お待たせいたしました。
今週末から東京も暑くなるようですね。
愛子さん、初めまして。次回は是非とも俳句もお待ちしております。
兼題:薄
小満の薄紙剥がす和菓子かな ルカ
○(ちせい)季語は「小満」。和菓子の薄紙は食べられるものもあるのかもしれません。そこら辺のところが興味深いと思いました。
○(アネモネ)美味しそうです。
カード式コインロッカー街薄暑 道人
○(餡子)最近のコインロッカーは、難しくて、近くにいる人に聞いたりしています。年寄りには、一苦労です。
○(アネモネ)いかにも街薄暑。
異国めく秋葉の雑踏夕薄暑 アゼリア
杜若ゆうらりいつのまに薄暮 敏
〇(道人)杜若には時間を忘れさせる魅力がありそうです。
○(吾郎)水辺の散歩、ゆうらりが実にらしい景
◎(アゼリア)ゆうらりと薄暮が素敵です。
○(ちせい)季語は「杜若」。緩やかな気分に杜若。そして薄暮。いいのではないでしょうか。
〇(宙虫)杜若の色から薄暮への時間の経過と空気のゆったり感がいい。
区境の銀の標識街薄暑 アネモネ
〇(楊子)ギラギラとし始める標識が夏の到来を感じます。
〇(珠子)県境でも市の境でもなく「区境」。東京でしょうが、確かに銀色に青い文字が多い気がします。薄暑の季節のドライブでしょうか。街ブラしょうか。
手に薄き葉桜句座は奇数にて 吾郎
○(泉)流れるような俳句(回文)だと思います。
◯(餡子)吟行句会でしょうか。句座の人数を、奇数とか偶数とかの観点で見たことはありませんでしたので、新鮮でした。
〇(珠子)「句座は奇数で」って?!確かに意見が分かれても同数になることはありませんしヘンに説得力を感じます。桜の葉も青く厚くなってきた今日この頃です。
〇(宙虫)奇数がやはり基本かもしれない。新緑のもと。ゆったりした回文のリズムがいい。
〇(まきえっと)調べが美しい。きっと句会での俳句も素晴らしい。
◎(愛子)
薄幸の美女と言いつつ心太 泉
○(餡子)このくらいの図々しさとしたたかさがこの世を生きていくのには大事です。
○(仙翁)心太と実はよく食べる美女、いいですね。
虫食ひの過去帳めくる薄暑かな 瞳人
〇(春生)季語「薄暑」が動かない。
薄衣抜くる風より色をもつ 楊子
○(ルカ)風が、見えました。
○(仙翁)透明の風も薄衣を抜けると色を帯びそうですね。
○(あちゃこ)巧みさに脱帽です。中七の表現が効いています。
〇(愛子)
薄目開けおんなが送る麦の秋 宙虫
〇 (多実生) ドラマの様なシーンです。
○(吾郎)成熟した魅力に負けてしまいそうですわ
◎(仙翁)情景を思い浮かべますが、色っぽいですね。
木洩れ日の薄きに昼寝猫の声 仙翁
風薫る美人薄命死語となり 多実生
薄情な五月の雨よ裏参道 あちゃこ
〇(藤三彩)ジョギングに行き損ねる雨模様という感じ。
泰山木開き寝嵩の薄き母 餡子
◎(楊子)白い大きな花との取り合わせが絶妙です。母を湿った想いとしてではなく、第三者としての描写が詩にしている。
○(吾郎)泰山木の花は下からは見えずにふと気がつくもの。母も小さくなった
◯(アゼリア)大木との対比で小さくなった母を見る哀しさが強調されていると思います。
○(敏)「寝嵩」はたぶん、掛け布団を掛けた時の膨らみを指した造語と思われますが、言い得て妙、私も使ってみたくなりました。母上様の、泰山木の花びらの形のような寝姿が見えてきました。
○(あちゃこ)優しさがくっきりとした景とあいまってつたわります。
○(アネモネ)泰山木効いてます。
街薄暑監獄島の坂登る 春生
薄暑来て診察台の角枕 珠子
○(ルカ)角枕がいいですね。
〇(春生)「診察台の角枕」が新鮮です。
〇(楊子)ひんやりとした角枕がみつけ。
○(泉)言われてみれば、診察台は角枕ですね。何故でしょうか。
◎(餡子)わかるわかる!あの黒いのね。経験あり。云われてみれば、あの枕どこでもそうですね。何か理由があるのでしょうか?
〇(まきえっと)滅多にお世話になることはないけれど、体調の悪い時にはちょっと嫌な感じがします。
亀卜(きぼく)とは薄学にして青田米 藤三彩
薄味を嫌ふ人間若葉冷 ちせい
〇 (多実生) 汗を流す労働者は塩分を必要とします。
薄紙の包む梅の実坂の町 まきえっと
〇(道人)梅の袋掛けの景。「坂の町」が良いですね。
○(あちゃこ)梅はかなりの高級品。坂の町で締めたところがいいですね。
テーマ:転
お転婆な素足砂丘を我が物に あちゃこ
◎(春生)元気いっぱいですね。
〇(藤三彩)鳥取砂丘はあなたのモノ。らっきょうを漬けよう。
○(泉)軽快な俳句だと思います。
◯(アゼリア)若さが眩しいです。
◎(アネモネ)お転婆な素足、いいですね。
〇(まきえっと)元気いっぱいで嬉しくなります。
転用農地に埋めたピノキオ夏鴉 宙虫
〇(道人)ピノキオははるか昔の作者自身なのかも知れません。
やすらけく貴人仕舞ふ四月尽 瞳人
回転蝿打ち父上判定か 吾郎
山に転び川に躓く春や過ぐ 仙翁
〇 (多実生) 思う存分春を満喫する姿が見えます。
〇(藤三彩)瀬歩きが好きな方なのね。出水には気を付けて
(選外)(道人)色々あった春が過ぎた感慨。
自転車の曲乗りしたい若葉道 多実生
〇(瞳人)そういう気分、よくわかります。それが若さ…
◎(ちせい)季語は「若葉」。単なる願望かもしれませんが、俳味があると思いました。
転び寝の一炊の夢蝉生る 道人
〇(楊子)子どもの頃、さなぎから出て蝉になる時間を体験しました。昼寝の時間でした。
○(ルカ)輪廻を感じます。
〇(珠子)大自然に比べたらすべては儚いものだけど、与えられた命は全うするしかありません。できるだけ楽しく。
○(仙翁)一炊の夢、世の中はそんなものでしょう。
○(あちゃこ)どんな夢?生活の切り取りとリズムがいいですね。
初夏の風回転義挙に思ひ馳せ ちせい
寝転べば人幅の舟行々子 珠子
○(餡子)のんびりと青空をながめながら揺蕩っている感じ、いいですね。うるさい行々子も、風情あっていい。
ビー玉の転がっている五月かな ルカ
〇(春生)庭や公園での遊びが最適な季節です。
○(吾郎)動かないところをみると土台のしっかりした 場所、神社の境内とかかな
青りんご転がしワンピース試着 楊子
〇(宙虫)ちょっとした決意がそこにありそう。
(選外)(道人)やや傾いている試着室なのでしょうか。「青りんご」が面白い。
雲の峰ボールを逸らす草野球 まきえっと
○(敏)夏雲の下、草野球に興ずる人々の声が聞こえてくるようです。
長調に変わる楽曲夏来たる 敏
◯(アゼリア)令和最初の夏ですね。
○(アネモネ)なんの曲か知りたいです
転機は父の死でで虫旅に出る アゼリア
◎(道人)破調が全く気にならない。「でで虫」の旅に味わいあり。
○(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。
○(仙翁)そうですね、でで虫のように旅に出ましょうか
麦の秋モネの「積みわら」転売中 藤三彩
麦星を指してフンコロガシが行く アネモネ
○(ルカ)麦星が効いてます。
◎(珠子)ミツバチは太陽の角度を基準にして花の位置を仲間に教え、フンコロガシは、星や月・太陽などの位置を頼りに進むべき方向を決めているのだとか。フンコロガシに「麦星・蠍座アンタレス」をもってきたセンスが素晴らしいと思います。
○(敏)日本のフンコロガシは糞を転がさないと、何かで読んだことがありますが、一句は、「天の川を認識しているようだ」というこの虫の習性について触れた国外の研究成果を踏まえての作句ではないでしょうか。博学な作品です。
◎(あちゃこ)サソリ座のアンタレス目指し、何を思うかフンコロガシよ。発想が素晴らしい。
◎(まきえっと)「フンコロガシ」を敬遠していたのですが、見方がすっかり変わりました。
転轍のケーブルカーや若葉風 春生
父の日や転勤先へプレゼント 泉
〇(瞳人)単身赴任ですか、いやあ、きっと、うれしかろうと
縺れ合う黄揚羽転居先不明 餡子
〇 (多実生) 良く見かける蝶の舞いですが転居先がユニークです。
◎(吾郎)引っ越してしまった隣家の屋根近くを舞う揚羽、触れ合うもの消え去るもの
◯(アゼリア)取り合わせが上手と思います。
雑詠
オプションを外し母の日の素手素足 餡子
◎(宙虫)母にはいつのまにか様々なオプションがくっついていて、ひとつずつはずしてみる。素手素足の下五がいい。
〇(まきえっと)いくつになったらオプションが外れるのでしょうね。我が家の母もまだオプションが付いているのかしら?
(選外)(道人)母の日に検査とはしんどいですね。
水かける解体現場夏燕 まきえっと
○(餡子)よく見る景ですが、俳句にすると、情感が生まれます。解体前には燕の巣があったのでしょう。
◎(ルカ)一瞬で景が浮かびました。鮮やかに夏燕が見えます。
○(ちせい)季語は「夏燕」。水をかけながらの解体現場はありふれた光景ですが、そこに夏燕が加わると一幅の絵の様な取りたい気分に誘われました。
雲の峰反戦秘めしお立ち唄 瞳人
薫風や世界遺産の家を継ぐ あちゃこ
〇(春生)「世界遺産の家」に興味が湧きます。
◎(藤三彩)白川郷の茅葺屋根の家に住む人は減ってしまったらしい。継いでも維持するのは難しいな
◎(泉)「世界遺産の家」とは、大変ですね。
〇(愛子)
出そう浜日傘朝が暇は嘘だ 吾郎
○(道人)独特の回文調。仲夏の浜辺で、家族のちょっとしたつましやかな会話が聞こえてきそう。。
◯(アゼリア)本当に朝は忙しいです。眠い目をこすりながら頑張ってます。
〇(宙虫)毎日いろんなことに追われて。
ウォークマンやつと出て来た楠の花 ちせい
春散歩路上園芸花盛り 多実生
新緑やきらり雲間に影光る 仙翁
戦争を知らぬ幸せ花水木 敏
◎ (多実生) 私の少年時代は戦時下で、その後も戦後の物のない荒れた時代で長く影響を引きずりました。今の平和は有難い事です。
〇(楊子)花水木はアメリカハナミズキがほとんどです。文字通りの平成の世は終わりました。
○(ちせい)季語は「花水木」。何かほっとするような。俳句ではあまり主観的な気持ちを述べない傾向が強いかもしれませんが、これはいいと思いました。
〇(愛子)
オルガンの裏は板張り桐の花 アネモネ
○(泉)何事も見えない部分は質素です。
○(敏)オルガンの裏の板張りを句にしたのは、多分掲句が嚆矢でしょうね。面白い着眼点です。薄くても強いという桐の木からの連想でもありましょうか。
〇(宙虫)木材の持つやわらかさもオルガンの音にはあると思う。桐の花がいい。
〇(まきえっと)オルガンの音色と桐の花。板張りがいいですね。
(選外)(藤三彩)小学校や教会の木造建物の状況を言うのだろうか
天蓋の葉桜どろり寝る男 珠子
○(吾郎)これはもうどろりに尽きる
○(仙翁)天蓋の葉桜、どろり寝る、面白いですね。
柏餅大書した店長き列 泉
◎(瞳人)大きな書きものがなくったて、おいしいんだ、きっと
鉢替えに蟻の巣唱える六根清浄 藤三彩
(選外)(道人)「六根清浄」、唱えたことはありませんが、唱えてみたいですね。
風力二摂氏十五度青葉寒 道人
〇(珠子)こういうクールでかっちりした句が(も)好きなのです。夏日の続いた後の15℃は寒い。
〇(愛子)
蕗の筋とれば街から雨がくる 宙虫
〇 (多実生) わが家の蕗は雨不足で萎れ気味です。一雨後、摘み採りたいと思っています。
○(道人)「街から雨がくる」の措辞に、微妙な季節感とアンニュイな気分を感じる。
母の日の妣に詫びたきこと二つ アゼリア
〇(春生)「こと二つ」ですか。侘びたきことはたくさんですが、その中でも特に「二つ」ですね。
〇(藤三彩)嫁が義母に対して謙虚に優しくなるというのは難しいんだろうな。
○(ちせい)季語は「母の日」。どんな内容か興味深いのですが、母の日に亡き母に詫びたいとは興味を唆られました。
〇(愛子)
籐椅子にはべる雌猫エリザベス 楊子
○(ルカ)「3月のライオン」の二階堂君の愛猫の名は、ずばりエリザベス。二階堂ファンとしては見逃せない一句。
蝙蝠の闇深ければ高く飛ぶ 春生
〇(楊子)「の」の軽い切れが適切だと思います。心象的表現のうまさにグッときました。
〇(珠子)「闇深ければ高く飛ぶ」蝙蝠の単なる生態ともいえますし、その奥に深い意味を持たせたとも感じます。近所の高架線の下にいつも沢山のフンが落ちていてそれは蝙蝠のものというのです。現実には燕も蝙蝠も都会でしたたかに生きる生物であるということです。
◎(敏)蝙蝠の習性を熟知した一句。近頃はとんと姿を現さなくなった視力より聴力の優れたこのなんとも妙な生き物を、懐かしく思い返しました。
○(あちゃこ)事実はともあれ、そうありたい。蝙蝠を持ってきたところが面白いですね。
○(アネモネ)なるほどなるほど。得心です。
雑貨屋のブリキの箱に薄暑光 ルカ
〇(藤三彩)『ブリキの太鼓』という映画がありました。大人になれない小人たちの騒がしさを思い出します
次回の告知をお楽しみに。
広島は良い季節になりました。やはり初夏は良い季節です。そして、広島カープは絶好調です。今や首位ですから、カネだけでは勝てない、という証拠でしょう。今日からの巨人との三連戦。楽しみですね・・・。