天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

11/7 『永楽館大歌舞伎』昼の部

2010年11月08日 | 歌舞伎
昨日(11/7)兵庫県豊岡市出石の永楽館大歌舞伎、
昼の部に行ってきました。

永楽館には昨年見学に行ったことはあるのですが、

http://blog.goo.ne.jp/mushisan-yobiko/e/f906b0b65cd9fd621facc5c162e421bc

実際ここで歌舞伎を見るのは初めて。
演目は二つとも義太夫狂言だし、ひとつは口上、なんか地味やなあ。
席も2階で下手側、前のほう。
こんぴらで真ん中かぶりつきだったから、今回まあまあまあまあ…って。
思ってたんです。

初めてだったので、チラシの裏に書いてあった列車の通りに行きました。
行き:北近畿1号→八鹿→バス→出石営業所
帰り:バス→八鹿→きのさき10号→福知山→タンゴディスカバリー

大阪ではあまり良いお天気じゃなかったのですが、
福知山あたりで晴れてきました。

永楽館到着。



のぼりはチラホラ立ってるけど、なんか素朴な感じ。
ほんと住宅街にいきなり建ってるんですよねえ。

入り口は道路に面してなくて、ちょっと路地を入ったところ。
そこでちょっと並んで入りました。

お茶子さんから靴袋を受け取って…。

「わっ!(金丸座より)狭っ!」って言ってしまいました。
なんか定式幕がものすごく近くって、びっくり。

お弁当もチラシの裏にあったところへ
2000円のお弁当を予約してましたので、それを受け取ってから、

2階席へは入り口から右側にあるものすごく狭くて急な階段を上ります。

ひとりしか上り下りできません(~_~;)

そこを上ったら、2階正面席。

私は下手の前なので、段差がやたらあって傾いている板の間を
ずんずん前の方へ歩いていきました。

お座布団に席番が書いてあって、そこがスペースなのですが、ちいちゃい。
ちゃんと正座してやっと脚とお尻がのるくらい(~_~;)
お座布団のまわりには何も敷かれていないので、こりゃ足が痛そう(>_<)
って思ったのもつかの間でした。


11時開演。


1.近頃河原の達引(ちかごろはかわらのたてひき)
  堀川与次郎内の場 一幕

盲目の母親おぎんと息子猿回しの与次郎が貧しいながらも細々生活しているところに
娘の遊女お俊が恋仲の伝兵衛が自分を巡って侍を殺してしまったので
身を寄せている。
そこに心中を狙って伝兵衛が殺しにくるのではないかと
おぎんと与次郎は心配しているが…。

おぎんが近所の娘に三味線を教えるところから始まりました。
吉太朗くん、なんかさらにお芝居上手になってたような気がしました。
花道をひっこんでいくところ、むちゃくちゃかわいかったです(*^_^*)

そして、猿回しの愛之助さんが猿を肩にのせて花道から登場!


「ぎゃ~(≧∀≦)」


何かって、ものすごく近いんですよ。

目の前に頭が!お顔が!

手を伸ばせばカツラをすぽって取ってしまえそうなほど。

ちょうど、花道の横で立って観てるような距離。

また、お話よりこの近さにまず感動してしまいました(^_^;)

愛之助さんが出てくると、舞台はものすごくあたたかい雰囲気になりました。

ききききっと言ってるおサルさんをなだめたり、
おぎんさんがいろいろ言ってるのに着物のほこりを払ったり。

いや~、愛之助さんってこういうアホな役(いい意味ですよ)が
似合うなあって思いました。

そしてお待ちかねの遊女、吉弥さん登場。

縞のお着物に水色の帯。むちゃくちゃ色っぽかったです(*^_^*)

伝兵衛さんに会いたいの、離縁状も書いてあるからと安心させて、

さあ、寝ようとするところ。

愛之助さんは吉弥さんにはきれいなお布団を丁寧に敷くけれど、

自分は上着を腰に巻いて、お布団にぐるぐるぐるぐる…っと
のり巻きみたいに丸まって、ちゃんと木の枕に頭がちょんとのって。

愛之助さんの大いびきの中、花道から薪車さん登場。

うわぁ(≧∀≦)かっこいいよぉ!

気づいた愛之助さんは薪車さんを追い出そうとするが、
吉弥さんを外に出してしまう。

明かりがついた部屋には薪車さん。

「おいお前、妹をさらいに来たな、えっこら。」
「ほれ、離縁状じゃ、読んでみい、あら、一緒に心中するって?!」
みたいなやりとりだったと思うのですが、

戸口で座り込んだ吉弥さんが小さくちぢこまった黒子さんに
帯を結んでもらっていて、
それが目の前に見えるものですから、そればっかり観てしまって(^_^;)

通りで吉弥さん、横になる前に丁寧に帯をたたんではってんなあって。
普通だったら、黒子さんがさぁって持って行っちゃうじゃないですか。

あっという間に帯完了。

角だしのような結び方でした。

すごいなあ。ほんとすごいなあ。

中に入ったお俊、伝兵衛も自害しようとするが、おぎんと与次郎に止められて、
それなら、祝言しましょということになり…。

二匹のおサルさんが愛之助さんの唄いとともに踊りだしました。

素朴なおサルさんでかわいいんです(*^_^*)

お弁当箱にご飯をつめているとほしがったり、杯を持ったり。

愛之助さんのよく響く唄と、おサルさん。

黒の正装のお俊と伝兵衛。

二人を見送るおぎんと与次郎。

二人は多分心中しちゃうのかな、どっかへ逃げるのかな、
とか考えてしまいました。

ものすごく見所たっぷりのお芝居だったと思うのですが、
おサルさんの操り人形と
吉弥さんの戸口の帯結びがあまりにも強烈な印象だったものですから、
見逃してしまったところが多いと思います(ToT)猛省

もう一回復習したいなあ。


幕間30分。


席でお弁当をいただきました。



それから、お手洗いへ。

下手側に隣接されたお手洗い。数が少ないのでずらずらずら~。

お茶子さんが「次の口上は20分、その後20分幕間ですから、
我慢できる方は後にもご利用下さい。」なんて。

なんか素朴だったなあ。


2.お目見得 口上

幕が開くと、

吉弥、薪車、愛之助、壱太郎、竹三郎 

の並び舞台に座られていました。

愛之助さん
今年で3回目となる永楽館大歌舞伎、ありがとうございます。
のようなお礼から始まって、
いつも出石で壱太郎さんのお誕生日を迎えるのですが
今年は11月と紅葉の季節で、とか
1回目と2回目は日本でいちばん暑いのは豊岡市で大変だったとか
去年はお蕎麦が食べられなかったから、今年は稽古の前に食べたとか、
1回目のお練りにバスで来たときは誰もいなくて、
お練が始まるとどこからか人が集まってきたとか
今年は出石で渋滞が!と思ったらお城まつりだったんですね、
とかひたすら笑いをとった(?)あと、
今回の演目のお話、猿回しの役は我當さんに丁寧に教えていただき感謝しているとか
吉野山は振り付けの方にたのんで義太夫では出てこない
逸見藤太が出てくるようにしていただいたとか
スッポンや、他にない演出でお楽しみいただきます、
などお話されてました。

竹三郎さん
ずっと出たいと思っていました。愛之助さんより二つだけ年上の私が
母親役をつとめさせていただきました。
など、おもしろくてあたたかいご挨拶でした。

吉弥さん
今回初めて出演させていただいて嬉しいとか、
そのとき吉弥さんカミカミでむちゃくちゃ笑ってしまいました。
一門でお蕎麦を食べて「愛之助さんですか?」ときかれて「そうです。」と
答えて、50皿いただきました。
「愛之助さんありがとうございます。」とおじぎ。
「そして本題に入りまして。」また大笑い。
13世仁左衛門さんがやられたとき、吉弥さんは猿を操られていたそうです。
天井から猿を操りながら、感動されてたとか。
女形の格好なのに、全く素の声で話されてました(^_^)

薪車さん
逸見藤太の大役をいただきましてありがとうございます。
のようなご挨拶だったのですが失念しました。
ただ、薪車さんの口上が始まるとすぐに、他のみなさん
「くくくくくくっ…。」とうつむきながら肩がゆれてるんですよ。
もう、お箸がころんでもおかしい状態だったようで(^^♪

壱太郎さん
1幕目は出演していないので、朝喫茶店に入ったのですが、
出石では「あいてますか?」が挨拶で、と笑いをまたとられてました。
喫茶店で台本をよんでいたら、「歌舞伎の方ですか。」ときかれましたと、
「役者ではなく脚本家と思われていたようで、いいえ違いますと答えました。」とか
「今は男ですが、20分の休憩の後は女に変身します。
楽しみにしてください。」と挨拶されてました。
てっきり女形の格好で挨拶されるのかと思いきや、ちがいました。
それから一人称が「ボク」だったんです。いや~かわいい(*^_^*)

愛之助さん
「長らくのご清聴ありがとうございました。」とまた大笑い。
そして、かっこいい口上で締められました。

約20分間、口上というより、トークショーでしたね。
皆さん、素で話されてましたから。
なんでお芝居とちがうねん!と思ってましたが、ごめんなさい<(_ _)>
むちゃくちゃ楽しませていただきました。


幕間20分。


3.義経千本桜 道行初音旅

今日の大本命、愛之助さんの忠信狐と壱太郎さんの静御前ですヽ(^o^)丿

「ほぉ~~、ほけきょっ」
とうぐいすの笛の音がなって。

舞台は桜がいっぱい。
奥に竹本さんがいらっしゃいました。

義太夫の踊りって、去年見た六歌仙以来(多分)。
太棹の音色って迫力ありますねえ。と聞き惚れていると、
花道から静御前登場。私のまん前で一旦立ち止まって、
ひょ~、うしろ姿も美しい。

衣文の抜き具合が色っぽいなあとか、真っ赤なお着物の刺繍が綺麗。
カツラ重たいだろうなあ、頭の鼓みたいな飾り綺麗。

なんて思っているうちに、舞台へ移動されて、
むちゃくちゃ綺麗な踊りでした。
なんか頬がほっそりして、大人のオンナっぽくなってました。

鼓をポンっ、ポンっ、ポンっとたたくと…

スッポンから忠信登場!

だったのですが、残り10センチくらいのところでひっかかってしまい
10秒ぐらいそのまんまだったんです。
でも動じられず、何ごともなく進みました。(←当然ですね)

実は、静御前が鼓を打つ前からスッポンがひゅーっと
へっこんでいくのが見えたんです。
だって、目の前ですからね。
花横の方と私たち2階席の一部の方たちはいつ忠信が出てくるのか夢中でした。
そして、ひょいっと愛之助さんがスッポンに乗られるのが見えて、
どっこいしょ、よっこらしょと上がっていきました。
なんか四角がいがんでるなあって思ってたら、やっぱりひっかかりました。
なんか、機械より味があっていいなあって思いました。

そんなこんなでスッポンから登場した忠信。
客席に向かって見得を切って(いたはず)、そのまま舞台へと思ったら、
七三でゆっくりぐるぐるっと回る振り付けがありました。

ラブリンがラブリンが、私を見つめてくださいました(←1000%思い込み)
もう、ラブリンの目に吸い込まれそうな気分というか、何と言うか、
一生あなたについていきますという気分というか。

何せ、ほんとに目があったんだから(←思い込みだってば)。
この席の方は毎回私のような幸せな気分になられていると思います。

そして、2人が舞台に揃って舞われました。
まったくもう、お人形さんのようで、なんとも形容しがたい美しさ。
特に、扇を使って同じ振りをするところ、
とろとろにとろけそうになりました。

そして忠信は、着物を脱いで、浅葱色に金の扇の刺繍の襦袢。
紺色?藍色?のお着物に綺麗なコントラストですわ。

扇は金色に赤っぽい模様がついていました。

何やらここらあたりはお家によっていろいろあるらしいです。

あともうひとつ、カツラも違うらしく、鬢が3本でした。

美しさを堪能していたら、花道からぞろぞろと花四天さん6人と
薪車さんの逸見藤太登場。
さっきのかっこよさと違い、なんともコミカルなヽ(^o^)丿

いや、この道じゃないぞ、いやここだ、と花四天さんの間を行ったりきたり。
花四天さんにそれならわしらについて来いといわれて、
(台詞が6人ぴたっと揃ってました。スゴイ)
はいはいと逸見藤太、いや違うわしについて来いとぞろぞろと舞台へ。

「やれ、静に忠信みつけたぞ。」みたいな藤太の台詞の後、

「星、満々たりといえども月の光に勝つこと叶わず。
ならば手柄にからめてみろ。」と忠信。
ひょ~、かっこいいですぅヽ(^o^)丿

狐の妖術で、花四天にやられる藤太。

そのとき愛之助さんは下手側を向かれているので、
お顔が見えてよかったです。

「ふふふふんっ」って感じのちょっと得意げなお顔がまた良かったです。

忠信に脚を置かれると、なんかへんてこりんな目と口に。

ピエロさんみたいに去っていかれました。

そして、お待ちかねのぶっかえり。
白地に火の玉の模様のあの有名なお衣装。

鮮やかな立ち回りでした。

花道での見得はほんとにもう、私のほうに切ってるの?ぐらいな近さで、
かっこいいったらありゃしない。

そっかえってる花四天さんお2人、すごかった。
私の席は花道の真上。そっかえってる花四天さんのお顔が見えました。
いつもなら、横顔しか見えないのですが、なんか歯を食いしばって
「ううううううう」って。
大変なことなんだなあと改めて実感しました。

そして、狐六方で引っ込み。
花道短いからあっという間でしたけど、それだけ迫力満点でした。


14時40分ごろ終演。


冒頭に書いたとおり、ほんと期待してなかったんです。ごめんなさいですm(__)m

金丸座でもこれ以上いい席は巡ってこないと思いましたが、
今回もすごかった。

ある意味かぶりつきより、お顔が近いんですもの。

ああ、すごかった。


■□■

幕が上手から開いて、下手から閉まっていくんです。

黒御簾が上手にあったんです。

ツケ打ちさんが下手の花道の側にいてはったんです。

吉野山、竹本さんからいつの間にか代わられて、
長唄さんか常磐津さん(ああ、わからない(>_<))が
黒御簾から演奏されてたみたいなんです。

静御前のお衣装が外も内も真っ赤だったんです。
番附けの絵と違います。

なんでなんで?

どなたかこっそり教えてください<(_ _)>

■□■


愛之助さんが口上で言われたように、
この先10年、20年、50年と永楽館大歌舞伎が続いていけばいいなあ。

今年最後の歌舞伎観劇がこの永楽館で良かったです(^^♪

来年も楽しく歌舞伎三昧ができればなって思います(^○^)

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2 コメント

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上方式 (RAN)
2010-11-21 14:55:04
以前、秀太郎さんが口上で
黒御簾が上手にあり上手から
下手に幕が閉まっていくのが
本来上方式だとかいうのを
おっしゃっていたような気がします

普通の歌舞伎での公演は
お江戸式らしいです(~_~)

歌舞伎はほんと奥が深いです

それから今年は永楽館にいけなかった
からレポとてもたのしめました
ありがとうございます♪
返信する
なるほど、ありがとうございます。 (むく)
2010-11-21 22:07:01
やっぱり、上手と下手が逆なのは上方式なんですね。
ありがとうございます。すっきりしました。

まとまりのないレポ、いつもお読みいただきありがとうございました。
返信する

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