俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

「ファルコとの出会い」その30

2010年03月03日 11時40分14秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「だって、そうじゃろう。ジェームズは死に、ピグマは裏切りおった。残ったワシはこの有様だ。とても、遊撃隊はつづけられん」
「俺が続けるさ」
「なに?」
「父さんの跡を、俺が引き継ぐ。俺がスターフォックスのリーダーになるよ」
「無茶を言うな。たった一人でこなせるほど、遊撃隊の任務は甘くない」
「一人じゃないさ……もう一人、アテがある。アカデミーの同期で、スリッピーっていうやつだけどね」
「それでも、たったふたりだ。実戦の経験もない二人が集まったところで、何ができる?」
「もちろん、俺たちだけじゃ無理だ。ペッピー、君が助けてくれなければね」
「やめろ、フォックス。どだい無理な話だ。ワシはやらない。……やらないぞ」

「……それじゃあ、ペッピーは、ずっとこのベッドの上にいるつもりなのか? もう二度と、空へは戻らないのかい?」
「……」
「命の使い道を見失ったと言ったよな。なぜ生き残ったのかわからないと。それなら、俺たちを助けるために生き残ったと思ってくれないか。ペッピーの命を、スターフォックスのために使ってくれ」
「……やめてくれ」
 弱弱しく声を絞り出すと、ペッピーは天を仰いだ。
「やめてくれ……もう、ワシを苦しめないでくれ」
「苦しいのか、ペッピー。でも君を苦しめているのは俺じゃない。君の中にある恐れだ」
 ペッピーの横顔が、ハッとしたようにこわばった。そのヒゲが細かく震えている。
「ペッピー、君は、俺が死ぬのが怖いんだ。自分がスターフォックスに戻れば、また仲間の死に立ち会わなくてはいけなくなるかもしれない。その時に自分が何もできなかったらと思うと、怖くて飛び立てないんだ。そうだろう?」

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