片目また瞑り秋日の測量士 アネモネ
〇(春生)測量士の観察が効いています。
〇(楊子)観察眼がいいです。片目瞑ることと秋もどこかでつながっている気がします。
◎(ルカ)しっかり写生されてます。
○ (多実生) 良く見る光景です。
○(餡子)測量士をよく観察しています。測量士には、憧れていました。女性は見たことありません。
〇(ちせい)当たり前の動作かもしれませんが、「秋日」を得て俳句となりました。
○(宙虫)測量士の目が活きている。
〇(藤三彩)測量士もお疲れな秋日和
(選外)(卯平)測量士の動作は何方かの目で覗く。そのままの句。
しやがむ子に重機の地鳴り冬たんぽぽ あき子
◯(アネモネ)中七の「重機の地鳴り」が上手い。
◎ (多実生) 男の幼児は電車や重機が大好き、冬タンポポがぴったりです。
〇(仙翁)重機と蒲公英、面白い景色ですね。
◎(道人)しゃがんだ子供の目線がとてもいい。「冬たんぽぽ」がよく効いている。
◯ (アゼリア) 冬たんぽぽの季語が効いていると思います。
瓦礫の町の空そして水鴨渡る 宙虫
雑草という名にあらず泡立ち草 アダー女
○(泉)草花には全て名前がある、と誰か偉い人が言ったらしい。
◎(瞳人)昭和天皇のお言葉でありしと懐かしく
秋空をパネルに収むショベルカー 敏
睥睨し叫喚鵙になりたけれど 瞳人
〇(あき子)肉食系にはなれないけれど、自分の中にもありそうな衝動か。
デジタル庁発足秋耕くり返す 楊子
○(泉)「デジタル庁」というのも、何だか胡散臭いですね。
○(幹夫)新旧取り合わせのギャップがいいですね。
〇(あき子)デジタルと秋耕、発足と繰り返す。二つの対比がおもしろい。
〇(藤三彩)かけ声ばかり
逝く秋やそつぽのままの同伴者 卯平
〇(仙翁)何かおかしく、面白いと思います。
穭田に残る生きとし生けるもの 仙翁
◎(珠子)穭田に残る生き物も様変わりしていることでしょう。クスリ漬けの土の中で生き抜く生き物たちの無言の逞しさ。
◯(道人)この広々とした穭田には、色んな虫たち、落穂を食べる鳥たち、様々な雑草等々の「いのち」が犇めいているようだ。
〇(藤三彩)鳥が来て啄んでゆくのだろう
男来て十一月の空も見ず ルカ
◯(アネモネ)クールな男の姿が見えて来ます。
◎(楊子)一途な男の描写がみごとです。「月がきれいですね」などとという男はパス。
○(アダー女)男は仕事仕事!こんなに美しい秋空ものんびり鑑賞している間はないのでしょう。測量、測量!
〇(珠子)何か意味ありげでもありますし、淡々と仕事をこなしている姿のようでもあります。素晴らしい青空にも関心を持たないように「見えた」のでしょう。何しろこちらには空を見上げる時間はたっぷりとあります。
◎(あちゃこ)視点が見事。美しい秋に目もくれず仕事一筋。侘びしい秋の心象。
〇(あき子)「空も見ず」が切ない。十一月、どんなドラマが起こるのだろう。
◎(宙虫)案外、空を見ない日も多くある。いつもある空だから。それゆえに十一月が微妙に働く。
たっぷりと天日の滋養稲架木立つ 藤三彩
〇(瞳人)たっぷり吸っておいしくなっておくれ
◯(道人)稲木を太陽が礼賛しているかのようだ。稲架襖が見えて来る。
◯ (アゼリア) 将来に不安を感じる昨今ですが、何か豊かな気分になり大丈夫と感じられました。
〇(あき子)「たっぷりと」が句全体を照らしていて、稲架木がまぶしい。
秋晴を歩みて村に花嫁来 幹夫
○(泉)映画のワン・シーンの様です。華やかですね。
〇(瞳人)憧れの風景だなあ
(選外)(道人)この映像から花嫁への発想転換がいい。
秋光や測量士来て変わる村 餡子
山茶花の散り初め誘う工事音 多実生
○(アダー女)山茶花はまだまだ咲いていられる時期なのに、地を揺さぶるような家の解体や整地の音に散り初めてしまう悲しさ。椿より山茶花が好きな私は切ないなあ。
〇(めたもん)山茶花の散った花びらと工事音。日常の中の取り合わせの発見に意外性があり新鮮です。
起重機のしばしの休み草の花 ちせい
〇(仙翁)起重機と草の花の対比が面白いですね。
○(敏)動かない起重機に秋草の安堵が見えますね。
秋草の踏まれし後の乱れかな 春生
〇(めたもん)歩いた後の気になる足元。踏まれる秋草の哀しさと強さ。そしてそれへの共感。
家じまひの重機の唸り秋日濃し アネモネ
〇(珠子)我が家の近くでも時折みられる景です。ばりばりと壁が崩されて、部屋の中が見えると目をそらしたくなります。私たちの年代では「生家」が残っているのはまれかもしれません。
〇(めたもん)「家じまひ」のやり場のない喪失感。経験したのでよく分かります。それを「重機の唸り」「秋日濃し」が言い当ています。
○(敏)初めて目にする「家じまひ」という仕舞い方があることに感心しました。
〇(藤三彩)「墓じまい」はあるが「家仕舞い」というのは儚い
遠ざかる解体の音暮れの秋 まきえっと
◯(ルカ)解体の音がいいですね。
季節なきビニールハウス山粧う 泉
○ (多実生) 紅葉の後は寒風の北関東、ハウス内は天国。
○(仙翁)確かに、ビニールハウスは季節がないですね。
身に入むや瓦礫へ頭置くユンボ 珠子
◯(アネモネ)まさに「身に入む」です。
○(幹夫)季語「身に入む」がいいですね。
廃棄物みな人間のもの蚯蚓鳴く アゼリア
〇(春生)確かにその通りです。自然にやさしい人間にならないとね。
◯(ルカ)本当にそうです。
○(アダー女)人家の解体などでは大量の廃棄物がでる。でもこれみんなその家に住んでいた方々の名残の物。「蚯蚓鳴く」が夜の深〜い闇から鳴かないはずの蚯蚓が鳴くように、廃棄物の持ち主たちの声が聞こえてくるような寂しい句。(ホラー的解釈ではありません。)
○(仙翁)自然は、循環して無駄のないものですね。
◎(敏)改めてこう言われると、人間の傲慢さに気付かされますね。みみずは多分「泣いて」いることでしょう。
○(あちゃこ)写真からの発想が環境問題へ。地球のために何が出来るのでしょう。
◎(あき子)世界には人間の産み出す廃棄物が溢れていて、そこに蚯蚓も生きている。淡々とした蚯蚓の生と人間の対比が身に沁みる。
◎(ちせい)人間のものはひとのものと読むのかと思いました。
◯(道人)人類の罪と鳴かない蚯蚓の声という納得の取合せ。
○(宙虫)自然に戻すことが出来ない現実が哀しい。
起重機の奪うふるさと富士の秋 道人
再生を阻む人心泡立草 あちゃこ
〇(まきえっと)「泡立草」の強さを感じました。
風と来る野球部の声泡立草 めたもん
〇(まきえっと)日が沈むのが早くなってきているので、日差しが大事ですね。
〇(珠子)野球部員は、野太い声をよく声をかけあっています。
◯ (アゼリア) 若い人達の元気な声には励まされます。
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広島は何だか暖かいような、寒いような微妙な気候です。プロ野球CSは巨人が勝ちましたが、これでヤクルトまで負けると、マズイですね。それにしても、阪神は不甲斐ない。広島も来年は奮起して欲しいものです。