立川です。
ナジャハウスにオーダーにいらっしゃる方は本当に衣装に対する想いが強い方が多く、仕立て上がるまで気を抜くことが許されません。
そして1着仕上げるまでにはいろんなストーリーが、作った衣装の数だけあります
その中で今回は成長著しい<田中菜穂子さん>をご紹介しましょう
約6年前に初めてナジャハウスで1着作り、
なんといきなり新人公演で奨励賞を取ったラッキーガールです
(もちろん実力もあってのことです)
彼女は毎回自分なりにいろんなチャレンジをして、確実にステップアップしています。
菜穂子さんとの衣装作りのプロセスは、次のように始まります。
(約3~4年前に注文くださった衣装ですが、けっこう印象に残っています。)
彼女は毎回その時々の踊りに対する構想や自分の感情、イメージを長い時間をかけてよどみなく語ってくれます。
その間私はじっと話を聞きながら、今回彼女は何を欲しているんだろうと私の頭の中のキャンパスにあれこれ描いていきます。
その当時、彼女が欲していたのは自分が小学生のおてんば娘だった頃のイメージの衣装を作りたいという抽象的なものでした。
いつも快活に走りまわって、幼く何の制限もない自由な発想で思い切り遊んでいた、
あの頃の楽しい気持ちをアレグリアスで表現してみたいとのことでした。
う~~~んどうしよう?彼女の言葉通りの衣装を作ったら、本当にブリブリで幼い衣装になっちゃう・・・・
彼女のスレンダーな体型を活かしつつ、可愛らしさと快活で自由な動きを出すにはどうしたらいいんだろう???
まずは、生地を何種類かピックアップして彼女に見せると、
普通では絶対選ばないようなプリント柄が気になって仕方がないようでした。
その生地は軽くてピンクの小花柄、まるで田んぼ一面に咲き誇るレンゲ草のようでした
私が小学生の頃、田舎にはこのようなレンゲ畑がたくさんあって、私はよくその花の中に寝ころんで、
レンゲ草の蜜の香りを嗅ぎながら、真っ青な空を眺めていました。
そんな私自身の少女時代の体験と菜穂子さんの少女時代の体験が妙にシンクロしたのか
私の中ではそのピンクの花柄プリントが彼女の少女時代を表現するにはぴったりに思えたのです
しかし、彼女はその場では決められず、家に持ち帰り、師匠にお伺いを立ててみたり、
自分であれこれ考えて、でも最終的には私の一押しプリントを選びました。
私はその時点で、よっしゃこれで上手くいくという確信を得ました
ピンクの花柄だけだと甘くなりすぎるので、やや濃い紫ピンクを配色に入れることで
彼女の野性味のある強さとバランスが取れてきました。
また、快活さと自由奔放なイメージを出すために、たっぷりスカートを動かせてフリルも斜めにダイナミックに付けてみました。
仮縫いの時に着てみるとなんだかくすぐったいような気分になったようで、
さすがにもう少しだけ大人の部分を感じさせたいとの希望で、肩をすっきり出し、背中も大きく開けました。
出来上がるとすーっと少女時代の菜穂子さんが呼び起こされ、同時に現在の彼女の魅力も引き出され、
可愛らしさとやんちゃ、そして少し大人になった彼女の何ともいえない色っぽさも少しだけ表現され、なんともチャーミングな衣装になりました
彼女の師匠はぴったりと自分のためにあつらえた衣装がいかに踊りを引き立ててくれるかを生徒さんたちに伝えています
菜穂子さんは独立した今でもその言葉を忘れず、どんなにお金がなくても衣装や他にも踊りで必要なものには妥協をしない
そのプロ根性には私も刺激を受けてしまいます
私が飽きずに長い間続けてこれたのは、毎回毎回いろんなテーマを私に投げかけてくれるお客様がいるからです。
時には身を削るような思いをすることもありますが、お客様が希望する、世界にたった1着の衣装が出来上がったときのドキドキ感はたまりません
少しでもバランスが欠けていたり、どこか着にくかったりしたら、敗北です。
敗者復活をかけて何としてでも修復して、お客様を幸せな気持ちにしてさしあげる・・・・それが私の使命であり、幸せなんだと思います
今は衣装もネットでも安く手に入れられるし、吊るしの見た目に可愛らしい衣装屋もたくさんあります。
しかし、本当にぴったりと似合っている衣装に出逢うのはほぼ不可能だと思います。
やはりどこか妥協しなくてはいけません
初心者の人たちは、何となく着れていれば、それでいいのかもしれませんが、
晴れの舞台をソロで踊る人は自分にとって究極の衣装を仕立てることは、自分の成長にもつながる大切なプロセスだと思います。
衣装は自分を表現するためのとても重要な小道具なんです
<田中菜穂子さんのコメント>
立川さんのところの衣装のおかげで、自分の想いを踊りに表現することが出来て、
2009年(平成20年度)河上鈴子スペイン新人舞踊賞を受賞出来ました。
立川さんも書いて下さっているように、私にとって衣装は飾りではなくて、
劇場や舞台の磁場に負けないパワーをくれる頼もしい武器であり、踊りに表現したいテーマ、そのものでもあります。
立川さんでなければ、この衣装は生み出せなかったと声を大にして言いたい、大事な大事な衣装ですので、
立川さんとの真剣勝負の共同作業(?)が、自己満足ではなく、踊りを見て下さった方々にも伝わり、
受賞につながったことが、今でも本当に嬉しいです。
踊りの話が、いつしか人生相談になりましたことも多々。
衣装を通して踊りを、舞台を、そして人生を学ばせて下さる私の衣装のマエストラ立川さん、
まだまだ至らぬ未熟者ですが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。
≪田中菜穂子さんのプロフィール≫
“2000年、大学のサークルにて、フラメンコを始める。
柴田元子、加藤美香に師事。
アルバフラメンコ舞踊団に所属し、舞踊団員・講師を務める。
2006年、第15回フラメンコ・ルネサンス21新人公演奨励賞受賞。
2009年、平成20年度河上鈴子スペイン新人舞踊賞受賞。
現在、フリーで活動。11月の初ソロリサイタルに向け、日々奮闘中。”
※前回の【オーダーメイド物語】をこちらからご覧いただけます※
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