つづき
秋の蚊や羽音に秘めし風雲録 瞳人
〇(藤三彩)風雲録の蚊を避けるのにいざ出陣。庭の水やりは長靴、長袖、長ズボンに防虫ネットをかぶり更に防虫剤をかける。
〇 (多実生) 蚊の羽音の記憶あり、今は刺されて気付く質の悪い蚊です。
◯(道人)「風雲録」の大袈裟感が面白い。「あぶれ蚊」もありそう。
○(宙虫)蚊の立場に立てば風雲なんだろうと納得。
処理水は安全基準秋の海 幹夫
◎(泉)確かに「安全」と「安心」は違います。
スタートは二人で見た阿蘇秋あかね 餡子
◎(藤三彩)こういう想い出が素直にでてくるのは羨ましい。今や忘却の彼方なんだな
〇(カンナ)季語が良いですね。
〇(瞳人)で、実りの秋は、いかがかと
○(泉)恋の始まりですね。
◯ (アゼリア) あれから何十年ですね。
特異年避暑地に残る壊れ椅子 多実生
八百万ゐて炎帝を鎮めぬや 瞳人
◎(卯平)まさに今年の夏だ。「八百万ゐて」が面白い。耕衣的句柄に共感。前書として「令和伍年」としても面白いかも知れない。
◎(仙翁)この夏は暑い、炎帝ばかりが威張っていますね。
ベンチから恋は始まる秋高し 泉
〇(楊子)ベンチに座るのが若者か老人かで詠みが大きく違いますね。
○(アネモネ)「恋の始まりはベンチから」に得心です。
〇(珠子)そうであって欲しいものです。恋も秋も始まってほしい。
〇(春生)ロマンチックですね。素敵です。
〇(まきえっと)どんなことを話すんだろう。
◯(道人)シンプルながら初恋の始まりらしい句。
○(ちせい)至言ですね。秋空が突き抜けるほどの恋なのでしょう。
スーパーの戻す日常秋日濃し まきえっと
○(餡子)この頃は、おばさんになってスーパーで品物を選んでおります。野菜コーナーで、少しでも安くて品物の良い物を等と、選別している私。物価高の中の年金暮らしですが、非日常を大切にしたいと思っていますが・・・。
(選外)(卯平)普通であれば「スーパーに戻る日常」だろう。その平凡さを詠み手は意識して揚句となったのだろう。そこは伝わる。この措辞をどう観賞するか。数回読んでみるが「の」はやはり気になる。
スーパーを出ると素風を顔で知る ちせい
〇 (多実生) 自然の風を頬で受ける心地良さ。
地球ごと溶かし腐らす酷暑かな カンナ
〇(瞳人)まったく、どうなってしまうのかしら
(選外)(卯平)言いたいことは伝わる。今年の夏はまさにこう大仰に表現しても納得させられる。「溶かし腐らす」がくどいのでは。「地球ごと」と言う大きな詠みは面白い。
戻らない時間花野の木のベンチ 道人
〇(楊子)じゅうぶん生きたと思いましょう。戻らない時間を振り返らずに。
〇(珠子)花野の中に身を置くと戻らない日々が思い出されるのでしょう。誰の時間もどんな時間ももう戻らない。私もわかってはいるのですが…。
○(餡子)ラブチェアーのベンチの写真なのに、過去を振り返る句が多く、苦笑しました。でも共感です。
〇(カンナ)想像が膨らみます。
○(仙翁)どことなく哀愁が感じられます。
○(幹夫)一面に咲き乱れる花野に置かれた木のベンチだ。
〇(めたもん)「戻らない時間」「花野の木のベンチ」が、静かな哀愁が紡ぎ出しています。
○(宙虫)お手本のような言葉が並ぶ安心感。
待宵の二人相寄る愛の椅子(ラブチェアー) アネモネ
タバコ屋の角を大きく風の盆 春生
○(卯平)昨晩BSで「風の盆」の中継を観た。おわらにはまだタバコ屋が存在するのか。
◎(カンナ)具体的に街の景色が見える「タバコ屋」が効果的。動詞がないのに、踊り手達が街なかを進む情景が浮かびます。究極まで言葉を削った高い技術に感服。
〇(あき子)風の盆の町筋を巡る踊り手の流れが、「角を大きく」で捉えられている。
〇(めたもん)風の盆の八尾は鄙びた坂の町。「タバコ屋の角」がその雰囲気をうまく伝えています。
◯ (アゼリア) 一度見に行きたいです。タバコ屋がいいですね。
○(宙虫)木造の建物が並ぶ景が雰囲気を下支え。
椅子取りの亡霊たちがくる秋野 宙虫
〇(楊子)秋野のステレオタイプの詠みではないところにハッとさせられました。
〇(あき子)亡霊たちの椅子取りと秋の野がしっくりきました。
○(ちせい)いくさに敗れしものたちなのかもしれません。
(選外)(卯平)「椅子取りの亡霊」を観賞出来ない。面白い句とは思う。「椅子取りの亡霊」を更に煮詰めていけば面白い句に昇華するだろう。
涼新た大阿蘇に向く風の椅子 珠子
〇(楊子)どっしりとした椅子に座って、秋の大阿蘇と一体になった感じがします。
○(アネモネ)とても爽やかないい景だと思いました。
〇(藤三彩)高原の涼新たが効いている。はやく涼しくなって欲しい
◎(まきえっと)さり気ないですが、爽やかさが伝わってきます。
◎(瞳人)いやあ、いちばん涼しそう
○(仙翁)大阿蘇に向く風の椅子、面白いですね。
トロッコ列車に手を振る親子秋高し アゼリア
○(アネモネ)微笑ましさが伝わってきます。
〇(めたもん)観光ポスターのようなすっきりとした景が魅力です。
熱々の恋人秋めく阿蘇五岳 藤三彩
阿蘇五岳引き寄せ秋を引き寄せる 餡子
〇(珠子)阿蘇を間近にみたものにしか掴めない秋。
〇(藤三彩)阿蘇五岳(あそごがく)は、阿蘇高岳(1592m)、中岳(1506m)、根子岳(ねこだけ) (1433m)烏帽子岳 (えぼしだけ) (1337m)、杵島岳 (きしまだけ) (1326m)の総称という。雄大な景色が目に浮かぶ。
◎ (多実生) 秋は阿蘇五岳から降りて来ます。
◯ (アゼリア)山から秋は始まるのですね。
ベンチには誰も座らず秋の山 幹夫
(選外)(卯平)確かに誰も座らないベンチもあるだろう。「秋の山」は安易では。この季語を工夫すれば面白い句になるかも知れない。
モノクロのフォトに黄色くない檸檬 めたもん
◎(幹夫)モノクロ写真にある檸檬がモノクロなのがまた佳い。
◎(道人)「黄色くない檸檬」の発想が中々。大失恋の思い出かも。
〇(あき子)どういう魅力なのかがうまく言葉にできませんが、惹かれました。
○(ちせい)黄色くないとは黄色いレモンよりもっと酸っぱいと言うことだろうかと思いました。
◎(宙虫)黄色くない檸檬に何か違和感を覚える。気になると逆に黄色い檸檬が浮いてくる不思議さ。
夏色の山の夕べのモノトーン 仙翁
木の実降る無言のふたりセピア色 あき子
〇(春生)時間の止まった一瞬。充実した時間です。
〇(瞳人)実らなかったのかな
(選外)(卯平)一見「おや?」と思わせる。ただ「無言」と「セピア」は同心円の世界。さらにぶつぶつと上五、中七と切れている。詠み手の句意を「無言」か「セピア色」か何方に絞って託すとそれなりの句になるかも知れない。
モノクロになって二人の夏終る 楊子
〇(珠子)あのモノクロ写真はこう詠むのですね。
○(餡子)映画のラストシーンを見ているような句です。
〇(春生)楽しい思い出が刻まれました。
〇 (多実生) 消え去った真夏の夜の夢に。
〇(まきえっと)またカラーになる日が来ますよ。「モノクロになる」がいいですね。
〇(めたもん)切ない内容を詠んでいるにもかかわらず、下五の言い切りにより、カラッとした句になっているところがいいと思います。
モノクロの記憶の奥の花野かな 卯平
◎(餡子)あのデッキの写真はインパクトありました。作者にとって、モノクロの記憶の中で花野だけがカラーで残っているのでしょう。「シンドラーのリスト」の最終場面が浮かびました。
〇(カンナ)「の」を重ねて上手く詠まれたと思います。
○(仙翁)モノクロの記憶、ありそうですね。
○(幹夫)冥土の花野を連想する。
〇(あき子)モノクロの記憶のその奥の方に花野らしき空間がみえてきて、時間を遡る旅のよう。
今月の写真・・・・二枚目三枚目は熊本県南阿蘇村の道の駅「あそ望の郷くぎの」のテラスの椅子たち。目の前の雄大な阿蘇山をバックにしてのフォトスポット。
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広島は朝夕は、かなり涼しくなってきました。しかし、昼間はまだ30度越えです。プロ野球もいよいよ大詰めです。広島カープはまだまだ諦めません。