾向を受け継ぐ配合になっています。
本馬にとってHail to Reasonのクロスは、既述のBramalea(Robertoの母)の血を活かす以外にも、母方にあるカコイーシーズの2代母Miss Uppityの血を活かす意味もあります。
それぞれの父系にはRoyal Charger≒Nasrullahの関係があり、母方にはSir Gallahadの名前を見つけることができます。
ここにBramaleaを加えたHail to Reason≒Bramalea≒Miss Uppityという相似クロスは、アメージングムーンの2019にとって大きな血統的特長だと捉えています。
もう少しモーリス自身の血統に触れると、彼の父スクリーンヒーロー内にあるHail to Reason系×Northern Dancer系の組み合わせを持ったグラスワンダーやランニングヒロインという血に対して、同じNorthern Dancer系×Hail to Reason系の組み合わせから成るSadler's Wellsの血を持つ牝馬との間に生まれた点に、血統的な相性の良さを感じます。
実際、スクリーンヒーロー×Sadler's Wells持ち牝馬という配合からは、ミュゼエイリアン(G3毎日杯)なども出ていて勝ち上がり率も悪くない印象です。
アメージングムーンの2019の場合、母方にNorthern DancerとHail to Reasonの組み合わせを持つCaerleonが入っているので、モーリスが持つグラスワンダーやランニングヒロインあるいはSadler's Wellsといった血をうまく活かすことが可能です。
アメージングムーンの2019の牝系に目を向けると、2代母ビッグテンビー(G1勝ち馬ローレルゲレイロの母)の血統傾向に大きな特徴があると思っています。
この牝馬は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当する血脈を3本(モガモポイント、テンビー、その父Caerleon)持っています。
この傾向を持つ血は多く、有名どころではStorm Catやダンシングブレーヴなど、多くの血脈がこのカテゴリーに該当します。
そして、モーリスの血統においてはカーネギーの血が同様の血統傾向を持っているため、アメージングムーンの2019に関してはカーネギー≒テンビー≒Caerleon≒モガミポイントという関係が成り立ちます。
「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」を多く持つ馬には柔軟性に富んだ馬が多い印象を受けますが、これは本馬だけでなく兄のアメージングサンやノースブリッジにも見られる傾向です。
ちなみに、本馬の叔父ローレルゲレイロ(G1高松宮記念、G1スプリンターズS)はキングヘイロー産駒ですが、彼の2代父は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当するダンシングブレーヴです。
また、今年のG2京都新聞杯勝ち馬でG1日本ダービーで5着した当場生産馬のディープボンドも、父がStorm Cat持ちのキズナで、母方にはダンシングブレーヴやモガミポイントの血が入っています。
ローレルゲレイロやディープボンド、そして本馬のように
モガミヒメ の牝系出身の馬で「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」の影響を強く持つ馬は、総じて活躍傾向にあります。
本馬に興味のある方は、
当場HP からご連絡頂くか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入下さるようお願いいたします。(表示はされません)
当場から折り返し連絡させて頂きます。