小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第520回小麦句会結果発表(2)

2024年03月08日 10時02分34秒 | 1日句会

つづき

 

あたたかし岸へ岸へと軽鴨(かる)の水脈   アネモネ

〇(楊子)軽鴨という漢字も意味も春の訪れを予感させます。

〇(めたもん)中七にリフレインがあり、リズミカルで気持ちのよい句だと思います。 

◯ (アゼリア) あたたかしの季語でほのぼのとした佳句と思いました。

 

水温む鴨の水掻き良く動く  多実生

○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。

○(アネモネ)残り鴨の楽しさが伝わってきます。

〇(春生)鴨も元気一杯です。 

 

雁帰る循環バスの客一人    あき子

○(卯平)句材構成として鑑賞者を納得させる。「バスの」か「バスに」か。更に「客」が詠み手の事であろうと思われるが、それを匂わす情報が欲しいと鑑賞した。これらで再考された句であれば十分特選候補の句。

○(餡子) 市内循環バスが我が町にも何コースかありますが、朝夕1本等というのもあって、利用したことは未だありません。買物困難、通院困難が目の前かななどと弱音を吐きそうになるこの頃です。 

〇(仙翁)帰る雁、帰る人、循環していますね。

〇(めたもん)北へ帰る雁の群れと客一人のバスとの対比。空から地への視線変更も自然で、雁が帰った後の少し寂しい感じがいいですね。

◯ (アゼリア) まさに我が街の情景です。

 

残り鴨ついに流れぬものの影   めたもん

 

鳥帰る帰る定めのある場所へ   カンナ

〇(瞳人)でもロシアはいやだろうなあ  

〇(まきえっと)気をつけて。

○(餡子)本能とはいえ、皆どうして帰れるのでしょうね。私も鳥になって空を飛びたい。   

〇(あき子)定めに逆らうこともせず、ひたすら帰る鳥の群。

○(宙虫)定めがあるので、次の世代へ続く。

 

ゆく船の水脈しづまれば残る鴨    幹夫

○ (多実生) 船の通過は鴨にとっても迷惑な大波、波と正常な水面との落差。

 

鳥雲にひとりの昼弁風強し   藤三彩

〇(カンナ)鳥雲と鳥帰るは詠むのが難しいです。鳥雲を上五に置いて詠まれたのに感服。

○(卯平)野良仕事を一人で行っている詠み手。では「寂しい」のか。それとも厳しい労働なのか。この季語で粛々とそれを熟している景が見える。但し、下五「風強し」と言われると折角の詩情に。。。。。

○(宙虫)季語が作者の置かれている立場を想像させる。

 

元カレと出会いときめく春の昼    泉

◎(瞳人)これほどのときめきはありません  

〇(カンナ)季語が適っていると思います。 

○(卯平)と言う事は詠み手はまだ未練たっぷりなのか。春の昼と言われると、この後の展開の濡れ場を想像させる、このように鑑賞するのは団塊世代の性か。

○(餡子)あの写真では、お二人は生活圏がかなり近いところにいらしたんでしょうね。偶然の出会いでも、すぐに分かったんですね。どのくらいの時の元カレかしら?   

 

花菜風空への距離を縮める樹  まきえっと

○(あちゃこ)梢の伸びていく姿はよく詠まれますが、客観的な乾いた描写がいいですね。

〇(仙翁)確かに、高い木は空への距離を縮めそう。

◎(道人)花菜風がピッタリ。樹木も空へ伸びているような気がする。

 

土筆野に家ありビニールハウスあり   春生

○(幹夫)長閑な景が端的にテンポ佳く詠まれる。

○(アネモネ)大上段にかぶったリフレインがなかなか。

○ (多実生) 土筆から見ると民家もビニールハウスも巨大です。

 

はにかみてお礼参りの合格子  アゼリア

○(泉)合格おめでとうございます!

◎(アネモネ)きっと第一志望に合格したんでしょうね。おめでとう!

 

帰る時を計りて鴨の五羽六羽    仙翁

〇(瞳人)何を目安にするのでしょう 

○(アネモネ)鴨のそわそわ感が伝わってきます。

〇(まきえっと)どんな合図で飛び立つんだろう。

○ (多実生) 鴨は句の通り時期を計り、観察通りです。

 

鳥たちの溺れる春の水の色   宙虫

○(あちゃこ)溺れるとは?と立ち止まる。水を存分に愉しむということかなと勝手に鑑賞しました。

 

山本海苔あぶり酌みつしのぶ人   瞳人

○ (多実生) 私の会社では一時期、山本陽子は試刷りの刷り物でした。 

◯ (アゼリア)海苔あぶるー懐かしいですね。

 

鴨の子やまなこに光る好奇心     あちゃこ

〇(仙翁)鴨の子の眼に好奇心を見るとは、面白いですね。

〇(楊子)一羽遅れてさかんに追いつこうと搔く手前の小鴨が私も気になりました。好奇心いっぱいです。

○(幹夫)何にでも興味!鴨の子ってそんな感じなのでしょう。

◯ (アゼリア) 観察が鋭いです。

 

日常の裏へ春愁置いてくる   餡子

◎(春生)「日常の裏へ」が詩的ですね。   

〇(珠子)時々非日常があるから日常を続けられます。

◎(卯平)「裏」と言う強烈な景は、放哉では「お墓」と言う具体的な生。詠み手は「日常」と言う常套的な生。その違いは時代背景だろうか。こうして自分の内面を使い分ける事ができるから、危うい「日常」を現代の若者は生き抜くのだろう。放哉はここまで器用ではなかった。放哉の句もこの句も何方も魅力的。

◎ (アゼリア) 何気なく振る舞っていても、春愁から逃れられませんよね。

◎(宙虫)何気ない日常だが、一度裏返すと・・・・。春ならではの緊張感。

 

老犬のふぐりに春のゆれる午後   楊子

○(幹夫)春の午後ってそんな感じなのに共感。

〇(カンナ)上手い句だと思います。

◎(珠子)おかしみのある春らしい空気感。どうしても外せませんでした。

〇(あき子)犬も人も、老いることの大変さは同じか。春のゆれる午後が美しく哀しい。

◯(道人)犬ふぐりをもじって俳諧味あり。

 

春を釣る川辺に煙草くゆらせて  珠子

〇(楊子)春ののんびり感がよく出ています。

◎(泉)「春を釣る」という表現が抜群です。

〇(瞳人)さあて何がくるかなあ 

○(幹夫)「春を釣る」が面白い。

◯ (アゼリア) 釣果よりも春の到来を楽しんでいるのですね。

 

春昼のこの世の果に戯れて    卯平

○(あちゃこ)抽象的ですが、無常感の雰囲気があり頂きました。

〇(あき子)今の自分の心境にぴったりの景です。

 

(選外)(道人)興味深いテーマだが「戯れて」をもう少し具体的に書いて欲しかった。

 

人の世に波風立てて鴨帰る    道人

○ (多実生) 風物詩です。

○(泉)人の世に波風はつきもの、とは言え「大衆は呆れ果てている」。

○(幹夫)素敵な詠みっぷりだ。

〇(まきえっと)「波風立てて」が今っぽいです。

 

★★★

参加有難うございました。次回も投句待ってます。

 

★★★

今月の写真・・・・熊本市の郊外ショッピングセンターの裏。住宅や店舗がどんどん建ち、残る農地はわずかに。

 

 

 



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご苦労様でした ()
2024-03-08 11:03:01
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は三寒四温の気候です。そろそろ暖かくなるだろうと期待しています。
ロサンゼルスの大谷と山本選手のニュースはうれしいですね。一方、日本のプロ野球は今一つですが・・・?
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