『キングヘイロー×モガミヒメ牝系』の最終テーマは、この組み合わせから生まれた馬たちを紹介したいと思います。
ただ、一度に全馬を扱うと長くなる(前回のモガミヒメについても相当の長文で失礼しました)ので、数回に分けて書きます。
まずは、キングヘイロー×モガミヒメそのものの配合から生まれた馬たちにスポットを当てます。
現時点では、キタサンイナズマ(3勝、タケホープC)とゼフィランサス(3勝)の全きょうだいが勝ち上がっていますが、ここでは現在当場で繁殖牝馬として繋養しているゼフィランサスを取り上げます。
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ゼフィランサスは、やや小柄の馬体でありながら、幼少時より健康で骨格のしっかりした馬でした。
その体質を活かして2歳函館で早々にデビューし、新馬戦から2着が4回続くも、札幌の2歳未勝利戦(芝1200)で初勝利を挙げています。
500万下クラスでも2着するなど堅実な成績を残しながら、3歳時には芝1600の500万下を快勝。
ただ、1000万下クラスでは能力的な限界を見せ始め、500万下クラスに降級してからは再び善戦するも、勝ち切るには至りませんでした。
そこで、ダートでの走りを試した(500万下、ダ1800)ところ、終始先頭でレースを進めて最後は3馬身差をつけて快勝。
それでも1000万下クラスではダートでも限界が垣間見えたため、その後に引退しました。
ゼフィランサスの場合、彼女の配合段階ですでにローレルゲレイロ(当時3歳)が重賞路線で活躍していたこともあり、自然とキングヘイローにモガミヒメという配合に至っています。
キングヘイロー×モガミヒメ牝系という配合は、中央においても高い確率で勝ち上がってくれますが、個人的にはしっかりとした血統的根拠が存在すると考えています。
まず、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合では、キングヘイローの父ダンシングブレーヴと、モガミヒメの母モガミポイントによる相似クロスができます。
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いずれの血脈も父がNorthern Dancer系であり、母方にNearco/Prince Roseのニックスから成る血(Sir Gaylordとボールドラッド)を持ち、さらにはTom Foolを持つ点でも共通しています。
また、ゼフィランサスの2代母モガミポイントが持っていたMahmoudとPrincequilloのクロスは、母モガミヒメの代で一度プールされたものの、キングヘイローと配合したことでゼフィランサスの代では再びクロス強化される形になりました。
これは、キングヘイロー自身がMahmoud6*6×5*6とPrincequillo6×5*6を持っていることに起因します。
この2つのラインをクロスで持っているだけでモガミヒメと血統的相性が良いと見なせるところに、ダンシングブレーヴ≒モガミポイントのような相似クロスもできるわけです。
ただ、キングヘイロー×モガミヒメの血統的特長はこれだけではありません。
ゼフィランサスの代では、父キングヘイローが持っていたDrone≒Halo≒Sir Ivorの相似クロスが、母モガミヒメが持つCareless Notionやマルゼンスキーと組み合わせることで継続強化されました。
具体的には、Careless Notionとマルゼンスキーが持つNearcoやPharamond、あるいはBull Dog=Sir Gallahadといった血脈を、Drone≒Halo≒Sir Ivorたちも持っているという関係です。
元来は、キングヘイローの母グッバイヘイローが持っていたHalo≒Sir Ivorに端を発するパワフルな中距離スピードが、息子キングヘイローを経てゼフィランサスに受け継がれたと推察します。
さらに、ゼフィランサスの代で新たにできたクロスとして特長的なのが、キングヘイローの4代母Squanderとマルゼンスキーの母シルによる3/4同血クロスです。
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いずれの血脈も父がBuckpasserで母父がPrincequilloですが、一般に父と母父が同じ血脈は「3/4同血」と呼ばれます。
このような血脈を利用したクロスは、単純にそれ自体をクロス(例. Squander3×4など)よりも遺伝効果が大きいとする考え方があります。
配合手法の一つとして、単純なクロスよりも3/4同血クロスや相似クロスなど血統的近親クロスを活かした配合は、優れた競走馬を生産する有効な手法だと私も思います。
さて、『キングヘイロー×モガミヒメ牝系①』で触れたように、キングヘイロー産駒の中央勝ち馬には以下のような血統的特徴があります。
①産駒自身がNorthern Dancerクロスを持つ。
②産駒の母がNasrullahの血脈を持つ。
③産駒の母がNearco/Prince Roseのニックスから成る血脈を持つ。
以上の3つのうちのいずれか、もしくは複数に該当する血統パターンの産駒が多いのです。
ゼフィランサスの場合は、①についてはNorthern Dancerクロスを4×5で持っています。
②については、母モガミヒメがNasrullahを4*5×5で持ちます。
さらに③に当てはまる血脈として、母モガミヒメ内にはボールドラッドの存在があります。
つまり、モガミヒメはキングヘイロー産駒の3つの成功パターンすべてに当てはまる血統の持ち主なのです。
このように、キングヘイローとモガミヒメは血統的相性が非常に良い配合であり、その結果としてキタサンイナズマやゼフィランサスを送り出すことができました。
また、この配合の延長線上として、モガミヒメの娘であるビッグテンビー(父テンビー)にキングヘイローを配合して、G1馬ローレルゲレイロを生産しました。
正確には、このローレルゲレイロこそが、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合の第1号ということになります。
次回は、そのローレルゲレイロについて書こうと思います。
【関連記事】
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ①キングヘイロー
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ②モガミヒメ
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ③キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~ローレルゲレイロ編~
【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ③キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~スルターナ編~
ただ、一度に全馬を扱うと長くなる(前回のモガミヒメについても相当の長文で失礼しました)ので、数回に分けて書きます。
まずは、キングヘイロー×モガミヒメそのものの配合から生まれた馬たちにスポットを当てます。
現時点では、キタサンイナズマ(3勝、タケホープC)とゼフィランサス(3勝)の全きょうだいが勝ち上がっていますが、ここでは現在当場で繁殖牝馬として繋養しているゼフィランサスを取り上げます。

ゼフィランサスは、やや小柄の馬体でありながら、幼少時より健康で骨格のしっかりした馬でした。
その体質を活かして2歳函館で早々にデビューし、新馬戦から2着が4回続くも、札幌の2歳未勝利戦(芝1200)で初勝利を挙げています。
500万下クラスでも2着するなど堅実な成績を残しながら、3歳時には芝1600の500万下を快勝。
ただ、1000万下クラスでは能力的な限界を見せ始め、500万下クラスに降級してからは再び善戦するも、勝ち切るには至りませんでした。
そこで、ダートでの走りを試した(500万下、ダ1800)ところ、終始先頭でレースを進めて最後は3馬身差をつけて快勝。
それでも1000万下クラスではダートでも限界が垣間見えたため、その後に引退しました。
ゼフィランサスの場合、彼女の配合段階ですでにローレルゲレイロ(当時3歳)が重賞路線で活躍していたこともあり、自然とキングヘイローにモガミヒメという配合に至っています。
キングヘイロー×モガミヒメ牝系という配合は、中央においても高い確率で勝ち上がってくれますが、個人的にはしっかりとした血統的根拠が存在すると考えています。
まず、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合では、キングヘイローの父ダンシングブレーヴと、モガミヒメの母モガミポイントによる相似クロスができます。
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いずれの血脈も父がNorthern Dancer系であり、母方にNearco/Prince Roseのニックスから成る血(Sir Gaylordとボールドラッド)を持ち、さらにはTom Foolを持つ点でも共通しています。
また、ゼフィランサスの2代母モガミポイントが持っていたMahmoudとPrincequilloのクロスは、母モガミヒメの代で一度プールされたものの、キングヘイローと配合したことでゼフィランサスの代では再びクロス強化される形になりました。
これは、キングヘイロー自身がMahmoud6*6×5*6とPrincequillo6×5*6を持っていることに起因します。
この2つのラインをクロスで持っているだけでモガミヒメと血統的相性が良いと見なせるところに、ダンシングブレーヴ≒モガミポイントのような相似クロスもできるわけです。
ただ、キングヘイロー×モガミヒメの血統的特長はこれだけではありません。
ゼフィランサスの代では、父キングヘイローが持っていたDrone≒Halo≒Sir Ivorの相似クロスが、母モガミヒメが持つCareless Notionやマルゼンスキーと組み合わせることで継続強化されました。
具体的には、Careless Notionとマルゼンスキーが持つNearcoやPharamond、あるいはBull Dog=Sir Gallahadといった血脈を、Drone≒Halo≒Sir Ivorたちも持っているという関係です。
元来は、キングヘイローの母グッバイヘイローが持っていたHalo≒Sir Ivorに端を発するパワフルな中距離スピードが、息子キングヘイローを経てゼフィランサスに受け継がれたと推察します。
さらに、ゼフィランサスの代で新たにできたクロスとして特長的なのが、キングヘイローの4代母Squanderとマルゼンスキーの母シルによる3/4同血クロスです。
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いずれの血脈も父がBuckpasserで母父がPrincequilloですが、一般に父と母父が同じ血脈は「3/4同血」と呼ばれます。
このような血脈を利用したクロスは、単純にそれ自体をクロス(例. Squander3×4など)よりも遺伝効果が大きいとする考え方があります。
配合手法の一つとして、単純なクロスよりも3/4同血クロスや相似クロスなど血統的近親クロスを活かした配合は、優れた競走馬を生産する有効な手法だと私も思います。
さて、『キングヘイロー×モガミヒメ牝系①』で触れたように、キングヘイロー産駒の中央勝ち馬には以下のような血統的特徴があります。
①産駒自身がNorthern Dancerクロスを持つ。
②産駒の母がNasrullahの血脈を持つ。
③産駒の母がNearco/Prince Roseのニックスから成る血脈を持つ。
以上の3つのうちのいずれか、もしくは複数に該当する血統パターンの産駒が多いのです。
ゼフィランサスの場合は、①についてはNorthern Dancerクロスを4×5で持っています。
②については、母モガミヒメがNasrullahを4*5×5で持ちます。
さらに③に当てはまる血脈として、母モガミヒメ内にはボールドラッドの存在があります。
つまり、モガミヒメはキングヘイロー産駒の3つの成功パターンすべてに当てはまる血統の持ち主なのです。
このように、キングヘイローとモガミヒメは血統的相性が非常に良い配合であり、その結果としてキタサンイナズマやゼフィランサスを送り出すことができました。
また、この配合の延長線上として、モガミヒメの娘であるビッグテンビー(父テンビー)にキングヘイローを配合して、G1馬ローレルゲレイロを生産しました。
正確には、このローレルゲレイロこそが、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合の第1号ということになります。
次回は、そのローレルゲレイロについて書こうと思います。
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【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ③キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~スルターナ編~