こんにちは。
宙虫さんのご機嫌がよいうちに、発表させていただきます。
兼題:流
ホテルの灯海に流れて秋深し とっきー
秋の川流れて巨き海になる 幹夫
長生きをしても人生流れ星 泉
〇(仙翁)いくら長生きをしても、悠久の時からすれば流れ星。
秋灯や流しのギタさん歌詞を見ず 藤三彩
〇(瓦すずめ)「ギタさん」という言葉がよくわかりませんでした。辞書でも検索でもみつかりませんでした。が、ギター弾きのことかと解釈して読みました。秋の灯はきっと酒場でしょう。新酒が酌み交わされ、旬のつまみの香りがする中、男は目をつぶり静かに引く。情景が伝わってきます。
しなる矢は悲しき品か流行る梨 吾郎
◯(宙虫)どんなに立派な矢でも、流行りの梨にはかなわない。どっか教訓めいている。
○(呆夢)悲しみと裏腹な笑いが漏れてしまいます。
○(とっきー)矢と梨の関係の不条理に惹かれました。
怨み歌のこし流星一つ果て 瞳人
◯(あちゃこ)リズムが良いですね。一つ果てでおさめていて、余情が強く感じられます。
○(とっきー)流星のバックミュージックが恨歌だとしたら、どうしましょう!
溝萩の流れ跳び越へ眼鏡の子 アネモネ
○(ちせい)季語は「溝萩」。跳び越えた子は眼鏡をはめていた。観察の効いた句。
流刑地の風にかじかむ腕(かいな)かな 瓦すずめ
○(幹夫)辺境の地・網走を連想しました。季語と景がマッチしています。
○(アネモネ)「風にかじかむ」がいかにもです。
満月や流浪の民と清寂と あちゃこ
流星と出会える予感頂上小屋 多実生
◎(藤三彩)まさに「オリオン座流星群」のピークが10月21日、山頂は寒いからWEBのライブで見よう
芒の穂銀の流れとなる原野 呆夢
◎(餡子)仙石原を思い出しました。銀の流れがいいですね。
○ (多実生) 芒の穂波を銀の流れとの表現が素晴らしい。富士の裾野でしょうか?
○(敏)穂芒の群が風に吹かれる様は、まさに「銀の流れ」そのものですね。情景が眼前します。
○(とっきー)原野が詩情を掻き立てます。
流速に身をまかせたり下り鮎 敏
秋冷や時の流れに蹲る 仙翁
○(珠子)時代の流れになすすべなく蹲っているのか、時代に流されまいぞと蹲っているのか。私はどちらなのかと考えてしまいました。
(選外)(道人) 時は加速するばかりで待ってくれない。 蹲っても立ち上がろう。
星流る千年前の世界地図 ルカ
〇(瓦すずめ)おそらく、アメリカもオーストラリアも日本も載ってない世界地図。その地図を四d寧て、ふとい顔をあげると、窓辺に星が見えた。今とは違う世界を見ていた昔の人も、今の自分と同じように星々を見ていただろうと思うと、感慨深い。そんな気持ちが伝わってきました。
◯(あちゃこ)時の流れが相乗効果をあげて大きな一句になっていますね。
○(アネモネ)取り合わせの微妙さに抒情があっていいですね。
○(餡子)ネットで私も調べてみました。面白いですね。ありがとうございました。
○(吾郎)地形は変わらずに引いてある線が違う、人の営みは変わらず…か
○(まきえっと)大きな景で捉えております。人間ばかりが変わってしまって。
流しのギター昭和爪弾く秋の宿 アゼリア
○(藤三彩)もうノスタルジーが詰まっています、さて曲はなんだろう旅姿三人男かひばりか
○ (多実生) “湯の街エレジー”か“酒は涙かため息か”が聞こえてきそうです。
何もかも我流通して月見酒 道人
◎(瞳人)大方の男は、そう思っています。
◎(とっきー)わがままな人好きです。間違っていても、主張があるということですから。それにしても月見酒とは穏やかですね。もっとやんちゃに行きましょうか。
○(アネモネ)なるほどなるほど。
○(ちせい)季語は「月見酒」。我流を通す以上見識に自信があるのでしょう。
秋冷や緑青流す女神像 珠子
(選外)(道人)「秋冷」と「緑青流す」がよく響き合う。
水流に団栗・岩とプランター ちせい
流れ着く舟にハングル語で秋思 餡子
○(幹夫)漂流の脱北者なのでしょう。季語と景がマッチしています。
○(敏)おそらく、刈り上げの君の国から流れ着いた破船でしょう。ハングルで秋はカウル、では「思」は何というのでしょう。思うならば、センガカダと辞典にはありますが……。舟のたたずまいから作者の胸に宿った「秋思」なのかも知れませんね。
人の暮らしに流され秋の蟻でいる 宙虫
〇(ルカ)秋の蟻が、いいですね。
○(道人)蟻が人なのか、人が蟻なのか分からなくなって来る。何方にしても、今年の夏を耐えて来たのだから働きもの。
流れ来て秋の深みにぶつかりぬ まきえっと
○(珠子)しばらく待てばまた流れます。きっと。俳句もそうですね。
◯(あちゃこ)ハッキリとした景は浮かびませんが、惹かれます。人生の岐路に立っているのでしょうか?
〇(仙翁)秋の深みにぶつかって、立ち止まるのか、進むのか。
テーマ:空にまつわる
くるぶしが疼く銀河のフラメンコ 宙虫
○(ルカ)くるぶしが、実感があるのに、銀河のフラメンコなのが面白い。
○(まきえっと)人生を感じます。
トンネルを抜けてまるごと秋の空 幹夫
◎(敏)「トンネルを抜ければ雪」の秋空版。「まるごと」で大いに気持ちの良い作品となりました。
◎(ちせい)季語は「秋の空」。「まるごと」と言う措辞がいいですね。
◯(宙虫)トンネルを抜けたら色々あるんですね。この書き出しなら雪国の物語は生まれない。
〇(瓦すずめ)まるごと秋の空という言葉がすごくいいですね。トンネルを抜けた後に視界に広がる空をうまく表現していると思います。
○ (多実生) トンネルを抜け出た解放感がまるごと秋の空と言わしめた様です。
○(吾郎)実にシンプルな清々しさ
○(呆夢)あり来たりの光景のようですが、すっきりした感じが良くていただきました。
ひとしきり恋の鞘当て鵙の天 敏
○(珠子)黒いアイマスクをしたような、ちょっと間抜けのヤンキーのような鵙。さえずりながらのかる~い恋に見えて、ほんとは必死なのでしょう。だめだったら次がありますって。
○(道人)青春時代「モズ」という渾名の女の子に煩いくらい揶揄われたものです。
◯(アゼリア)ちょっとうるさそうですけれど明るい佳句と思います。
ふわふわと恋をしてます十三夜 瓦すずめ
◎(ルカ)私もふわふわした恋がしたいです。一票!
◯(あちゃこ)羨ましい。季語が効いてます。恋の形容を色々と考えてみました。
伽藍越え九輪越え秋蝶の空 珠子
6等星見えたは昔今2等星 多実生
我が家までついて来るらし月うさぎ 呆夢
◎(アネモネ)メルヘンですね。
◎ (多実生) 街では見られないお月様。私もついて来る名月を何度見た事でしょう。
○(泉)童話のような、ホノボノとした俳句だと思います。
〇(ルカ)詩情があります。
〇(瞳人)子どもの頃を思い出します。
◯(宙虫)気がついたら、月と話していたなんて。
〇(仙翁)面白いです。情景が良く浮かびます。何処までもついてくる月我が家まで。
◯ (アゼリア)ユーモラスで景の良く見える美しい句と思いました。
○(まきえっと)ホッとしますね。
海豚とぶ秋空の青目にうつし 瞳人
○(敏)イルカの、からだに比して小さな円らな眼に、水から跳び上がった瞬時に宿った秋空の色。細部にこだわった写生の妙。
銀漢や解かれぬままの古代文字 ルカ
◎(道人)中七が秀逸。果てしない銀河に身を投げれば、人知など大したことではない。もしかしたら古代文字は宇宙人の文字かも知れないし。
◎(アゼリア)全て解明されてしまうのも寂しい気がします。
〇(瓦すずめ)ロマンチックな句ですね。
○(餡子)早く解明してほしいですね。一体、どんなことが書かれているのでしょうか。
○(呆夢)ロマンのあふれる物語が語れそうです。
空を突く拳女子応援団長 餡子
〇(瓦すずめ)無季の句ですが、しかし、女子応援団長の決意と空のさわやかさが見えてくるようなので取りました。
○(吾郎)拳がいいですね、景色が見えます
搾りしは玉葱ねまた走り星 吾郎
車窓いま秋の夕富士むらさきに とっきー
○(幹夫)紫色の富士山も佳いですね。リズムよく好きな写生句です。
〇(仙翁)なかなかいい情景ですね。
真青なる空に散らばる紅葉かな 仙翁
◎(幹夫)晴天の秋空に散らばる美しい紅葉の景が詠まれています。
○(泉)空の青と、紅葉の赤の対比が見事です。
○(ちせい)季語は「紅葉」。空の美しさが伝わって来ました。
星月夜少女に帰る同窓会 アゼリア
◎(瓦すずめ)星や月の輝く晩。きっと夜空の見えるカフェテラスとかで同窓会なのでしょうか。星の夜だからこそ同窓会で少女にかえれるような。少女に戻る気持ちを星月夜が応援してくれるようなイメージ。 ただ、かえるは返るのほうがいいのかな、とは思いましたが、いかがでしょうか?
〇(瞳人)ことし50数年ぶりを、わたくし欠席しました。初内孫が出でまゐるからです。
○(アネモネ)うらやましいなあ・・・。
○(吾郎)なんかわかる、少年なら虹を渡るか…
○(とっきー)少女に帰るなんて、図々しいです。もう熟女ですよね。
(選外)(道人)綺麗すぎる。 少女に戻るだけでは同窓会は終わらないもの。これからの生き方に新たな発見がある。
大欅剪り終え久し秋夕焼 藤三彩
星月夜ピーターパンの宙を舞う まきえっと
○(泉)おとぎ話そのものですね。現実にもあるかも知れません。
秋高し鉄の飛行機飛ぶ不思議 泉
天高しタワーに行かぬ日と成れり ちせい
天平を超えて白鳳後の月 道人
◎(あちゃこ)時空を超え、飛鳥の皇子に思いを馳せているのでしょうか。寂しさが映像となって迫ってきます。
流刑地に細き鐘の音いわし雲 あちゃこ
◯(宙虫)細き鐘の音っていいですね。
○(餡子)日本中、いたるところにある流刑地・・。流された人はこの鐘の音をどんなおもいできいていたのでしょうか。
○(呆夢)雲を見る気持ちがいろいろ想像できますね。
冷まじや星の起源の塵の渦 アネモネ
○(泉)「星の起源」とは、スケールの大きな俳句だと思います。
(選外)(藤三彩)宇宙って謎だらけ、生命の起源は?土づくりをみみずさんに手伝ってもらってます。
雑詠
願掛ける帯念入りに菊日和 瞳人
◎(呆夢)帯祝いの光景でしょうか?我が子の時が思い出されます。柔らかな日差しが感じられるようです。
靴底に砕ける木の実ゴッホ展 珠子
◎(宙虫)ちょっとした嫌な気分。ゴッホを見る目にも影響しそうな。
◎(吾郎)ゴッホ展が実にぴったり!
◎(まきえっと)ゴッホと砕けた木の実がとても合っています。
〇(アネモネ)「ゴッホ展」」に飛んだ意外性に○です。
○(ルカ)ゴッホと砕けた木の実が響きあってます。
〇(瞳人)なぜ、ゴッホとおもいつつ。
○(幹夫)木の実を踏んで砕ける音・・・いい景が詠まれています。
○(藤三彩)秋の公園中にある美術館はそんな感じがする。
○(餡子)ゴッホ展を出ての景でしょう。秋の雰囲気とゴッホはよく合います。
○ (多実生) 砕ける木の実とゴッホの取り合わせがユニーク。
◯ (アゼリア)上野でしょうか? 美術の秋ですね。
ちぎれ雲かすかに隠す後の月 仙翁
○(とっきー)雲一つない空よりも、ちぎれ雲に月が幽かに隠れる瞬間があった方が後の月に似合います。好きな句です。
呼び捨てで兄呼ぶ幼女秋野原 多実生
○(ちせい)季語は「萩野原」。少女の勇気が萩を際立させていると思いました。
口笛を吹けば応へる鶸の声 道人
江戸切子には弦月がよく似合う 敏
○(珠子)富士には月見草、切子には弦月。確かに満月ではない気はします。
三界に家なき哀れ捨案山子 とっきー
◎(仙翁)確かに、案山子はかわいくてかわいそう。
(選外)(道人)「哀れ」は微妙ですが、「捨案山子」はあらゆるものの象徴ともとれる。 明日は我が身かも。
秋寂びの千代田区千代田一の一 餡子
◎(珠子)官庁・オフィス街の秋寂び。かっちりと決まっています。
〇(瞳人)なにか、寂しさが漂うのですね。おもいすごしかしらね。
○(敏)この地番は確か皇居。そこにお住まいの陛下のビデオでのお言葉が胸に迫ります。その真意を汲もうとせず、法理論のみの斟酌で、直ぐにはご希望を叶えさせようとしない「有識者」たちに寂しさを感じてしまいます。
◯ (アゼリア)生前退位などが話題になり、少し寂しいですよね。館林は皇后の
縁の地で、皆時々皇后のお元気なお姿をお見掛けしたいと思っていると思います。
○(まきえっと)季語はどうだろうと思いましたが、「千代田区千代田一の一」への目の付け所にびっくり。
(選外)(道人)この「秋寂び」の捉え方は難しいですね。生前退位を堅く決意された天皇の愁思ともとれるし、庶民からみた「千代田区千代田一の一」への複雑な共感ともとれる。
秋刀魚食べツバスは僅かばかりあり ちせい
小鳥来る険しき箱根路を超えて 幹夫
星月夜風を聴いてるデュランかな ルカ
○(珠子)ディラン様。ノーベル賞に興味なさそうなのがさらに素敵。こういうことを句材に掬える柔軟性に惹かれます。
○(幹夫)美しい星月夜・・・答えは風の中にあるのですね。
○(藤三彩)彼にとってノーベル賞はダイナマイトでぶっ飛ばす存在かもしれない
○(道人) ノーベル賞という便りにも、デュランは馬耳東風?
○(敏)ボブ・ディランさんにとっては、ノーベル賞なぞどうでもいいことなのでしょうね。世間の騒ぎをよそに、星空の下で風に吹かれている詩人の姿を彷彿とします。
青蟷螂祈るかたちの朝ぼらけ アゼリア
やさしいひとに向かう物証柿熟れて 宙虫
○いろんなことを想像させてくれます、熟柿がいい配置かと
知り合い句無視に身に染む悔いありし 吾郎
○(藤三彩)よくある光景。また同じ句を出しているので採れない。名回文。
○(餡子)知り合い句って、作者が分かるという句でしょうか。わかっていても、いい句は採らないとね。悔いが残ります。
○(道人)やはり選んでおけば良かったですね。でも天邪鬼は中々治らないもの。
◯ (アゼリア)無視してもしなくても悔いが残ってしまいます。鋭いところをつ
いていると思います。
虫の音や婚活終活一度きり 藤三彩
○(泉)終活は一度きりですが、婚活も一度なら、これも縁でしょう。両方とも縁ですね。
点眼の一滴赤く染まる柿 まきえっと
◯(あちゃこ)変わらぬ日常と季節の変化。言い切りが気持ち良いですね。
ハロウインの魔女に描きたす顔の皺 アネモネ
◎(泉)魔女も歳には勝てませんか。ユーモラスな俳句だと思います。
〇(瞳人)魔女も年を取ります。
○(まきえっと)こういうユーモラスさ、大好きです。
凍蝶になつても恋をしてゐたい 瓦すずめ
○ (多実生) 今の私は凍て蝶ですが矢張り恋は楽しいでしょうね。
(選外)(道人)女の美学ですね。
晩婚の誰も取らない熟柿かな 泉
(選外)(道人)熟柿一つ残しておくのも知恵。来年の柿はきっと実り豊かでしょう。
不帰の地や乳房の如き菊咲いて あちゃこ
〇(仙翁)色っぽくて、二度と来ることのないような地の、菊の大輪。
○(呆夢)菊の色は何色かな?元気の出る黄色がいいなと思いました。
無花果をギブスのとれた母がもぐ 呆夢
〇(ルカ)妙な生々しさがあります。
◯(宙虫)快癒おめでとう。で、次また骨折しそうなことをするんです。
○(藤三彩)イチジクの木は誘引しないと高く背丈が伸びてしまう、快復した母上が届く高さに安堵
○(ちせい)季語は「無花果」。母の豪胆さ。食欲に俳句味があります。
宙虫さんのご機嫌がよいうちに、発表させていただきます。
兼題:流
ホテルの灯海に流れて秋深し とっきー
秋の川流れて巨き海になる 幹夫
長生きをしても人生流れ星 泉
〇(仙翁)いくら長生きをしても、悠久の時からすれば流れ星。
秋灯や流しのギタさん歌詞を見ず 藤三彩
〇(瓦すずめ)「ギタさん」という言葉がよくわかりませんでした。辞書でも検索でもみつかりませんでした。が、ギター弾きのことかと解釈して読みました。秋の灯はきっと酒場でしょう。新酒が酌み交わされ、旬のつまみの香りがする中、男は目をつぶり静かに引く。情景が伝わってきます。
しなる矢は悲しき品か流行る梨 吾郎
◯(宙虫)どんなに立派な矢でも、流行りの梨にはかなわない。どっか教訓めいている。
○(呆夢)悲しみと裏腹な笑いが漏れてしまいます。
○(とっきー)矢と梨の関係の不条理に惹かれました。
怨み歌のこし流星一つ果て 瞳人
◯(あちゃこ)リズムが良いですね。一つ果てでおさめていて、余情が強く感じられます。
○(とっきー)流星のバックミュージックが恨歌だとしたら、どうしましょう!
溝萩の流れ跳び越へ眼鏡の子 アネモネ
○(ちせい)季語は「溝萩」。跳び越えた子は眼鏡をはめていた。観察の効いた句。
流刑地の風にかじかむ腕(かいな)かな 瓦すずめ
○(幹夫)辺境の地・網走を連想しました。季語と景がマッチしています。
○(アネモネ)「風にかじかむ」がいかにもです。
満月や流浪の民と清寂と あちゃこ
流星と出会える予感頂上小屋 多実生
◎(藤三彩)まさに「オリオン座流星群」のピークが10月21日、山頂は寒いからWEBのライブで見よう
芒の穂銀の流れとなる原野 呆夢
◎(餡子)仙石原を思い出しました。銀の流れがいいですね。
○ (多実生) 芒の穂波を銀の流れとの表現が素晴らしい。富士の裾野でしょうか?
○(敏)穂芒の群が風に吹かれる様は、まさに「銀の流れ」そのものですね。情景が眼前します。
○(とっきー)原野が詩情を掻き立てます。
流速に身をまかせたり下り鮎 敏
秋冷や時の流れに蹲る 仙翁
○(珠子)時代の流れになすすべなく蹲っているのか、時代に流されまいぞと蹲っているのか。私はどちらなのかと考えてしまいました。
(選外)(道人) 時は加速するばかりで待ってくれない。 蹲っても立ち上がろう。
星流る千年前の世界地図 ルカ
〇(瓦すずめ)おそらく、アメリカもオーストラリアも日本も載ってない世界地図。その地図を四d寧て、ふとい顔をあげると、窓辺に星が見えた。今とは違う世界を見ていた昔の人も、今の自分と同じように星々を見ていただろうと思うと、感慨深い。そんな気持ちが伝わってきました。
◯(あちゃこ)時の流れが相乗効果をあげて大きな一句になっていますね。
○(アネモネ)取り合わせの微妙さに抒情があっていいですね。
○(餡子)ネットで私も調べてみました。面白いですね。ありがとうございました。
○(吾郎)地形は変わらずに引いてある線が違う、人の営みは変わらず…か
○(まきえっと)大きな景で捉えております。人間ばかりが変わってしまって。
流しのギター昭和爪弾く秋の宿 アゼリア
○(藤三彩)もうノスタルジーが詰まっています、さて曲はなんだろう旅姿三人男かひばりか
○ (多実生) “湯の街エレジー”か“酒は涙かため息か”が聞こえてきそうです。
何もかも我流通して月見酒 道人
◎(瞳人)大方の男は、そう思っています。
◎(とっきー)わがままな人好きです。間違っていても、主張があるということですから。それにしても月見酒とは穏やかですね。もっとやんちゃに行きましょうか。
○(アネモネ)なるほどなるほど。
○(ちせい)季語は「月見酒」。我流を通す以上見識に自信があるのでしょう。
秋冷や緑青流す女神像 珠子
(選外)(道人)「秋冷」と「緑青流す」がよく響き合う。
水流に団栗・岩とプランター ちせい
流れ着く舟にハングル語で秋思 餡子
○(幹夫)漂流の脱北者なのでしょう。季語と景がマッチしています。
○(敏)おそらく、刈り上げの君の国から流れ着いた破船でしょう。ハングルで秋はカウル、では「思」は何というのでしょう。思うならば、センガカダと辞典にはありますが……。舟のたたずまいから作者の胸に宿った「秋思」なのかも知れませんね。
人の暮らしに流され秋の蟻でいる 宙虫
〇(ルカ)秋の蟻が、いいですね。
○(道人)蟻が人なのか、人が蟻なのか分からなくなって来る。何方にしても、今年の夏を耐えて来たのだから働きもの。
流れ来て秋の深みにぶつかりぬ まきえっと
○(珠子)しばらく待てばまた流れます。きっと。俳句もそうですね。
◯(あちゃこ)ハッキリとした景は浮かびませんが、惹かれます。人生の岐路に立っているのでしょうか?
〇(仙翁)秋の深みにぶつかって、立ち止まるのか、進むのか。
テーマ:空にまつわる
くるぶしが疼く銀河のフラメンコ 宙虫
○(ルカ)くるぶしが、実感があるのに、銀河のフラメンコなのが面白い。
○(まきえっと)人生を感じます。
トンネルを抜けてまるごと秋の空 幹夫
◎(敏)「トンネルを抜ければ雪」の秋空版。「まるごと」で大いに気持ちの良い作品となりました。
◎(ちせい)季語は「秋の空」。「まるごと」と言う措辞がいいですね。
◯(宙虫)トンネルを抜けたら色々あるんですね。この書き出しなら雪国の物語は生まれない。
〇(瓦すずめ)まるごと秋の空という言葉がすごくいいですね。トンネルを抜けた後に視界に広がる空をうまく表現していると思います。
○ (多実生) トンネルを抜け出た解放感がまるごと秋の空と言わしめた様です。
○(吾郎)実にシンプルな清々しさ
○(呆夢)あり来たりの光景のようですが、すっきりした感じが良くていただきました。
ひとしきり恋の鞘当て鵙の天 敏
○(珠子)黒いアイマスクをしたような、ちょっと間抜けのヤンキーのような鵙。さえずりながらのかる~い恋に見えて、ほんとは必死なのでしょう。だめだったら次がありますって。
○(道人)青春時代「モズ」という渾名の女の子に煩いくらい揶揄われたものです。
◯(アゼリア)ちょっとうるさそうですけれど明るい佳句と思います。
ふわふわと恋をしてます十三夜 瓦すずめ
◎(ルカ)私もふわふわした恋がしたいです。一票!
◯(あちゃこ)羨ましい。季語が効いてます。恋の形容を色々と考えてみました。
伽藍越え九輪越え秋蝶の空 珠子
6等星見えたは昔今2等星 多実生
我が家までついて来るらし月うさぎ 呆夢
◎(アネモネ)メルヘンですね。
◎ (多実生) 街では見られないお月様。私もついて来る名月を何度見た事でしょう。
○(泉)童話のような、ホノボノとした俳句だと思います。
〇(ルカ)詩情があります。
〇(瞳人)子どもの頃を思い出します。
◯(宙虫)気がついたら、月と話していたなんて。
〇(仙翁)面白いです。情景が良く浮かびます。何処までもついてくる月我が家まで。
◯ (アゼリア)ユーモラスで景の良く見える美しい句と思いました。
○(まきえっと)ホッとしますね。
海豚とぶ秋空の青目にうつし 瞳人
○(敏)イルカの、からだに比して小さな円らな眼に、水から跳び上がった瞬時に宿った秋空の色。細部にこだわった写生の妙。
銀漢や解かれぬままの古代文字 ルカ
◎(道人)中七が秀逸。果てしない銀河に身を投げれば、人知など大したことではない。もしかしたら古代文字は宇宙人の文字かも知れないし。
◎(アゼリア)全て解明されてしまうのも寂しい気がします。
〇(瓦すずめ)ロマンチックな句ですね。
○(餡子)早く解明してほしいですね。一体、どんなことが書かれているのでしょうか。
○(呆夢)ロマンのあふれる物語が語れそうです。
空を突く拳女子応援団長 餡子
〇(瓦すずめ)無季の句ですが、しかし、女子応援団長の決意と空のさわやかさが見えてくるようなので取りました。
○(吾郎)拳がいいですね、景色が見えます
搾りしは玉葱ねまた走り星 吾郎
車窓いま秋の夕富士むらさきに とっきー
○(幹夫)紫色の富士山も佳いですね。リズムよく好きな写生句です。
〇(仙翁)なかなかいい情景ですね。
真青なる空に散らばる紅葉かな 仙翁
◎(幹夫)晴天の秋空に散らばる美しい紅葉の景が詠まれています。
○(泉)空の青と、紅葉の赤の対比が見事です。
○(ちせい)季語は「紅葉」。空の美しさが伝わって来ました。
星月夜少女に帰る同窓会 アゼリア
◎(瓦すずめ)星や月の輝く晩。きっと夜空の見えるカフェテラスとかで同窓会なのでしょうか。星の夜だからこそ同窓会で少女にかえれるような。少女に戻る気持ちを星月夜が応援してくれるようなイメージ。 ただ、かえるは返るのほうがいいのかな、とは思いましたが、いかがでしょうか?
〇(瞳人)ことし50数年ぶりを、わたくし欠席しました。初内孫が出でまゐるからです。
○(アネモネ)うらやましいなあ・・・。
○(吾郎)なんかわかる、少年なら虹を渡るか…
○(とっきー)少女に帰るなんて、図々しいです。もう熟女ですよね。
(選外)(道人)綺麗すぎる。 少女に戻るだけでは同窓会は終わらないもの。これからの生き方に新たな発見がある。
大欅剪り終え久し秋夕焼 藤三彩
星月夜ピーターパンの宙を舞う まきえっと
○(泉)おとぎ話そのものですね。現実にもあるかも知れません。
秋高し鉄の飛行機飛ぶ不思議 泉
天高しタワーに行かぬ日と成れり ちせい
天平を超えて白鳳後の月 道人
◎(あちゃこ)時空を超え、飛鳥の皇子に思いを馳せているのでしょうか。寂しさが映像となって迫ってきます。
流刑地に細き鐘の音いわし雲 あちゃこ
◯(宙虫)細き鐘の音っていいですね。
○(餡子)日本中、いたるところにある流刑地・・。流された人はこの鐘の音をどんなおもいできいていたのでしょうか。
○(呆夢)雲を見る気持ちがいろいろ想像できますね。
冷まじや星の起源の塵の渦 アネモネ
○(泉)「星の起源」とは、スケールの大きな俳句だと思います。
(選外)(藤三彩)宇宙って謎だらけ、生命の起源は?土づくりをみみずさんに手伝ってもらってます。
雑詠
願掛ける帯念入りに菊日和 瞳人
◎(呆夢)帯祝いの光景でしょうか?我が子の時が思い出されます。柔らかな日差しが感じられるようです。
靴底に砕ける木の実ゴッホ展 珠子
◎(宙虫)ちょっとした嫌な気分。ゴッホを見る目にも影響しそうな。
◎(吾郎)ゴッホ展が実にぴったり!
◎(まきえっと)ゴッホと砕けた木の実がとても合っています。
〇(アネモネ)「ゴッホ展」」に飛んだ意外性に○です。
○(ルカ)ゴッホと砕けた木の実が響きあってます。
〇(瞳人)なぜ、ゴッホとおもいつつ。
○(幹夫)木の実を踏んで砕ける音・・・いい景が詠まれています。
○(藤三彩)秋の公園中にある美術館はそんな感じがする。
○(餡子)ゴッホ展を出ての景でしょう。秋の雰囲気とゴッホはよく合います。
○ (多実生) 砕ける木の実とゴッホの取り合わせがユニーク。
◯ (アゼリア)上野でしょうか? 美術の秋ですね。
ちぎれ雲かすかに隠す後の月 仙翁
○(とっきー)雲一つない空よりも、ちぎれ雲に月が幽かに隠れる瞬間があった方が後の月に似合います。好きな句です。
呼び捨てで兄呼ぶ幼女秋野原 多実生
○(ちせい)季語は「萩野原」。少女の勇気が萩を際立させていると思いました。
口笛を吹けば応へる鶸の声 道人
江戸切子には弦月がよく似合う 敏
○(珠子)富士には月見草、切子には弦月。確かに満月ではない気はします。
三界に家なき哀れ捨案山子 とっきー
◎(仙翁)確かに、案山子はかわいくてかわいそう。
(選外)(道人)「哀れ」は微妙ですが、「捨案山子」はあらゆるものの象徴ともとれる。 明日は我が身かも。
秋寂びの千代田区千代田一の一 餡子
◎(珠子)官庁・オフィス街の秋寂び。かっちりと決まっています。
〇(瞳人)なにか、寂しさが漂うのですね。おもいすごしかしらね。
○(敏)この地番は確か皇居。そこにお住まいの陛下のビデオでのお言葉が胸に迫ります。その真意を汲もうとせず、法理論のみの斟酌で、直ぐにはご希望を叶えさせようとしない「有識者」たちに寂しさを感じてしまいます。
◯ (アゼリア)生前退位などが話題になり、少し寂しいですよね。館林は皇后の
縁の地で、皆時々皇后のお元気なお姿をお見掛けしたいと思っていると思います。
○(まきえっと)季語はどうだろうと思いましたが、「千代田区千代田一の一」への目の付け所にびっくり。
(選外)(道人)この「秋寂び」の捉え方は難しいですね。生前退位を堅く決意された天皇の愁思ともとれるし、庶民からみた「千代田区千代田一の一」への複雑な共感ともとれる。
秋刀魚食べツバスは僅かばかりあり ちせい
小鳥来る険しき箱根路を超えて 幹夫
星月夜風を聴いてるデュランかな ルカ
○(珠子)ディラン様。ノーベル賞に興味なさそうなのがさらに素敵。こういうことを句材に掬える柔軟性に惹かれます。
○(幹夫)美しい星月夜・・・答えは風の中にあるのですね。
○(藤三彩)彼にとってノーベル賞はダイナマイトでぶっ飛ばす存在かもしれない
○(道人) ノーベル賞という便りにも、デュランは馬耳東風?
○(敏)ボブ・ディランさんにとっては、ノーベル賞なぞどうでもいいことなのでしょうね。世間の騒ぎをよそに、星空の下で風に吹かれている詩人の姿を彷彿とします。
青蟷螂祈るかたちの朝ぼらけ アゼリア
やさしいひとに向かう物証柿熟れて 宙虫
○いろんなことを想像させてくれます、熟柿がいい配置かと
知り合い句無視に身に染む悔いありし 吾郎
○(藤三彩)よくある光景。また同じ句を出しているので採れない。名回文。
○(餡子)知り合い句って、作者が分かるという句でしょうか。わかっていても、いい句は採らないとね。悔いが残ります。
○(道人)やはり選んでおけば良かったですね。でも天邪鬼は中々治らないもの。
◯ (アゼリア)無視してもしなくても悔いが残ってしまいます。鋭いところをつ
いていると思います。
虫の音や婚活終活一度きり 藤三彩
○(泉)終活は一度きりですが、婚活も一度なら、これも縁でしょう。両方とも縁ですね。
点眼の一滴赤く染まる柿 まきえっと
◯(あちゃこ)変わらぬ日常と季節の変化。言い切りが気持ち良いですね。
ハロウインの魔女に描きたす顔の皺 アネモネ
◎(泉)魔女も歳には勝てませんか。ユーモラスな俳句だと思います。
〇(瞳人)魔女も年を取ります。
○(まきえっと)こういうユーモラスさ、大好きです。
凍蝶になつても恋をしてゐたい 瓦すずめ
○ (多実生) 今の私は凍て蝶ですが矢張り恋は楽しいでしょうね。
(選外)(道人)女の美学ですね。
晩婚の誰も取らない熟柿かな 泉
(選外)(道人)熟柿一つ残しておくのも知恵。来年の柿はきっと実り豊かでしょう。
不帰の地や乳房の如き菊咲いて あちゃこ
〇(仙翁)色っぽくて、二度と来ることのないような地の、菊の大輪。
○(呆夢)菊の色は何色かな?元気の出る黄色がいいなと思いました。
無花果をギブスのとれた母がもぐ 呆夢
〇(ルカ)妙な生々しさがあります。
◯(宙虫)快癒おめでとう。で、次また骨折しそうなことをするんです。
○(藤三彩)イチジクの木は誘引しないと高く背丈が伸びてしまう、快復した母上が届く高さに安堵
○(ちせい)季語は「無花果」。母の豪胆さ。食欲に俳句味があります。
広島は暑さが残っていましたが、いよいよ秋らしくなって来ました。当地の秋祭も終り、これから冬支度です。何だか秋が短いような気がします。