おはようございます。
毎日いろいろありすぎですね。
次回は宙虫さんがお当番です。
兼題:乱
夏の夜や投打乱れぬ二刀流 泉
◯(餡子)良いねえ、大谷君。と、ミーハーになっているおばちゃんです。
◯(瑠璃)二刀流でも乱れない。和太鼓の演奏ですかね。力強いバチさばきが想像できます。
助六の祭太鼓や乱れ打ち 幹夫
河童忌や乱読の本崩れ落つ ルカ
〇 (多実生) 蜘蛛の糸を読んだ記憶は昔。掲句の様に本は読みたいものです。
○(春生)季語「河童忌」が生きています。こういう時代もありました。
○(ちせい)季語は「河童忌」。芥川龍之介の忌日に乱読の本が崩れ。結構いいと思いました。
◯(あちゃこ)乱れ感がすごい。
(選外)(道人)未整理の一部屋ほどの本の山が崩れた。そのまま積み直そう。河童忌らしい。
風光る刀剣乱舞の魔をはらう 藤三彩
乱暴なレタスのかけらタイ屋台 瑠璃
〇(珠子)中七にはびっくりしましたが、日本ではありえない屋台の乱暴さがストレートに伝わってきます。
○(泉)タイの屋台は、この様なものかな?と思いました。
○(アネモネ)いかにもタイ屋台らしい景。
駅前の夕焼け乱す救急車 宙虫
○(春生)駅前に何が起きたのか、気になります。
乱れたる夢を諫めの仏法僧 敏
〇(宙虫)のどかな空気感がいい。
(選外)(道人)いかにも仏法僧らしい。
フォアエラー乱戦初夏の草野球 多実生
(選外)(ちせい)季語は「初夏」。厳密に言えばフォアエラーズなのでしょうが、そういう観点ではなくて座5の「草野球」が説明みたいで(選外)としました。
乱鶯をこだまに返し琵琶湖水 瞳人
○(敏)「乱鶯」は造語のような気がしますが、沢山の鶯の乱れ飛ぶさまと解すれば良く判ります。その声が広々とした琵琶湖に反射しているということでしょう。
〇(藤三彩)琵琶湖疎水が南禅寺界隈の別荘地を造営させたのだとか。御維新以来のんびりしている。
風薫る氾濫しさうな川は無し ちせい
内乱に怯ゆる子の目青葉騒 アゼリア
〇(仙翁)エルサレムの争い、子供が犠牲になっています。
〇(珠子)テレビや新聞を通した間接経験の俳句ですが、悲惨な内乱に怯える子どもを表現せずにはいられない気持ちには共感します。
◯(道人)シリアか南スーダンか...世界の暗部よく見える句です。季語「青葉騒」が動くかも。
〇(藤三彩)シリアからISが消え、イスラエルvsイランの構図が一段と鮮明に。五月はラマダン休戦か
○(幹夫)季語「青葉騒」の選択に共感です。
○(アネモネ)哀しいけれど措辞が的確に世界世相を反映しています。
○(ちせい)季語は「青葉騒」。内乱罪は現行刑法では適用された例がないそうですが、自由民権運動時代などには適用例があるそうです。子の視点に立った句。
○(まきえっと)生まれてきたことが喜びになる世界になるとよいですね。
蟻の列乱れる午後の城下町 餡子
◯(アゼリア)蟻も午後になると注意力が散漫になるのでしょうか?それとも何か餌でも見つけたのでしょうか?
◯(瑠璃)とある午後。とある城下町に蟻が列を作っていた。蟻が沢山いる風景が目に浮かびます。
○(泉)「乱れる」のだろうと、何となく納得しました。
○(アネモネ)「午後の城下町」が面白いと思いました。
◯(吾郎)なんか大名行列っぽい、下にぃ~下に(笑)
廃屋に乱れる雨や夏の草 仙翁
◯(あちゃこ)雨が様々な音を奏でている。家の歴史を語っている。
乱数に決まる先頭蟻の列 珠子
田植機の揺れに乱れて苗の列 アネモネ
◯(ルカ)今にも溢れそうな苗が浮かんできました。
〇(多実生)手植えの頃は曲がると糸釣りの責任でした。
◎(餡子)今植えたばかりの苗の繊細さをよく見ていらっしゃいます。稲作経験者?私はそよ風にも靡く植田の景が好きです。
◯(瑠璃)田植機が揺れてつい苗の列が乱れてしまったのですね。田んぼはがだがたしていますもんね。リアリティがあります。
○(泉)田植機でも苗の列は乱れるのでしょう。なるほど、と思いました。
◎(まきえっと)収穫まで曲がっているんですよね。皆で笑いあえたり、幸せな時間に感じます。
産卵は夏間瑣末な反乱さ 吾郎
〇(珠子)魚?にとって産卵はもう瑣末な反乱のようなもんさ!確かにそう思わないとあの小さな体で何百何千の卵を産めない。その後に責任とれないし。
〇(宙虫)瑣末という単語、久しぶりに見た。夏に産卵をする生き物、きっと人間社会に想いを持っているのかな?
〇(藤三彩)ホテイアオイにメダカの卵が付いたものを道の駅で買ってきたのだが、孵化せず。楊貴妃やブラック黄金光といったブランド名に負けた
遠足の列の乱れる水溜まり まきえっと
○(敏)先だって一句と同じ光景に出会ったばかりですので、大いに実感しました。私の見たのは幼稚園児たちの列でした。
◎(幹夫)遠足の子供達の景がリズム佳く詠まれており微笑ましい光景です。
◯(瑠璃)水溜りを避けて通っている様子が分かります。そうするとつい遠足の列がそこだけ乱れる。ワーワーきゃーきゃー賑やかなんでしょうねと想像が膨らみます。
○(泉)「見える庭」という表現に、妙に納得しました。
○(春生)十薬って、どこにでも伸びて、繁茂しますから。
夏祭りこのひととせを乱打せり 道人
〇(珠子)もともとは、豊穣への感謝と祈りというより、この一年よく生きのびてこられたと、無礼講で踊りまくる・鉦や太鼓を打ちまくる・騒ぎまくるのが本音の祭ったのでしょうから。「このひととせを乱打」がいいです。
◯(あちゃこ)一年に一度切り。乱打したい。
乱取りの声風になる花菖蒲 あちゃこ
◯(ルカ)どこかの武道場か体育館の裏手。声が風になって聞こえてきそうです。
◎(アゼリア)『乱取り』という言葉初めて知りました。爽やかな佳句で花菖蒲の季語が効いていると思います。
〇(珠子)乱取りの激しい声が風にのって来るのでしょう。
〇(宙虫)風から花しょうぶへと、白黒の世界から青や紫の色の世界へ広がる世界観がいい。
○(まきえっと)季語がいいですね。骨太な立派な大人に育ってほしい。
テーマ:荒れる
十薬や荒れ放題に見える庭 まきえっと
〇(多実生)十薬の殖え方はしぶとく、手に匂いを付けながら抜くしか有りません。
○(幹夫)とにかく根強い十薬ですね。景に納得です。
○(アネモネ)ほんとほんと。ご近所の景がまさにそうです。
◯(吾郎)それはもうドクダミの哀しさ。
夏嵐荒ぶる神の旅の跡 仙翁
一点を見つめるこども青あらし ルカ
◎(アネモネ)上手い!季語の「青あらし」がなかなかです。
○(まきえっと)願わずにはいられない。
(選外)(道人)子供の視点は大人の及ぶところでない。青嵐の中見つめているものは何だろう。
卯の花腐し吹けば音して呼子笛 アネモネ
夏の山野獣の住処広がりぬ 多実生
◯(あちゃこ)獣達も異常気象の被害者?
荒れるだけ荒れて自ら浮いて来い アゼリア
○(春生)浮きてくるまでの、瞬時への期待感が見事に詠われています。
飼い猫の荒ぶる爪に鍋つかみ 瑠璃
青嵐揃わぬ靴下探しいる 藤三彩
◯(餡子)洗濯物を干すときに、靴下の片っ方が見つからないときがあります。シーツを干そうとしたら中から丸まった靴下が出てきたりします。
◎(宙虫)靴下は案外みんな気になるものですね。急いでいるときは焦ります。
○(泉)この様な経験ありますね。焦ります。
○(ちせい)季語は「青嵐」。どこかユーモラスな感じ。揃わぬと言うフレーズ。
青き薔薇泡立つものを懐に あちゃこ
◯(ルカ)ぞわぞわした気持ちが、面白く表現されています。
〇(仙翁)青いバラは、珍しいようですね。泡立つがおもしろい。
窓割れた中学校に若葉かな 泉
〇(瞳人)それが救いという感じですね
鯛荒煮新牛蒡の香サ受ケテクレ 瞳人
大臣の粗き言の葉水中花 珠子
◯(アゼリア)庶民感覚とずれがありますよね。水中花の季語が効いていると思います。
◯(餡子)本当にそう思います。一体あの人の人間性って!!!
荒梅雨やアシカの騒ぐ水族館 幹夫
○(敏)私にはアシカとアザラシの違いがよく判らないのですが、イメージとしては、岩などの上にべたーっと寝そべっているのがアシカで、それが屋外に荒れる雨足の気配を、動物本能で感知して騒いでいると解してみました。
◯(瑠璃)水族館のアシカのショーは楽しいですね。アシカのいる水槽?プール?は屋外で雨が入り込むのでしょうか。アシカもそれに影響を受け、プールの波も荒くなり、騒がしい様子が感じられます。
◯(吾郎)ストレートな感じ、好きです。で、何があったんだろ…
薄暑光神のお告げに荒れ増さる ちせい
風荒きみづうみ遠し青蘆野 道人
片蔭に庇う相場か逃げ方か 吾郎
◎(泉)買うか逃げるか、相場の難しい所です。見事な回文ですね。
母の日や何より荒れし手の記憶 敏
〇(瞳人)母であり、妻であり、感謝しています
◎(多実生)子供は母の手を良く見ています。
○(幹夫)亡き母への愛しき記憶。
○(ちせい)季語は「母の日」。母の手に感謝。そして季感もありました。
(選外)(道人)働き者で頑張り屋のお母さん像が、よく伝わって来る。やや付き過ぎの感がしないてもない。
忘れずに咲く花桐や村荒れて 餡子
○(敏)自然のいとなみは、人の世がどうなろうと全く関係なく摂理のままに推移していくことでしょう。荒れた村からいなくなった人々のことを桐は忘れていない、そんな想いも一句には揺曳しているような気もします。
〇(仙翁)村は、人が減り寂しくなっても、花は季節を違えません。
◯(アゼリア)忘れずに咲いてくれる花にいつも励まされています。共感の句です。
〇(多実生)過疎の村の廃屋でも花木は健在です。
◎(道人)桐の花は山間の村が似合う。日本の村の過疎化は如何ともし難い。
◯(あちゃこ)素直に胸を満たす句です。
◯(吾郎)いや、本当に植物は強いです。文明なんて、もうケッ!ってもんです。
夕凪の銀座こわれる消防車 宙虫
雑詠
迫り来る原爆ドーム街薄暑 泉
〇(多実生)原爆ドームは酷暑を連想する齢です。
〇(藤三彩)38年前の広島カープが日本一・三連勝の時代。平和大通りの原爆ドームの前でスピード違反の初切符を切られた。痛い思い出。
○(春生)広島の薄暑のころの気分が出ています。
白百合は地震監視時針揺らし 吾郎
○(ルカ)白百合と地震計と取り合わせがユニーク。
◯(道人)白百合の微妙な揺れが眼目。地震計の針も動いたような錯覚。風が少し吹いていそう。繊細な回文句。
○(まきえっと)百合の花粉が零れそうですね。匂いも。すべてが繊細。
尿放つ勢ひ遥けし五月空 瞳人
踏切からレールが消える桐の花 宙虫
◯(アゼリア)リニアのことでしょうか? それともミステリー?
◯(餡子)高架にでもなったのかなと思いましたが、桐の花ですから、もっとローカルなんでしょうね。廃線によるのでしょう。
◎(ちせい)季語は「桐の花」。リニアでしょうか。いろいろと想像力を掻き立てられました。
ポップコーン最後尾には蟻並ぶ 瑠璃
草笛の草の匂いの音となる 珠子
○(敏)「草の匂いの音」という表現に惹かれましたが、どのような音なのか具体的に感知することはできませんでした。でも、心に残る作品です。
○(幹夫)相当手足れの草笛奏者と見ました。
◎(春生)中七「草の匂いの」が音となると捉える感性がすばらしい。
◯(吾郎)何か昭和の夏休みチック
夏めくやテレビカードの残度数 餡子
◯(ルカ)逆説的ですが、実感があります。
〇(瞳人)長くなりましたけど、もう、退院です
◎(藤三彩)ビジネスホテルでは使い捨てなので病院のテレカと見た。頂いて他の病院で試したがシステムがちがい使用不可だった。残念。
聖五月死鳥が羽ばたく漫画かな ちせい
人悲します恋せし友とソーダ水 アゼリア
◯(道人)ソーダ水が佳い。真砂女の恋ほど一途ではなさそう。
◯(餡子)「人悲します恋をした」のは「眞砂女」ですが、このかたの御友達も そうなんですね。良いとも悪いともいえませんね。
〇(宙虫)当事者でなければ、その恋の真実はわからないもの。ソーダ水がふたりの友人度合いを見せる。アルコールとは違う。
(選外)(藤三彩)「羅や人悲します恋をして」鈴木真砂女の銀座裏のお店に行っていた頃、ルージュを引いた真砂女は妖艶だった。
捨苗の寄り固まって日に向かう 敏
〇(瞳人)生きるもの、すべて日に向かう、ということですね
○(アネモネ)田んぼの水口あたりがそうですよね。
◎(あちゃこ)よく見る光景なのに句に出来なかった。なるほど!上手い表現!
此処で良し冥土の土産げんげ畑 仙翁
◯(道人)げんげ畑に寝転がってそのまま冥土に行ければ、良いでしょうね!
黒猫と緑雨の一日夕餃子 藤三彩
〇(宙虫)なぜか黒猫の存在でこの句が気に入る。
千年の孤独五月の心柱 あちゃこ
◎(敏)心柱といえば、発掘によって姿を現わした出雲の幻の高楼のそれを想い浮かべます。まさに千年ものあいだ地中に孤独をかこっていた心柱の一部が、万物の命が高揚する五月の日を浴びて姿を現わした瞬間のようです。
〇(仙翁)何処の寺院でしょうか、いいですね。
〇(瞳人)ぐっと焼酎を飲んで、孤独に耐え一本筋を通し、それが男と…
行止る母の記憶やカーネーション 幹夫
見付ければ黒穂は抜いて麦の笛 多実生
◎(瞳人)おお、懐かしい、あのころを思い出させてもらいました。吹いたメロディはひばり唄
〇(藤三彩)リアリティがあるのだが、「麦笛」を私は知らない。
○(ちせい)季語は「麦の笛」。何らかの美観、あるいは何となく、などから句心も感じられました。
夏安居の雲雀夕日に瞑想す 道人
◎(仙翁)雲雀が瞑想しますか、面白いですね。
また風の扉を探す黒揚羽 ルカ
〇(仙翁)蝶は、風の扉を探しているのですね、面白い。
◎(珠子)柚子と金柑の木に毎日のように揚羽蝶がやってきます。風の扉があるのでしょう。「また」がやや気になりますが。
◯(道人)げんげ畑に寝転がってそのまま冥土に行ければ、良いでしょうね!
○(幹夫)風の扉がいいですね。
◎(瑠璃)風の切れ目から抜け出そうとしている黒揚羽。風の扉が効いています。
○(まきえっと)「風の扉」ってすごいですね。
◎(吾郎)詩人ですなぁ…
不揃いの石垣の石夏燕 まきえっと
◯(アゼリア)鳥はカルシュウムの補給に石垣の石を啄ばむとか。
オキシフルの泡のひと吹き聖五月 アネモネ
◎(ルカ)オキシフルの泡の微妙な切なさ。季語は冒険だと思いますが、面白いと思いました。
蛇笏に 乱鶯のこゑ谷に満つ雨の日も がありますね。
広島はいよいよ夏に入る気配です。この時期、原爆ドームへ行く機会があるのですが、その迫力に圧倒されます。人間の英知をはるかに超えた、神の摂理を感じます。