これから寒波がやってくるとの天気予報。
気温の急降下、急上昇の繰り返しで、確実に冬に。
考えてみると、九州では半月前までは半袖で過ごしていたのに。
冬物の準備が間に合わない。
結果発表は今回も二回に分けて。
★結果発表
遠を翔ぶ白鳥に豊作告げにけり アゼリア
中空へ続く道あり秋の蝶 春生
◯(ルカ)秋の蝶が効いてます。
○(アダー女)蝶が飛ぶ辺りはせいぜい中空程度の高さだろう。蝶の飛ぶ先を目で追っているとまるで蝶には蝶の飛ぶ決まった道があるようだという。地上に戻る道は同じ道なのか帰路専用の道があるのか?想像力が見事です。
◎(卯平) 秋の蝶で詩になった。つい「暮の秋」とやってしまうが。ここでは「秋の蝶」で上五中七に拡がりが見えてきた。
◯ (アゼリア) やがて蝶は空に吸い込まれていくのでしょうね。
測量の起点蓑虫ぶら下がる 珠子
〇(春生)情景が良く見えます。「蓑虫」が効果的。
◎(アネモネ)蓑虫がいい味出しています。
〇(楊子)正確なものとゆらゆらとしたものの取り合わせに滑稽味がある。
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
〇(まきえっと)「蓑虫ぶら下がる」がいいですね。しかも起点で。
◎(幹夫)アリダード測量の写真の景から真っ直ぐぶら下がる蓑虫とは、目の付けどころがよいですね。
◎(餡子)私も、あの測量士が気になりました。ちょっとした視点の違いで句が生きてくることを感じました。
○(あちゃこ)蓑虫への着眼がいいですね。
○(卯平)測量士の驚きの顔が見える。
〇(宙虫)秋の枯れゆく景色が伝わる。
◎(藤三彩)蓑虫によく気が付きました
秋高しやがて更地となる生家 餡子
〇(楊子)あきらめるという心構えが「秋高し」に表れている。
○(アダー女)高齢化が進み、家族が仲良く暮らした思い出の生家もやがて住む人もなく壊され更地になって人の手に渡っていくんですねえ。寂しい思いのはずが季語「秋高し」の力で再生への明るさも含まれている気がします。
○ (多実生) いずれは我が身か ?
○(幹夫)郷愁を覚え共感しました。
○(敏)生家の取り壊しが確実となったいま、振り仰ぐ秋の空のなんと高いことよ、といった感慨でしょうか。
◯(道人)真っ青な秋空と廃屋となった生家の対比。隣家に最近売り渡したわたしの生家も遠くない将来に更地となります。
○(卯平)作者の様々な思いが「秋高し」に託されている。
〇(藤三彩)まだ家はあるのだが、後継者がいない悲しいなぁ・・・
東西へ畝のびのびと冬に入る あき子
〇(春生)いよいよ厳しい冬の到来ですね。畝は来春の耕作の準備ですね。
◎(まきえっと)日本は南北に長いですが、東西としたところに工夫が見られました。
○(餡子)何の畑でしょうか?東西へが素晴らしい措辞です。
○(あちゃこ)写生の力。季語がいいですね。
◎ (アゼリア) 寂しい晩秋の景色を、畝のびのびと冬に入ると表現されて、明るい気持ちになりました。
〇(ちせい)畝が解(ほぐ)され冬に入るような大らかな日。
公園に月と玩具のショベルカー めたもん
○(泉)「玩具のショベルカー」には、意表を突かれました。
◯ (ルカ)詩情があります。
◎(仙翁)ありそうな景色ですが、面白いと思います。
○(幹夫)児童達の遊びが終わって月下の景が思い浮かびます。
○(卯平)句材の発見の妙技。
ふるさとが地層になる日泡立草 宙虫
〇(楊子)いつの日かそうなるのかと気づかされる。雑草である泡立草も効いています。
○(餡子)地球が滅びず、地表の変化はあるとしても、地層として残る事を願いますね。
〇(あき子)泡立草が風にゆれている。いつか、ふるさとが地層になる日を思いながら。
〇(めたもん)ふるさとで感じる大きな時間の流れ、様々な想い。荒れた地に咲く「泡立草」が寄り添います。
大空をなほ広げゆく刈田かな ルカ
〇(珠子)刈田となってさらに広くなる空。そろそろ白鳥が落穂を啄みに来るかもしれません。
○ (多実生) 刈田になると突然広く良く判ります。
○(敏)刈られゆく稲田があたかも空を広げているようだ、といったところでしょう。
◯(道人)大きな景。近景としての一面の刈田の広がりが大空をさらに大きく見せているという遠近法がよく効いた構図。
○(卯平)類似類句はあるがこのような句は清々しい。
〇(ちせい)元々広大な空が刈田となってさらに広がった。
末枯れに身につまされる散歩かな 多実生
青空に刈田は惚れて居るのかも ちせい
〇(瞳人)そうなのですか
〇(まきえっと)素直な気持ちが出ていると思います。
○(あちゃこ)あるがままの景からの発想が面白い。そうかも?
(選外)(道人)「~に~て~かも」のやや散文的表現が残念だけれど、刈田の気持ちに共感。
地形図に書き足す竜田姫の袖 道人
◯(アネモネ)「竜田姫の袖」にやられました。
〇(楊子)この季語をこういうふうに使うとおしゃれですね。
○(餡子)なるほど!こういう捉え方もあるんですね。上手いと思います。
〇(ちせい)解体され測量され、地形図に何かが出来て行くのかもしれません。
〇(宙虫)袖が出てくるのがいい。
ユンボーが掻く冬ざれの河川敷 幹夫
◯(アネモネ)工事現場の騒音が聞こえて来ます。
○ (多実生) 河川工事の時期到来です。
〇(めたもん)広く茫漠とした河川敷の景。それは又心象のようでもあります。
白秋やたましひ誘ふ水平器 卯平
晩秋の空気の軽さ測量す まきえっと
◎(春生)「空気の軽さ」に実感がこもっています。
◯(ルカ)発想が面白い。
〇(珠子)からりと晴れて乾燥注意報が出る季節。年末・年度末にかけて工事も多くなります。
○(敏)「空気の軽さ」の測量という発想に驚嘆!
○(あちゃこ)中七に秋の空気感が巧みに描写されていますね。
〇(宙虫)この時期のこの空気感というピンポイントがいい。
(選外)(卯平)発見の面白さには共感。最後まで選を迷う。
瓦礫の山亡き人の笑み色なき風 アダー女
◎(泉)災害で亡くなった人たちでしょう。「色なき風」が重く響きます。
末枯や解体はじむ古き村 あちゃこ
〇(まきえっと)解体を「古き村」としたところに工夫が見られます。
○(餡子)末枯、解体、古い村・・これでもかとマイナス要素が並んでいますが、きっとプラスの方向に変化していくでしょう。新しき村に。
迂回路の目印紅葉測量士 敏
大地掘る重機残りて秋の雨 仙翁
〇(瞳人)止めてくれるのは、そうか、これだ
○(幹夫)景がよく思い浮かびます。
◎(めたもん)懸命に働いた後取り残された重機の悲しさ。季語「秋の雨」が的確に詩的にそれを伝ています。
電線に四音階の小鳥来る 泉
◎(アダー女)渡りで帰ってくる鳥や常住の小鳥たちで秋の庭は賑やか。四音階という措辞が不思議な魅力を発揮していますね。音階はとても複雑で私にはよく理解出来ませんが、おそらく四つの音くらいで小鳥たちがさえずっているよという意味かしら?日本の民謡なども四音階が多いらしいけど、そこまで深読みしなくても気持ちよく小鳥の単純なさえずりを楽しんでいると捉えました。
○(卯平)比喩としての発見。少々予定調和の範囲ではあるが。
◯ (アゼリア) 三枚の写真からこんな楽しい発想が出来るなんて驚きでした。
〇(ちせい)同じ鳥の鳴き分けかと思いました。
花野風まとい三角測量機 楊子
〇(春生)この花野を何のための測量でしょうか。気になります。
(選外)(卯平)綺麗な句ではある。が少々類似感を感じる。
秋暮る噴火を覗く測量器 藤三彩
(選外)(卯平)噴火を覗く位置はどこだろう。阿蘇であれば遠隔カメラで覘いてはいるが。先日の噴火ではこのカメラで覗く事は出来たのであろうか。
痩けし頬撫でて去にけり凩一号 瞳人
つづく
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