こんにちは。
今年一年お世話になりありがとうございました。
時間配分が上手にできず、バタバタしてしまいましたが
どうぞ来年もよろしくお願いいたします。
年内にもう一回、告知があります。
兼題:走
出航の銅鑼打つ人の顔師走 幹夫
〇(瞳人)そういう顔なんだ
走行距離に満たない記憶花やつで 宙虫
駅伝を走る選手や雪の富士 泉
故郷の丸餅届く師走かな 瑠璃
○(泉)西日本は丸餅、東日本は角餅ですね。やはり文化圏の違いでしょう。
〇(仙翁)丸餅は、関西方面ですね、都会に届くふるさとの餅。
○(ちせい)季語は「師走」。丸餅が主人公。年末の楽しみ。
嵐寛の天狗を祖父と師走の夜 瞳人
○(藤三彩)鞍馬天狗にテレビなし。月光仮面にテレビと映画あり。
◯(ルカ)祖父と祖父の時代の映画を見るひととき。師走にふさわしい時間。
初雪や野良の走りし跡ならむ 仙翁
◎(吾郎)都会なら猫、田舎なら猪(笑)なんか元気な年始ぽくてほっこり
(選外)(ちせい)季語は「初雪」。推測して居る。是非取りたかった句。
走り根に走る傷跡十二月 敏
◯(宙虫)一年いろいろあって、癒えることない傷も多々。
◯(吾郎)つまずくんだ、これが。年季の入った自然に乾杯!
○(道人)実景でしょうが、この「傷」は色んな傷とも思える、「十二月」の座五が効いている。
◯(あちゃこ)異端の根にある傷跡に心を寄せている作者。
極月の一句として、一年という時間と様々な出来事が交錯します。
○(ちせい)季語は「十二月」。傷跡を見た。もうすぐ新年。
〇(まきえっと)十二月になって今年もこんなに傷が。
走り出す君との時間冬青空 ルカ
○(敏)「君との時間」に様々な物語が想像されます。
「冬青空」に明るい展開を期待します。
◯(あちゃこ)恋人が走り去った後の余韻が切ないですね。
煤竹の大仏さまの梁走る アネモネ
◎(幹夫)奈良の大仏さま煤払の大きな景が詠まれています。
◎ (アゼリア) 走の字にこういう使い方があることを思いつきもしませんでした。
◎(まきえっと)どんなに時代が進化しても省いてはいけない事ってあります。
(選外)(道人)大仏様の大掃除なんでしょうか。やや古典的なれど巧い。
今年はや走り過ぎたる八十の道 多実生
〇(瞳人)あと20年、どうぞ、ゆっくりと
(選外)(道人)今の八十代は元気。特に俳人は。
凍つる日の最終走者瞑想す 道人
○(泉)駅伝の最終走者でしょうか。意気込みが伝わって来ます。
寒昴までの助走や少年老ゆ 餡子
◎(藤三彩)人生の余白が余命となり行先の星が見えてくる。「若者は幻(vision)、老人は夢を見る」。
○(敏)「助走」に比べ過ぎてゆく時間の速さ儚さを象徴したものとして、一句を味わいました。
◎(道人)人生と宇宙という壮大なテーマ。「助走」が佳いですね。
〇(まきえっと)「寒昴」と「少年」の取り合わせが上手です。
走り書く十の約束雪催い あちゃこ
○(餡子)誰に?何の?約束かしら。意味深です。10も?分かりませんねえ。
興味津々です。作者にお聞きしたいですね。
(選外)(道人) 雪が降る前の十の約束とは、興味津々です。
歳末も走り借りしは持つまいさ 吾郎
◯ (アゼリア) 借金に走り回っている知り合いもおり身につまされました。
○(餡子)師走ですからねえ、みんな走りますよ。全部、借りは返してすっきりと新年を迎えましょう。
〇(まきえっと)師走感がたっぷりです。
嬉々として山猿走る木守柿 春生
〇 (多実生) ふるさとも山が荒れ動物の居住範囲が広くなりました。屋敷の柿も猿の大群の目標に最適の様です。
青春燃やし走る箱根路白き息 アゼリア
○(藤三彩)箱根に出られれば本望、予選会で燃え尽き社会人になって走れなくなる。
フルの完走記録は遠い。
○ (多実生) 私も学校のクラス対抗や会社の部課対抗の駅伝を走らされましたのも思い出です。
年惜しむ引退決まる競走馬 藤三彩
○(幹夫)12月24日のG1有馬記念、前評判ではラストランのキタサンブラック!武豊び手綱捌きが見物ですね。
下句、思わず「日馬富士」とも読みました。
〇(春生)ちょっと寂しいですね。
冬紅葉走らぬ前に靴に乗る ちせい
○(藤三彩)天候良し、体調まあまあ、走り出そうとするときの光景かな。
大鍋の湯のたぎる音師走来て まきえっと
〇(仙翁)こちらでも、大根炊きとかいろいろ冬のイベントがあります。
◎(ルカ)音に注目したのが、眼目です。
○(ちせい)季語は「師走」。湯のたぎりに師走を感じた。大鍋が滾って居る。
テーマ:短い
お下がりの外套袖が短くて 泉
〇(瞳人)でも、親孝行(?)、気持よく
○(幹夫)明治より大正・昭和、昭和より平成、世代ごとの成長に納得です。
〇(春生)戦後を生きていた私にはよくこの気持ちは共感できます。
数へ日の接着剤で足す長さ まきえっと
○(餡子)面白いことを句にしたのでびっくりです。
短日の星を数える遺児二人 幹夫
ボージョレの命短し十二月 道人
ミニ電球切れて寒夜の寿命かな 藤三彩
◎(ちせい)季語は「寒夜」。「寿命」に思い入れが。物にも魂、寿命を見る。
一捕手と添ひ遂げし顔年の暮れ 瞳人
◯(ルカ)バッテリー、かくありたい。
壊れゆく刹那のひかり雪の華 あちゃこ
◎(敏)雪の結晶の壊れ行く様を「刹那」に捉えたところ、観察眼の素晴らしさが見てとれます。
短足の犬の蹴散らす落葉道 瑠璃
○ (多実生) 短足の犬にとっては落葉も大変でしょうね。ユウモラスな光景が見えます。
◯ (アゼリア) ダックスフントでしょうか?ユウモラスな光景が目に浮かびます。
◯(宙虫)短足のと言い切ったところがいい。犬好きにはたまらないんだろうな。
◯(吾郎)あははは、これは絵になる
開会の辞は数語にて年忘れ 敏
○(泉)何事も挨拶は短い方が良いと思います。
○ (多実生) 忘年会など前置きは短いに限ります。
○(アネモネ)やっぱ短い方が歓迎されますよね。
◯(ルカ)短いのが、一番。
〇(春生)本当に、挨拶は短い方が良いですね。
寒烏その木移れば隣村 餡子
◯(瑠璃)寒烏ってとこが面白いですね
◎(仙翁)カラスは悪者になりがちですが、自由でいいですね。
◎(宙虫)人間の世界にはこういった境がいっぱい。
やはり、鳥を自由だと思ってしまう人間たち。
〇(まきえっと)寒烏をこういう風に詠むとは。
(選外)(道人)景が眼に浮かぶ。烏は村境が分かるのかも。
(選外)(ちせい)季語は「寒烏」。うまい詠み方。是非取りたかった句。
冬の野に短く生きる草を踏む 仙翁
◯(あちゃこ)枯れずに生きながらえる草。
もうすぐ枯れるというよりも、踏まれても生きる逞しさを感じます。
吉良の忌の焦げてねぎまの竹の串 アネモネ
◯(宙虫)やっぱり年末の風物詩。いつの時代も。史実もフィクションも焦げついている。
○(敏)歳時記には載らない「吉良の忌」を、焦げて短くなった「葱マ」の串に配して、
一連のドラマを想起させてくれました。
実南天活けて贖罪 宙虫
○(道人)テーマ「短」はこの句の場合、自由律の超短詩と読みました。難を転ずる「実南天」には祈りが似合う。
短詩刑文学に掛ける肉の鍋 ちせい
(選外)(藤三彩)「俳句は文学か」の五七五に刑を課そうという確信犯。
しかも釜茹での刑とは。あぶない異端。
短日の齟齬珈琲と飲み干しぬ アゼリア
○(アネモネ)面白い照れ隠し。
◯(あちゃこ)食い違いの苦さ。飲み干すしかないですね。
○(ちせい)季語は「短日」。齟齬をコーヒーと一緒に飲み干し悩み解決。
冬うらら前髪を切る女学生 ルカ
○(幹夫)取合せに共感です。
◯(瑠璃)キリッとした女学生を想像します。
◯(吾郎)自分で切っている姿を思うと、ちょっと胸きゅん
〇(春生)季語「冬うらら」が効いています。
短日もはや底を打ち希望見ゆ 多実生
○(泉)底を打った後は、次第に昼間は長くなります。正に「希望」ですね。
棟梁の話し短し焚火の輪 春生
○ (多実生) 焚火は必ず輪が出来ます。そして棟梁の話は短いがポイントを得ている事でしょう。
◯ (アゼリア) 寡黙で腕の良い棟梁なのでしょうね。
○(アネモネ)きびきびした仕事ぶりが見えてきます。
◎(餡子)朝の打ち合わせ?でしょうか。
無駄なことは言わない職人気質の棟梁がうかびあがってきます。
〇(まきえっと)気持ち良いです。仕事の上手さも想像できます。
餅食うと冠たる短歌問う口も 吾郎
○(道人)この「短歌」は相聞歌なのでしょう。俳諧味とペーソス豊かな回文句をいつもありがとうございます。
刺激にも俳句の勉強にもなります。
雑詠
セーターを瓜実顔に化けて脱ぐ 幹夫
○(敏)鏡に映るご自分の顔が、お公家さんみたいに見えたのでしょうか、面白い見立てだと思いました。
○(ルカ)写生が、聞いてます。
(選外)(ちせい)季語は「セーター」。瓜実顔と言うと漱石のエピソードを思い出します。是非取りたかった句。
手の窪に包みこむ耳冬満月 まきえっと
〇(春生)「手の窪に包みこむ」が厳しい寒さを感じさせます。
ぼろ市や三陸わかめも復興す 藤三彩
引き際に死魚翻す冬の波 敏
◯ (アゼリア) 自然の厳しさが感じられます。
◯(宙虫)冬の厳しさと自然が呑み込む死というものに感慨。
(選外)(道人)冬の海の荒寥感が「死魚翻す」によく出ている。
何んとなく生きて歳末籠る日々 多実生
〇(仙翁)年を取ると、一年の早いこと、何していたのでしょうね。
器用とは無縁に二八(にはち)年の暮れ 瞳人
幾度も道を尋ねん冬の道 仙翁
コカ要るかイケヤの夜警軽い過去 吾郎
○(餡子)コカなんか使ってはいけません。過去とは、コカに関することなんですね。イケヤにいったら、どの警備員かよく見てきます。
古い男を演じて夜の実南天 宙虫
〇(瞳人) 演じるというのは、つらいもの、良くも悪くも、
◎ (多実生) 古い男演じる方が楽です。新しい事にはついて行けないこの頃です。
◯(瑠璃)男は辛いよってとこですかね。
◎(あちゃこ)気に沿わぬ事も時にしなければなりません。南天の実との取り合わせが絶妙です。
虎落笛銀座と言ふ名の喫茶店 ちせい
◯(瑠璃)面白いお句ですね。銀座と名のつく地名も結構沢山ありますね。
骨董屋出窓で踊るサンタかな 瑠璃
○(藤三彩)まだ動くサンタクロースなんだ。
◎(泉)いかにもクリスマスを祝っている、という感じがします。
◯(吾郎)祖父の代から踊ってます。いいアイコンかも
持って来て共に飲み出す歳暮酒 泉
○(ちせい)季語は「歳暮」。共酒はうまい。酔いが回った。
身を荒き風に任せて枯葉蝶 道人
○(幹夫)景が佳く詠まれています。
◎(瑠璃)枯葉蝶がいいですね。
大鍋にたぎり晦日の肉豆腐 アネモネ
◯(ルカ)にたぎりが、実感。
◯(吾郎)これは旨そう!親父、冷もういっちょう!
風花や忘れたき名を呼び覚ます ルカ
◎(瞳人)悪人、善人、旧恋人、どれも消えてくれないのです、これが
◎(春生)この取り合わせ、ぴったりです。季語「風花」の世界が出来ました。
料理本の綴じのほつれやごまめ煎る アゼリア
○(アネモネ)使いこなしてますなあ。
○(餡子)娘たちは、みんなネットでお料理を作っています。
私たちは御嫁入のときのお料理の本を今でも大事に使っています。
綴じがほつれるのもよくわかります。さあ、そろそろ、おせちの準備ですね。
良妻の仮面を外す日向ぼこ 餡子
○(泉)自分に戻って、日向ぼこを楽しむ。至福のひと時です。
◯(瑠璃)気持ちわかります。(笑)
〇(仙翁)仮面を取れば、どんな顔が見えるのでしょうか。見てみたい。
○(道人)我が身につまされる感じで、一瞬ドキッとしました。
男は「日向ぼこ」では眠くなりますが。
◯(あちゃこ)ふっと素に戻る時。客人が帰ってほっとしているようにも?
選外 (多実生) 気取る事は有りません。日向ぼこが最高です。
凩やスープカップに耳ふたつ あちゃこ
○(幹夫)取合せに共感です。
◎(アネモネ)発見に意外性があって面白い。
○(敏)あたかも、スープカップが凩の声に聞き耳を立てているようです。
○(道人)あったまりますね。「耳ふたつ」が佳い塩梅。
(選外)(藤三彩)防寒耳あて(イヤーマフ)への連想ゲームみたい。
榾木積む軒に小さき窓残し 春生
○(藤三彩)豪雪地帯の知恵。積雪の間は都会の息子や娘のところにゆくと話していたっけ。
◯ (アゼリア) サンタさんのはいれる煙突もありそうですね。ほのぼのとした暖かい句と思います。
〇(仙翁)北の国なのでしょうね、厳しい冬への景色が見えます。
○(アネモネ)景が鮮明に見えます。
宙虫さんへ 雨の日も風の日も雪の日も有難うございました。来年もよろしくお願いします。
皆さん 佳いお年をお迎えください。
宙虫さんと共に、今年一年、本当にお世話になりました。宙虫さん、まきえっとさんのご尽力により、小麦句会が続いています。来年も、よろしくお願いいたします。