再び溢れてきた涙をチリ紙でぬぐいながら、ペッピーは思った。
(卑怯なのは、ワシのほうだ。ここでこうして待っていても、また飛べるようになるきっかけが向こうからやってくるはずはないのに。世界に出てゆくきっかけは、自分が切り込んで作るよりほかないことくらい、知っていたのに、ワシは何もできなかった。ビビアンに、フォックス。自分が守っていると思っていた者たちに助けられなければ、動くこともできなかった。感謝するよ。本当に)
「フォックス」
ペッピーは顔を上げ、涙に濡れた瞳でフォックスを見た。
「あ……ありがとう」
上ずった声でそれだけ言うのが精一杯だった。
「いいんだ。礼なんか」
照れくさそうに視線を泳がせる。
「ペッピー、改めて聞くけど……俺たちを助けてくれるかい? スターフォックスの一員として」
「ああ。喜んで、そうさせてもらうよ」
「そうだ。そうとなれば、ドックで眠っているグレートフォックスと、ナウスのやつも起こしてやらなくては」
「グレートフォックスか。言われてみれば、忘れていたよ」
「ああ。ベノム行きは極秘の作戦だったからな。あの母艦で乗り込むというわけにはいかなかったんだ。80年ローンも片付けなきゃならんし、忙しくなるぞ」
「ちょっと待て。……今、なんて言った?」